2006年07月12日

PECSスケジュールその後

先日、PECSによる「お出かけスケジュール」を作成した、という話題を書きましたが、しばらく実際に使ってみて、多少改善すべき点が見つかってきたので、作り直すことにしました。

スケジュールを導入した「成果」は、ちょっとびっくりするくらい即効性があるものでした。

最初の数日、療育や休日の外食などの前に「スケジュール」を見せてから出かけるようにしただけで、娘はすぐにそれが何を示しているものかを(大ざっぱにでしょうが)理解したようです。

娘は朝起きた後、あるいは気が向いたときに「スケジュール板」をチェックするようになり、そこに何らかの「お出かけの予定」が貼っているのに気づくと、玄関の前に座って待っているようになりました。

(娘はどうやら相当に視覚優位なのかもしれません。この特性を活かして、カードなど視覚を活かしたコミュニケーションをもっと広げていくべきだと改めて感じました。)

ところがここで、少し困った問題が生じました。

娘は、「スケジュール板」にお出かけの予定が貼ってあるのを見ると、すぐに出かける気になってしまって、すぐに玄関の前に行ってずっと待っているのです。
実際の出発までに時間があると、玄関に下りてはだしで歩き回ったり、それを連れ戻そうとするとちょっとしたパニックを起こしたりといったことが起こりました。

かといって、「出かける直前」に貼りだすやり方では、見通しを持ってもらうという目的が達成しにくくなるし、将来的にカレンダー的な「スケジュール表」に発展させることを考えるとあまりに対処療法的です。

そこで、娘にはまだ難しいとは知りつつも、「時刻」のカードを追加で導入することにしました。
これまでは、「のりもの」と「いきさき」の2種類のカードだったところを、「じかん」と「のりもの」と「いきさき」の3つのカードを貼りだすことにしたわけです。
とはいえ、娘はまだ時間の概念が分かるわけではないので、その3枚のカードを、玄関でぎりぎり待てるくらいのタイミングで貼りだすことで、徐々に慣れさせていこう、と考えました。

次の問題は、スケジュール板のサイズの問題です。
「時刻」のカードを追加したことによって、これまでのスケジュール板では、行き先が2か所あるときなどにサイズ的に入りきらなくなってしまいました。
でも、これより少しだけ大きな適当なサイズの金属板も見つからなかったので、スケジュール板については、マグネット式ではなくマジックテープ式に変更することにしました。(結局カードも全部作り直すハメになりました(^^;))


↑新しいスケジュール板。時間のカードがいつか意味をなすように、すぐそばに掛時計も下げました。



↑マジックテープ式で新たに作成した絵カード。
 実際には3ページ分あり、「針のない時計(特定の時間以外を設定したいとき)」や、休日の外食などのカードがこれ以外にあります。
 時間が中途半端なカードがあるのは、当初考えていた「9時50分」「2時10分」が、ともに時計の長短針が重なる分かりにくい時刻だったからです。


↑実際に使うときのイメージ。
 スケジュール板にマジックテープが2列あるのは、将来的には「午前・午後」といった2種類以上の外出の予定を同時に貼り出せるといいなあ、と考えてのことです。
posted by そらパパ at 21:00| Comment(15) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そらまめちゃん、すごい!
というより、そらパパさんがすごいのかな?
(いや、やっぱりそらまめちゃんの成長ぶりもすごいですよね)

ウチの娘も視覚的な理解の方が良いのですが、まだスケジュールは早いと思っていました。でも、そらパパさんを見習って早速やってみようと思います。
まずは大ざっぱに「朝ご飯」「トイレ」の後「おでかけ+行き先」でトライしてみようかな。

きっと、ほんのちょっとの工夫で、子供が楽になったり、大きくステップアップできたりするんでしょうね。でも、適切な時期に適切な方法で、というのが難しいと感じています。
Posted by pompoco at 2006年07月13日 02:03
はじめまして♪
2歳の双子の母です。一人が「広汎性発達障害」との診断に最近療育に関する本やHPを読み漁っていたところ、こちらにたどり着きました。
そらパパさんの療育の取り組み方やブックレビュー等、非常に参考になります!
そこで先日、自分のブログでこちらのHPを紹介させて頂きました。事後報告で申し訳ありません・・・。
今後も楽しみに読ませて頂きます!よろしくお願い致します。
Posted by ema at 2006年07月13日 14:55
pompocoさん:

「分かっている」といっても、恐らく「あのボードに何か貼ってあるときは外出できる」くらいの理解だと思いますよ。
それでも、ささやかなコミュニケーションができている気がして嬉しいものです。

