(ちなみに、前回の記事はこちらになります)
今回は、「自閉症を知る」というカテゴリの本のうち、殿堂入りはさせていないものの、それに準ずる本としておすすめできる本のご紹介の続きです。
<おすすめできるその他の本>(続き)
親子アスペルガー―ちょっと脳のタイプが違います (レビュー記事)
こちらはさらに最近レビューしたばかりの本ですね。
ご本人もアスペルガー症候群の当事者である親御さんが、2人のいずれもアスペルガー症候群のお子さんの子育てに奮闘する姿を綴った「当事者本」です。
この本の最大の特徴は、既に上記の短い説明のなかでも分かるとおり、当事者の方が、単に自分自身の過去や障害の特性を語るのではなく、同じ障害をもったお子さんを育てる経験について語っているという「当事者性の多重構造」にあるでしょう。
自分自身が障害によって苦労した経験と、その経験をふまえた「この世界」を見るまなざし。そして、いま現に自分の子どもが同じ障害によって苦労している現実、それを解決するためのさまざまな工夫、子どもたちに伝える当事者だからこそ言えるメッセージ。
そこには、単に「障害をもったお子さんの子育ての参考にもなる当事者本」という一般的な評価を超えて、「アスペルガー症候群の方が経験する世界観について生き生きと疑似体験できる、『異文化体験本』」という価値があると思います。
そういう意味で、アスペルガー症候群の当事者の方の書いた本ですが、知的障害を伴うような重い自閉症児の親御さんや支援者の方が読んでも得るところのある本だと思います。
そして、これらの書籍のほかに、自閉症を知る・学ぶためのきっかけとなるような「まんが」もいろいろ出ています。
まんがについてはブックレビューのニーズも高いため、発見しだいできるだけすべてのものを読み、レビュー記事も書くようにしているのですが、「自閉症を学ぶ」という視点からみると、これまでにご紹介した、殿堂入りもしくはそれらの準ずる本と同じレベルでおすすめできるものは、残念ながらまだないように思います。
とはいえ、気軽に読めて、共感したり励まされたりするという意味ではもちろんまんがにも魅力的なものはたくさんありますので、ご興味のある方はこちらのレビュー記事まとめのうち「自閉症を知る(まんが)」のコーナーに並んでいるレビュー記事をご覧ください。
(これらのまんがのうち、「うちの子かわいいっ 親ばか日記」シリーズは、療育のスタイルが1冊めと2冊め以降で大きく変わるという点で読むのに少し工夫が必要ですが、参考になるところの多い療育まんがだと思います。)
うちの子かわいいっ 親ばか日記シリーズ(レビュー記事 1, 2, 3)
あべひろみ
ぶどう社
ちなみに、もっとも有名な自閉症まんがだと思われる「光とともに…」がありませんが、これは意図してそうなっているわけではなく、たまたまタイミングを逸してレビューがされないままになってしまっただけです。
ドラマ仕立てで事件が起こりすぎるきらいはありますが、手堅く読めて自閉症への理解が深まる、「自閉症を知る」という観点からもおすすめできるものになっていると思います。
昨年初頭に著者の戸部けいこ氏が逝去され、単行本は第15巻が最後となりました。ご冥福をお祈り申し上げます。
現在は「光とともに…」文庫化がすすめられており、本日時点で第6巻(単行本の第9巻相当まで)まで出版されているようです。
(次回に続きます。)
※ブックレビュー一覧をまとめた記事はこちら。
色々と探していたら、こんな療育用DVDを見つけました。
ご参考までに。
【IQ才能学園】久保田式・発達障害フラッシュ
http://item.rakuten.co.jp/iqgakuen/ssbg10500set/
アスペルガーといっても、様々な障害特性があり、それによって、工夫もいろいろなのでしょうね。
少し、ネタばれですが、全体としてはソーシャルストーリー的な(厳密な意味ではないと文中にもありますが)工夫が中心となってますね。
もっとも共感できたのは、時にはお子さんの言動に激高しては、反省しその都度どうすれば自分の経験と照らし合わせて工夫してなんとか折り合いを模索していくという姿でした。
一昔前の自閉症の子育て本にあった、努力すれば報われるから、頑張りなさいというものとは一線を画すものを感じました。
私は一支援者ですので、自閉症児の親の苦労を理解しようとは努めてはいますが、本当の意味でそれは無理だと思っています。その分、社会、地域に働きかけて自閉症児者が暮らしやすくなるように微力ながら自分なりに啓蒙、啓発を行っています。おこがましいとは思いつつ、今回の本は地元の中学校へ先日もって行きました。自閉症・発達障害への理解が少しでも広がることを願ってます。
テリーイトウさん、
最近はいろいろなDVDなども出ているようですから、しっかり吟味して適切に活用していくのはいいと思います。
ただ、ご紹介いただいた教材は、値段の高さや、「フラッシュ」という、某子ども教育が好んで使う手法に偏っている点などをみると、ちょっと慎重に検討が必要なものに思われますね。
rin5papaさん、
こちらの本は、ご指摘のとおり、さまざまな「読み方」ができて、見た目以上に奥が深いですね。
具体的な工夫としては確かに言語での指示によるソーシャルストーリー的解決が中心なので、我が家のように「重い子」の療育にはその点ではあまり参考にならないのですが、それ以外の「別の読み方」によって、そういった親御さんにも得るところのある本になっていると思います。
子育てのなかでの葛藤、試行錯誤のプロセスがしっかり描かれている点が魅力だというのも、そのとおりだと思います。
ここのところ低空飛行で、あまりパソコンを開けずにおりました。さっき気が付きました。
本を読んでくださった方に、その前とは少し違う角度の視点を持って頂けたらと思います。
グリコみたいなコメントも嬉しいです(笑)
著者の方からの直々のコメント、ありがとうございます。
あまり前回のレビューから日数の空いていない再レビューということで、レビューの内容が前回と似たようなものになってしまいました。
「新しい視点を持つ」ということについては、まさにその部分が他の本にない新しさをもっていて、魅力のある本に仕上がっていると思っています。
これからもよろしくお願いします。
すみません。こんなことコメントしまして・・参考までに
コメントありがとうございます。
最近は発達障害(自閉症)本もたくさん出てますが、確かに玉石混交なので、しっかり見極めて「間違えのない」本を選びたいものですね。
あと、カラーが多すぎて見づらいというご意見、ありがとうございます。
私としては結構地味なページのつもりでいたので、ちょっと意外でした。
ちなみに、スタイルシートを無効にする(インターネットエクスプローラーならメニューから「表示」→「スタイル」→「スタイルなし」など)と、背景の色や複雑なレイアウトなどが解除され、ある程度シンプルなページ表示になります。
よろしければお試しください。