理由については以前一度書きましたが、今のところ、フェーズ4の複雑な構文を娘に求める必然性が見出せていない、というのが最も大きいです。
私は、「フェーズ3の次のステップ」はフェーズ4ではなく、「PECSのスケジュールへの応用」だと思っています。
PECSの絵カードをスケジュールの提示に使うことは、それまで「自分の要求を表現する」という限られた用途だけに使われていた絵カードを、「自分にとって役に立つ情報を手に入れる」という別の形態で利用することを意味します。
これは、絵カードをより柔軟に幅広く使いこなすという観点からも、意味のあることでしょう。
さらに、スケジュールであれば2枚以上の絵カードを使うこともまったく自然ですから、フェーズ4以降に進むための「複数のカードを同時に使う」ことの準備にもなるのではないかと期待できます。
(なお、PECS入門書である「A Picture's Worth」でも絵カードによるスケジュール表は大きく取り上げられています。)
さて、そんなわけで、スケジュール用の絵カードを作ろうという思いは早くからあったのですが、スケジュール用絵カードとしては非常に重要だと思われる「療育」の絵カードが写真がないために作れず、作業が停滞していました。
そこで、先日、療育に参加したついでに、センターの外観写真を撮ってきました。
これで、ようやく一通りの素材が揃ったので、さっそくスケジュール用のPECS絵カードを制作することにしました。
↑今回作成したスケジュール用カード
PECSカードの作り方については、こちらやこちらの記事をご覧ください。
今回作ったカードの中では、上記写真の上のほうにあるもの(療育、プール、お医者さんなど)が特に重要だと思っています。
今は、出かけるときは「おんもいくよ!」とか「でかけるよ!」とか言って出かけているので、娘にとってはどこに行くか分からない状態になっています。
これを徐々に「これからどこに行くのか」を分からせて外出するようにしていければいいな、と思っています。
玄関を出て、車に乗るつもりが自転車に乗せられて怒り出したり、遊びに行くと思っていたのに、着いたところが病院でパニックしたりといったことをなくしていきたいですね。
「お風呂」とか「手洗い」のカードも一応作りましたが、こういったものは「流れ」でやっていくものだし、わざわざ絵カードで教えなくても既に簡単なことばで伝わるようになってきているので、当面は使わない予定です。
真ん中にある「おそと」とか「おでかけ」とか「がいしょく」は、療育以外で外出するときに使うことがあるかもしれない、と思って作りました。
これらの絵カードですが、まずは、外出に関する見通しを持ってもらえるようになることを目指して、使い始めたいと思っています。
↑絵カードスケジュールのイメージ
上の写真では、2つのパターンを同時に貼ってあります(実際に使うときはどちらか一方だけを貼ります)。
左の赤丸のパターンは、「これから療育に出かけて、療育ではプールがある」ということを教えています。
右の緑丸のパターンでは、「これから自転車に乗って出かけて、外で遊ぶ」ということを示しているつもりです。
こんな風に毎朝情報を示しておいて、出かける前にいつも娘に見せるようにすることで、やがて娘が朝起きたときに、自分からスケジュールを確認するようになることを目指していきたいですね。
私は6月(こちらでは年末にあたります、そしてバカンス明け9月が新学期)は不得意な月で、毎年疲れて何もやる気がしないので、そらパパさんの”~作りました”を拝見するたびに”どうやったらいつも前向きに疲れずにいられるんですかぁ?秘訣を教えてください。”と心から思ってしまいます。(いつも前向きでいられる秘訣をお教え願えませんか?)
ウチのラー(来週の月曜日で5歳)も、最近までパニックを起こすことはほとんどなかったのに、ここに来て気に入らないとすぐ叫びます。気圧が低くて蒸し暑い、陽気のせいか、何なのか....
彼はわかっていることとわかっていないことの差異が激しいので、(意外に複雑なことがわかっているかと思えば、きわめて単純なことがわかっていないなど)日常生活で写真カードを使うのは無駄な誤解を避けるためにいいですね。
ウチでもやってみます!