適切なタイミングというのは、確かに難しいですね。
娘の場合、以前ブログで書いたとおり、PECSのフェーズ3の次はフェーズ4でなくてスケジュールに移行しようと思っていたということと、最近、出かけた先が「期待」と違うと怒り出すといったことが増えたことで、逆に娘の中にある種の「見通し」が芽ばえていることが分かったので、それを手がかりに導入したというところがあります。

スケジュール板は、思った以上に子どもの反応に合わせてカスタマイズする必要がありますね。いろいろ試してみるといいかもしれません。


emaさん、はじめまして。

ブログを紹介していただいてありがとうございます。
さっそくこちらでも「Visitors' Page」に追加させていただきました。
これからもよろしくお願いします。
Posted by そらパパ at 2006年07月13日 20:55
そらまめちゃん、スケジュールげ理解できるようになったんですね。
それにしても、そらパパさん、マメですね~。
私はスケジュールボードを作ろうと思いつつ、もう1年くらい経過しています・・・
ホワイトボードも買ってあるし、ラミネーターもあるんですけどね。

普段の生活で絵カードを使うことはほとんどないんですが、今日は七五三の写真の予約をするために写真館に行ったんです。
簡単に①服を脱ぐ→②着物を着る→③マックという絵カードを貼り、説明してから出かけました。
あれこれ衣装で悩んでしまったんですけど、すんなり着てくれて、鏡の前ですました顔をしていました。
これは絵カードの威力かは分かりませんが、初めてのことは、こうして伝えておいてあげたほうが、本人は安心するだろうな、と思いました。

前に、通園施設の保育士さんに「ピヨくんは、言葉だけでは、物事を記憶し続けることが難しいタイプ」と言われました。
あと、「馬耳東風タイプ」とも・・・
それを補うために、視覚的な援助をしてあげたほうがいいみたいです。
普段の生活では、それほど必要としていないんですが、幼稚園では必要だと思うので、今、作ってもらっています。

ところで、↑の「おいしゃさん」の写真はそらまめちゃんとそらまめママさんですか?
Posted by まお at 2006年07月14日 17:58
まおさん、こんにちは。

実は私もスケジュールを作ろう作ろうと思ってから実際に作るまでは半年くらい空いてしまいました。でも、一度作ってみると案外簡単でした。(特に、テープ式のマジックテープで作る場合は簡単ですね)

私は実はこっそり思っているのですが、絵カードを使ったスケジュールの提示って、実は健常のお子さんでも役に立つ、いわゆる「ユニバーサルデザイン」のようなものなのかもしれないですね。
もちろん、自閉症児にとっては特に有効なんだと思います。

うちも、幼稚園に関してはいろいろ心配事もあるので(妻のブログ参照)、その頃にはもっと詳しいレベルでスケジュールを絵カードで伝えられたらいいな、と思っています。

ちなみに、「おいしゃさん」の写真は、残念ながら?とある幼児むけ雑誌から流用したもので、家族の写真ではありません。(^^;)
Posted by そらパパ at 2006年07月14日 20:59
いつも拝見させてもらっています。時計支援始めたんですね。うちはタイムタイマーから始めました。~あとどれくらい~が理解出来て安心のようです。
支援カードについてですが ひらがな表示ですよね。コレにはパパさん考えがあるのでしょうか?私は開始当初悩みました。本人のひらがなへの理解度やフィット感にもより様々だと思いますが今はシンボルとして漢字やカタカナ(曜日・病院・プールなど)を使ったりしています。それと俗にいう赤ちゃん用語は使いません。年齢によって表現は様々なんですがその変化を受け入れてもらえない所も出てくるかと思った次第です(^^;)
Posted by みのぱん at 2006年07月16日 12:08
みのぱんさん、こんにちは。

まだまだ時計支援と言えるような段階ではありません。せいぜい、「将来への布石」といったところでしょうか。
タイマーも興味がありますが、むしろPECSの「待って」カード(英語版では「WAIT」カード)から始めようかな、とも思っています。

ひらがなを使っているのは、うちの中がひらがなであふれているからです。娘はひらがなの50音表が好きで、あちこちに貼ってあります。自分で読めはしませんが、ひらがなや、一緒に書いてある絵を指差して私たちに読ませる遊びをよくやります。
まだまだ言葉の認知は極めて遅れているので、情報量はできるだけ絞り込むということで、使う文字はひらがなだけにしるというのが、理由といえば理由ですね。

