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2011年02月07日 [ Mon ]

「子育ての工夫」としてのABA入門 (6)

家庭の療育に活用するための、ABAの考えかた、使い方についてご紹介するシリーズ記事の第6回です。

前回までで、今回とりあげているパニックの例について、最初のABC分析が終わり、「仮説」を立てることができました。

ABC
ゲームコーナーに寄らずにスーパーを出るパニックするゲームコーナーで遊べる(↑)


これを見ると、今回の例におけるパニックは、「ゲームコーナーで遊びたい」というメッセージを伝える、という機能を果たしている(という仮説を立てることができる)ことが分かりました。

ここから、今回のパニックについて、非常に重要な視点を得ることができます。

それは、少なくとも「コミュニケーションが成り立っている」という観点からは、ここでのパニックを100%全否定してはいけないのではないか、という「視点」です。
なぜならこのお子さんは、「ゲームコーナーで遊びたい」という意思を「パニック」によってあなたに示して、(結果として)その意思に沿った結果を得る、というコミュニケーションを成功させているのですから。

もちろん、だからといってパニックを放っておいていい、という結論になるわけではないでしょう。
多くの場合、パニックは社会的に不適応な行動であって、パニックでコミュニケーションする傾向が強くなればなるほど(あるいは年齢が上がっていけばいくほど)、社会のなかでうまく生活していくこと、ひいては本人が社会のなかで楽しく安定した人生を生きていくことが難しくなってしまいます。

ですから、ここで考えるべき方向性は「パニックをどうすればやめさせられるか」ではなく、「パニックをせずに、このお子さんが同じコミュニケーションができるようにするにはどうすればいいか」ということになるわけです。

パニックをむやみに抑え込もうとしても、無視しようとしても、罰を与えてやめさせようとしても、もともとあった欲求が満たされずにそのまま放置されていれば、なかなかうまくいかないでしょう。
大抵の場合は、パニックを抑えようとしても、より激烈な大パニックを引き起こすだけで、親の側が根負けして大パニックに「ごほうび」を与えてしまうという展開になってしまいがちで、それによって「より激烈な大パニック」を強化し、起こりやすくさせてしまうという最悪のスパイラルに陥ることもしばしばです。

もしかすると、どんなにパニックしても欲求が満たされない状態が続けば、そのうちパニックしなくなることはあるかもしれません。
でも、それはすなわち、「お子さんが『コミュニケーションすること』を諦めた」ということでもあります
そういう経験を繰り返したお子さんは、やがて、何も欲求せず、おとなしいかもしれませんが何もコミュニケーションしてこないような行動パターンを形成してしまうかもしれません。それは決して望ましい「成長」ではないでしょう。

ABAには確かに「パニックをその場で抑える、無視する、罰を与える」といったテクニックもあって、本に載っていたりもしますが、それ単体で使われることは滅多にありません。
なぜならABAというのは、「行動を分析して、その行動をとりまく『機能』や『構造』を変えることで行動を変えていく」という営みに他ならないからです。問題の構造が放置されたまま、ABAの小手先のテクニックだけで行動を変えようとしても、上記のような副作用に悩まされるだけで、効果は期待できません。

では、どうすればいいのでしょうか?

ここで改めて、今回のパニックは「ゲームコーナーで遊べる」という結果を得るためのもの、つまり「ゲームコーナーで遊びたい」という欲求を伝えるコミュニケーションという「機能」を持っていることを思い出してください。

だとすれば、この「コミュニケーション」という機能を、「パニック」ではない、もっと社会適応的な行動に置き換えることができれば、どうでしょうか。
そうすれば、子どもはその「より社会適応的な行動」によってあなたに「ゲームコーナーに行きたい」という意思を伝えることができるようになるはずです。

その結果、

・パニックを起こさなくなる→問題行動の解消

・コミュニケーションは抑えこまない→問題行動のもっていた機能の維持


という、一石二鳥の効果を得ることができることになるでしょう。

この「問題行動を適切な行動におきかえる」というABAのアプローチについては、以後のシリーズ記事で詳しく書いていきたいと思います。

(次回に続きます)


補足:ABAはしばしば、「ヒトを動物のように扱う、冷たい療育法だ」といったような批判を受けますが、今回、ABAがパニックをどう理解しようとするのかを見ただけでも、それが誤解であり、むしろ「パニックは良くないことだ」といった「常識」にとらわれず、子どもが環境とどのように関わろうとしているのかを考え、仮にそれが「問題行動」とみなされるような行動であっても、無下に否定せずにそれがどのような機能を果たしているかを冷静に考える、「血の通った」「柔軟な」考えかたであることが分かるのではないかと思います。
 ABAの考えかたを知ることで、子どものさまざまな行動を、感情的にならずに受け止めることができる(そして適切な対応ができる)ようになれば、素晴らしいことですよね。



参考図書



おかあさん☆おとうさんのための行動科学(レビュー記事
行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由(レビュー記事
発達障害のある子の「行動問題」解決ケーススタディ―やさしく学べる応用行動分析(レビュー記事

posted by そらパパ at 21:46 はてなブックマーク | コメント(0) | トラックバック(0) | 理論・知見
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