前向きというより、マイペースでやっています。
それと、普段の子育ての大変な部分は妻がやっていて助けられていることが大きいんじゃないかと思います。
あとは、無理や背伸びはしないということでしょうか。
自分たちの体力をすり減らして毎日何時間もABAをやるというのは、やろうと思ってもできないですね。その代わり、毎日15分という短い課題を毎日続けることを目指しています。
その課題も妻がやっているわけで、私はアイデアを出して家庭の療育全体のバランスを取っていく役目だと思っています。
その妻は娘の風邪がうつったのか、夜になって熱を出してしまいました。
日本もとても蒸し暑く体調を崩しやすい気候になっている気がします。私も気をつけたいと思います。
絵カードは、数が増えすぎるときわめて不便な道具なので、種類を厳選することが大切だと思います。
先日アメリカのPECのHPにフランスの代表はないのか問い合わせたところ、忘れた頃に返事が来たので早速PECフランスとやらにメイルしてみたら、翌々日の今日にはドッチャリ、カタログを送ってくれました。(フランスには珍しくやる気があるらしい…。)
そらパパのおっしゃっていたマニュアル第2版(66ユーロ)もあるので、手始めにこれでも買ってみようかなと思っておりますが…。
今、家でやってる家庭療育とどうやってかませるかはとりあえず読んでからにしようかと。今年の夏の課題ですね。
それにしてもこの手の本て本当にお高いですね…。66ユーロあったら、ワンピースが1着買えるなぁと思ってしまいますが。
話は別になりますが、書評されていた”行動分析学入門”、面白く読ませていただいています。昔に読んだ上野千鶴子さんのDNA本と合わせて読むと”心”が決めると思っていた行動が実は....とちょっと世界観が変わるかもしれないですね。
言葉の理解が全然ダメで、有意味後は出ていませんが、最近やっと、まるで外国人が日本語を丸覚えしているかのように喋ることが増えてきました。以前は模倣も全くダメでしたが、少しずつ模倣の力も伸びてきているように思います。写真カードの視覚支援も、最近始めたところですが、今ひとつ理解力が乏しく、上手く伝わりません。これも、初めてみなければ、積み重ねていかなければ、理解できるようにもならないので、やっぱり根気でしょうか?そらパパさんのブログは、本当に専門的で、ものすごく参考になります。まだ、出会ったばかりで、読み始めたばかりですが、これからも、勉強させてください!
PECSはフランスにもあるんですね。
日本語版PECSマニュアルは、翻訳ができているのに、セミナー参加者にしか配布しないという状況にあって、ちょっと不満です。
「行動分析学入門」は、よくできたABAの入門書だと思います。「世界観が変わる」ということで言えば、アフォーダンス理論も面白いですよ。「知性はどこに生まれるか」が、分かりやすい話題を取り扱っていて読みやすいと思います。
いっくんママさん、はじめまして。
PECSは、フェーズ1から順番に進めると、フェーズ3までは自然に進めると思います。レベルが低すぎるように感じてしまうかもしれませんが、あえてフェーズ1からじっくり進めるのがいいんじゃないかと思います。(シリーズ記事の「PECS」→「導入」にあります)
これからもよろしくお願いします。
それと、スケジュールとか、これから先の見通しを、主に目的として始めましたが、(いつも、その予想が外れて、大わめきなので・・・)要求のためのカードでもあることを、ブログを読んでいて、思い出しました。我が家でも、朝食の時、ご飯の時は、食べ終わる頃に、『味噌汁』のカードを置いていて、それを渡してからもらう。というようにしています。パンの時は、『ジャム』のカードと、パンが終わる頃に、『バナナ』のカードを使っています。でも、単なる強制カードにしかなってないような気もしていますが・・・
お茶が欲しい時は、クレーンで教えるのですが、それで伝わるのだから、それでいいのかな?と思って、あえて、『お茶』のカードは使っていませんでしたが、そこからカードを使うことが大事なことで、第一歩になるということが解りました。そこからトライしてみたいと思います!