まあ、PECSはカード全体が意味を示していて、文字の部分だけが重要だというわけでもないですので、現時点ではとにかく「カード」として区別ができればいいかな、と思っているというのが正直なところです。
Posted by そらパパ at 2006年07月16日 18:36
ひらがなの意味わかりました(^.^)
うちの娘はひらがなを読むより「何て書いてあるの?」と他人に聞くほうが早かったですわ(^_^;)
Posted by みのぱん at 2006年07月16日 19:20
そらパパさん、メールありがとうございます。
また進展があればメールしますね。
今週は発達検査をまた受けに行きます。その報告まっててくださ~い。

PECSの洋書と、ABA入門の本も注文しました。
ABAの本、わかりやすくってすぐ読めてしまっていいです。PECSの洋書は、ふふ・・英文科だったのですが、半分理解半分ちんぷんかんぷん状態です。が・・まぁ、頑張ります。

絵カードを我が家でも真剣に作り始めました。
以前より、冷蔵庫の前に封筒を切って、マグネットでとめて、その中にジュースと牛乳とお茶の絵カードを入れておきました。うちの子は飲む前に必ずその絵カードを取るのですが、いつも椅子を持ってきて、冷蔵庫を空け、私に促されて絵カードを取り出す、そして私がジュースを取って、ついであげていました。

問題は・・どうして絵カードだけを私にもってきてくれないのか?ということでした。椅子を持ってきても必ず戻させていましたし、冷蔵庫も開けて欲しくありませんでした。

と・・ところがです!昨日、入れ物(封筒)をプラッチック製の幅のあるものにしました。今までよりかなり低い位置にセッティングしただけで、
椅子を持ってこなくなり、絵カードだけを私に差し出すようになりました。これで冷蔵庫も開けなくなったのです。
これって・・まぎれもなく応用行動分析してますよね~。
調子にのって、ビデオを見るとき用に、トーマスとアンパンマンの絵カードも作り、身の回りのもの(トイレ、オムツ、靴、お友達の写真)の絵カードも作りました。
トーマスの絵カードはすぐに理解したようです。
いつも、「マンマンマン・・」と言っていましたが、「マンマンマン・・」でも絵カードは「トーマス」でした。本当に見たいものは「トーマス」のほうだったのですね。これで彼も少しばかり、自分の意思が通じて便利になったことでしょう。

Posted by marine at 2006年07月17日 10:57
marineさん、こんにちは。

そうですね、絵カードのやり方を変えたのは「ABA的発想」だと思います。
相手が思ったとおりに行動しないのを、障害のせいだとか反抗しているといった「内面」のせいにせず、具体的な環境への働きかけ(介入)によって相手の行動を変えよう、という考え方は、ABA的発想だと言えるでしょうね。
(ただ、これそのものをABAだ、というと、ABAのプロの人は多分否定すると思いますので、お気をつけください(笑))

マンマンマン・・・でトーマスのビデオ、というのは非常に考えさせられるエピソードですね。
これは、言葉より絵カードのほうが高いレベルでコミュニケーションができた、ということでもありますし、親にとっては嬉しい「発見」でもあります。
その一方で、私たちが自閉症の子どもと片言のことばでやり取りをしているとき、実は私たちが思っているほどコミュニケーションはできていないのではないかという、あまり考えたくない、でも非常に高い可能性を示しているとも言えます。つまり、今回のようなエピソードで気が付くのは、氷山の一角だという可能性です。

なお、これは「A Picture's Worth」にも書かれていますが、今回のようなパターンで、絵カードを混同していて、実はアンパンマンを見たいのに、トーマスの絵カードを渡してしまうという間違いを犯している可能性も残されています。
その可能性を排除するために、例えば今回の件でいえば、トーマスの絵カードを持ってきた後に、アンパンマンとトーマスのビデオの両方を並べて見せて、どちらを選ぶかチェックします。いつもトーマスならOK、トーマスだったりアンパンマンだったりする場合は、絵カードをちゃんと識別できていないことになります。
これはPECSで絵カードをたくさん与えた場合に陥りやすいパターンですので、ときどき気をつけながらカードの枚数を増やすようにしてくださいね。
Posted by そらパパ at 2006年07月17日 23:30
そらパパさん、いつもありがとうございます。
いつも、参考になる意見をいただき、本当に助かっています。絵カードもなにも闇雲に増やせばいいというわけではないのですね。とりあえず、注意をいただいた点に気をつけて念には念をとアンパンマンとトーマスのビデオの箱を見せています。今のところ、やっぱりトーマスのようです。

実のところ、トーマス(ビデオ)導入は1、2週間前ぐらいからです。数字が大好きな彼に、もっと他に目を向けてもらいたかったわけでまずはトーマス(機関車)に目を向けてもらおうと思ったのです。トーマスは1、2・・と数字が振っていますね。それに目を付けたのです。案の定、小さなミニチュアを並べています。お気に入りになってしまいました。

