今回から数回に分けて、「ABA(応用行動分析)」に関連する殿堂入り本をご紹介します。殿堂入りしている本が7冊もあるので、何回かに分けて書いていきたいと思います。
ちなみに、ABA関連書籍のおすすめが7冊と、他のカテゴリと比較して突出して多いこと自体にも、実は重要な意味があります。
ABAというのは、問題行動を望ましい行動に変えたり、身につけて欲しい新しい行動を学習させたりするためのテクニックですが、他の技法と比較して、はるかに操作性(手順を具体的に言語化して示す)・再現性(誰がやってもこうすればこうなる、という結果が得られる)を重視しています。
操作性・再現性が高いということは、平たくいえば「こういう働きかけをすれば、こういう成果があがりますよ」という関係が明確に言語化され、誰でも実践しその成果が得られるということに他なりません。だから、ABAは「マニュアル本」が書きやすく、かつその「マニュアル本」が「実際に役に立つ」ものになる可能性が高いわけです。
もちろん、「現場で実施するABA」というのは、マニュアルをそのまま適用すればいいというものではなく、マニュアルで学んだことをベースに臨機応変に「応用」していくものですが、それでも、基礎となる部分だけでもしっかりと言語化できるABAは、他の療育技法と比較して、優れたマニュアル本が生まれやすい技法であるということは言えると思います。
2.ABA(応用行動分析)・行動療法についての本
<殿堂入りおすすめ本>
(左はAmazon、右は楽天ブックス)
おかあさん☆おとうさんのための行動科学(レビュー記事)
さて、そんなわけでABAに関連する当ブログ殿堂入り本の1冊目は、こちらになります。
自閉症療育に欠かせない「知識」のなかでも、ABAのテクニックは最重要項目の1つだと断言していいでしょう。
特に、周囲とかかわる力がまだまだ弱い、知的な障害や自閉性の重いお子さんの場合、お子さんと「楽しく」「希望をもって」かかわっていけるか否かは、養育者の側がABAの基本を身につけているかどうかで決まる、と言っても過言ではないのではないかとさえ思います。
我が家の娘も知的な遅れの重い自閉症児で、最初に診断がついた頃は反応らしい反応がほとんどなく、親としても途方に暮れていたのですが、そこから少しずつ「子どもとのかかわり」を作っていく挑戦の中で、ABAが果たした役割はいくら強調しても強調しすぎることはありません。
ABA自体は単なるテクニックに過ぎませんが、それを実際に子育て・療育に応用したとき、場合によっては親御さんを絶望から救うくらいの威力を発揮すると思います。
それくらい、自閉症療育とABAは切っても切れない、特に優先順位の高い「知識」であるといえます。
そんな重要なABAの基本テクニックですが、大学などで真面目に研究されている硬派な学問だという側面もあって、多くのマニュアル・教科書は、結構難解なものになってしまっています。
とはいっても、実はABA(行動分析)は、心理学のなかではダントツに明瞭に言語化されていて、ちゃんと理解すれば、これほど「易しい」心理学はないというくらい分かりやすい側面も持っているのですが、少なくともそういう「分かりやすい全体像」が把握できるところまで到達するためには、やはりそれなりに「真面目に勉強」する必要があるのは間違いありません。
見慣れない専門用語も多く、その辺りの解説が十分でない本を最初に買ってしまったりすると、特に「難しい!」という印象が強くなるかもしれません。
つまり、「最初のハードルが高い」わけです。
その「最初のハードルの高さ」をクリアするのに最適なのが、とても易しくABAが解説された本書です。
(本書についてのレビュー記事は、次回の記事に続きます。)
※ブックレビュー一覧をまとめた記事はこちら。
コメントありがとうございます。
この本には、自閉症の療育に欠かせない行動科学の考え方が、どんな本より分かりやすく解説されていて、とても参考になります。
こういった「行動理論を易しく解きほぐす本」は、まさに石田氏でなければ書けない本なんじゃないかと思います。
なお、今回の記事はこの本のご紹介の途中までで、続きは来週掲載予定です。
また次回も掲載頂けるようで…これを励みにより一層、世のお役に立つ本を書いていきたいと思っております。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。