ここ最近、月曜日以外の不定期更新で書かせていただいている、カメラ・レンズの話題の続きです。
こちらの記事とこちらの記事で、シグマの古い廉価ズームレンズを、全域マクロに改造してみました。
・SIGMA 28-80mm F3.5-5.6 MACRO
・SIGMA 70-300mm F4-5.6 DL MACRO(後で触れますが、「SIGMA 70-300mm F4-5.6 APO MACRO」も同様の改造が可能です。)
この話題について改めてまとめておきたいと思います。
今回の改造の概要ですが、これらのレンズは特定の焦点距離でだけマクロスイッチをONにして近接撮影できる仕様になっています。
でも、この焦点距離制限がスイッチの機械的な仕組みだけで実現されているので、このスイッチを破壊する(笑)ことで、焦点距離制限がないように改造できるのです。
この改造により、以下のようなメリデメが発生します。
<メリット>
・ズーム全域で最短撮影距離が縮まる(近くまで寄れ、マクロ的に撮影できる)
・マクロモードと通常モードを切り替える必要がなくなる。
・改造後も変わらずオートフォーカスが使える。
<デメリット>
・あくまで自己責任。レンズやカメラを壊すリスクもあります。改造してしまうと元には戻せない。
・ピント範囲が倍以上に広がるので、AFが迷ったときの「迷い時間」が大幅に伸びる。
・メーカーの想定外の光学特性領域のため、収差などに問題があるかも。
なお、ピント範囲が広がる問題については、70-300mmの方は改造後もスイッチでマクロ/通常モードを切り替え可能ですし、28-80mmについては、上記記事のやり方ではダメですが、マウント側からレンズを分解しズームリングまで取り外して、マクロスイッチの下にある金属片を、上部はいじらず下部の出っ張りを切り落とすことができれば、マクロ/通常モードを切り替え可能なレンズに仕立てることができます。
↑70-300mmのほうで近所のハトを大接写。マクロスイッチの切り替えなしに、ズームを動かしながらずっとハトを狙えるので、シャッターチャンスを逃しにくいです。
ちなみに、私の70-300mmについては、さらにもう一段、「APO化」という改造を施しました。
実はこのレンズ、同時期に販売されていた「SIGMA 70-300mm F4-5.6 APO MACRO」と、構造がほぼ同じで部品に互換性があります。
具体的にいうと、色収差を抑えるための「APO(アポクロマート)レンズ」が前玉に入っているかいないか、それだけの違いのようです。
しかも、前玉が鏡筒にねじ込んで固定されているだけなので、力を入れてねじると簡単に取り外しができます。
↑このシリーズの前玉はねじるだけで簡単に取り外しができます。
ですので、「DL MACRO」の前玉を「APO MACRO」と交換するだけで「APO MACRO」同等品になるわけです。(なお、世代の異なる「MACRO SUPER」やMACROのつかない「DL」などのモデルはダメなようです。)
ヤフオクの落札価格を見ると、「DL MACRO」なら作動品を2000円前後で落札可能なのに対し、いい状態の「APO MACRO」は3倍以上になるようです。
そこで、APOモデルのジャンク品(前玉だけきれいならOK、別マウントでも大丈夫)と非APOモデルの動作品のダブル落札で、割安にAPOモデルを手に入れることができるわけです。
実際、APO化したレンズを使ってみると、今までコントラストの強いシーンで気になっていたパープルフリンジ(エッジ部分に現れる紫のふち取り)が大幅に減り、望遠マクロにとって非常に大きなアドバンテージがあることが分かりました。
↑APOモデルで撮影した梅の花。花のエッジに変な色は出ていません。
↑非APOモデルで撮影した梅の花。白い花のエッジに紫の色(パープルフリンジ)が出ています。
既に「DL MACRO」をお持ちの方や、たまたま「APO MACRO」のジャンク品を安く見かけた方は、自己責任で試してみてもいいかもしれません。
※なお、αシリーズ最新のα55、α33では、これらシグマの古いレンズは動作不良を起こします(参考リリース)。また、キヤノンのEos Digitalシリーズでも、この世代の古いレンズはErr99が表示され動かない(絞り開放のみ使える場合もある)場合がほとんどですので、ご注意ください。