そして、なぜトーマス作戦を決行を思いついたかといいますと、木製のトーマスのおもちゃで、貨物の部分に「動物」を乗せて遊ぶものを発見しました。これ・・動物への興味につながるんじゃとそのとき思ったのです。ゆくゆくはその貨物と動物のおもちゃを買って、「動物を乗せて遊ぶ」ことが目的なのです。

また、今日私は感無量の場面に遭遇しました。
マンション内で仲良くさせていただいてるママ友さんのおうちに遊びに行ったときのことです。

ミルクをくれたそのママさんに「ありがとう」だねと促すと、うちの子は深々と頭を下げました。
私、実をいうと、ありがとうの時に頭下げなさいなんて教えていないのです。周りのママさん達もびっくりして褒めてくれました。とうれしい反面、言葉もなく、ただお辞儀するしかない自分の子が不憫に感じてしまったのも事実です。伝えたいという気持ちがあるんだ・・なんとかその気持ちに答えて手助けしてあげたいと考えさせられました。
それにしてもありがたいのはお友達とそのママさんの存在ですね。みんなで温かく褒めてあげれば効果倍増だったと思います。


Posted by marine at 2006年07月20日 00:21
marineさん、

ブログ拝見しました。「確認」、されているんですね。

ただ、これもときどきで大丈夫だと思います。いつもやってしまうと、今度はカードを出すとビデオが「選べる」と覚えてしまう可能性もありますからね。(^^;)

お辞儀をするというのはすごいですね。RDIをやっていたことが効いたのかもしれませんね。
周りがほめたり喜んだりすることが「強化子」になるようになれば、社会性はぐっと伸びてくると思います。
Posted by そらパパ at 2006年07月21日 23:55
そらぱぱさん、こんばんは。
な・・なるほどです。ビデオのケース自体を持ってくることもあったりします。しつこくやる必要はないのですね。ありがとうございます。

お辞儀・・私、よく考えてみたら、本人が私にモノをくれたときなどに、知らず知らず「ありがとう」と言って私自身が頭を少し下げていました。

RDIはお辞儀とは程遠い指導(先生の指示に従いながら遊ぶことがメイン)だったので、関係はなさそうです。^^;

でも、いいことばかりではなくうちの子、崩れる(パニック)ときはすごいのです。
今日はすこしへこみましたよ。パニックの対処に手を焼いています。人によっては言うこと(対処法)が違うので・・・。

Posted by marine at 2006年07月22日 00:21
marineさん、

パニックの対処の基本は、「自閉症のすべてがわかる本」のとおりでいいと思いますよ。(初版50-51ページ)

つまり、基本は無視、ただし危険があるときは冷淡な抱っこによって拘束し、落ち着いたらほめたり話しかけたりするというやり方です。
「冷淡でない」抱っこをしてしまうと、パニックすると抱っこして構ってもらえる、という強化をしてしまってパニックが悪化する可能性があります。

それに加えて、パニックで何を得ようとしているのかというABAの「機能分析」をして、パニックと同じ結果が得られる「代替行動」を強化していくことを並行して行ないます。
(多くの場合、何らかの要求のコミュニケーション(マンド)を教えることが解決の糸口になると思います。)
Posted by そらパパ at 2006年07月22日 23:45
ブログを拝見したうえでの補足です。

何かしらの状況で不安になってパニックするケースでは、安心できる場所やものや行動が必要になると思います。

例えば、母親にしがみつくとか、特定の場所に逃げ込むとか、指しゃぶりをするとか、自己刺激行動をするといったことですね。
環境の知覚が苦手でときに非常に強い恐怖に襲われる自閉症児にとっては、そういうものが必要なんだと思います。
逆に、そういうものを全部排除してしまうと、パニックしか残らなくなってパニックする、ということもあると思います。

うちの娘も人の多い場所は大の苦手で、パニックもしますが、そういうときは母親のところに飛んできて抱っこでしがみついて、一生懸命指しゃぶりをします。
それを続けて周囲を観察しているうちに、だんだん慣れてきて少し遊べるようになることもあります。

指しゃぶりは本当はやめさせたいと思っていますが、こういった「安心を得る」という娘にとって非常に重要な機能があることが明らかに分かるので、なかなかやめさせられないでいます。
(多分、無理にやめさせるとパニックが増えて、しかも収まりにくくなると思います)

ともあれ、不安からくるパニックには「安心」を与えるのが一番だと思います。
Posted by そらパパ at 2006年07月23日 00:54
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