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2006年05月16日 [ Tue ]

自閉症の早期診断について(CHATとM-CHAT)

このブログにたどりついた方の中には、自分の幼い子どもが、自閉症なのかそうでないのか?という疑問にとりつかれて、いてもたってもいられずにネットにアクセスした、という方もいらっしゃるかもしれません。

残念ながら、こういった「自閉症の早期診断・早期判定」のニーズに対して、病院や福祉施設が期待に応えてくれる場合は多くないと思います。
特に、3歳未満のお子さんの場合、自閉症だと正式に診断されることは少ないでしょう。

ただこれは、そういった施設が怠慢だということではありません。そうではなくて、自閉症の定義が、3歳という年齢をひとつの区切りとして見ていることが原因の1つだと考えられます。

自閉症の定義は、WHOが定めたICD-10および米国精神医学会の定めたDSM-IVによると、おおよそ次のようになります。

・対人関係の質的な障害
・コミュニケーションの質的な障害
・行動・興味の限定、反復的な行動

「これら3つの障害のうち最低1つが3歳までに発現し、かつ診断の時点で3つの障害がすべて発現していること」


この診断基準を裏から読むと、3歳以前には診断が難しい、ということになります。

なぜなら、この診断基準によれば、3歳以前にこれらの症状があっても、3歳になるまでに発達が進んで症状が消えたら「もともと自閉症ではない」ことになるからです。

したがって、よほど症状が重く、既に上記3障害が明らかに発現し、3歳までに障害が消える可能性がほとんどない場合にしか、3歳未満の子どもへの診断は下せないことになります。

その一方で、自閉症的な症状がみられる3歳未満の子どもに「自閉症ではない」と診断することも無責任です。ですから、結果として、医者も福祉施設も、そういった年齢の子どもに対しては「しばらく様子を見ましょう」と言うしかないのです。
ここでいう「しばらく」とは、端的にいえば「3歳まで」ということになるわけです。

でも、その一方で、障害に対する働きかけ、いわゆる「療育」は、可能なものからできるだけ早期に開始することが望ましいと言われています。
ここでいう「早期」というのは、大体2歳くらいからの年齢ゾーンを指し、このくらいの年齢から療育を(あくまでも適切に、という前提ですが)開始すると、より大きな効果が期待できる可能性があると言われています。

だとすれば、医者が診断してくれない1歳半〜2歳の段階で自閉症の可能性の高さを判定する方法が欲しくなります。
その早期診断ツールとして活用できるのが、イギリスのCHATおよびそれを改定したアメリカのM-CHATです

CHATについては以前ご紹介しましたが、1歳半の時点で以下の3つの条件にすべて当てはまる場合、80%以上の確率で自閉症と将来診断される可能性がある、というシンプルな判断基準です。(参考リンク

1. PP(ごっこ遊び)ができない
2. PDP(要求の表現ではなく、対象物を他人に見せることを目的とする指さし)がない
3. GM(大人の目線をおいかけ同じ対象物を見ること)ができない


一方、M-CHATは、アメリカ版CHATとでも言うべきもので、やはり1歳半から2歳児に適用できます。23問の質問に答えるだけで95%の精度で自閉症を予測できると言われる強力なツールです。
テスト用紙の日本語訳がこちらにありますので、ダウンロードして自己採点してみてください。

診断基準は以下のとおりです。
1.問11,18,20,22については「はい」ならチェックを、それ以外については「いいえ」ならチェックを入れてください。
2.チェックが入っている項目が3つ以上、または問2,7,9,13,14,15のうち2つ以上にチェックが入っている場合、陽性(自閉症の疑いあり)となります。


→2006/5/24修正。「はい」と「いいえ」が逆でした。訂正しお詫びします。

なお、これらの早期診断ツールはあくまでも「予測ツール」であって、正式診断ツールではありません。
また、これらの診断基準は、どちらかというと厳格に設定されているので、条件に適合した場合に自閉症であるという精度は高いですが、比較的障害の軽い自閉症スペクトラムの人は逆に見逃してしまう可能性があります。
M-CHATにおいては、すべての質問は自閉症スペクトラムに関係していますので、陽性基準に満たなくてもチェックが1つでも入った場合には、気にかけて「しばらく様子を見る」ことが大切なのではないかと思います。

それから、念のためですが、私は自閉症診断のプロではありませんので、これらの診断資料はあくまで自己責任の範囲内で活用願います

なお、少し年齢が上がって4〜6歳用になってしまいますが、アスペルガー症候群に特に焦点を当てて診断しようという自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)というものもあります。(日本語版がこちらでダウンロードできます。)

参考:M-CHATの原文資料はこちら(テスト用紙診断基準

参考その2:自閉症とその療育についてちゃんと知りたいという方のために、ベストだと思われる本をご紹介しておきます。不安に駆られて妙な民間療法に手を出す前に、正しい知識を身に付けていただきたいと思います。

posted by そらパパ at 22:43 はてなブックマーク | コメント(2) | トラックバック(0) | 理論・知見
この記事へのコメント
リンクが切れたときのために、質問表の日本語訳を抜粋転載しておきます。もし転載に問題があるようでしたらご連絡いただければ削除します。
------------------
お子さんのふだんの様子についてお答え下さい。できるだけすべての質問に回答して下さい。該当する行動がまれにしか見られないようなら、その行動は「しない」とみなしてお答え下さい。

1.ぶらぶら揺さぶられたり、ひざの上ではねるのは好きですか?
2.他の子どもに興味を示しますか?
3.階段や何かの上に登るのが好きですか?
4.いないいないばぁを喜んでやりますか?
5.電話の応対をまねしたり、人形の世話をするなど、ごっこ遊びをしていますか?
6.何か欲しい物を人さし指で指差して伝えますか?
7.何か興味があるものを人さし指で指差して伝えますか?
8.ミニカーやブロックなどのおもちゃを、口に入れたり、いじったり、落としたりするのではな
く、適切な遊び方で遊びますか?
9.あなた(親)に何かを見せるために、物を持ってきますか?
10.視線が数秒以上合いますか(1、2 秒より長く)?
11.音に過敏に反応しますか?(耳をふさごうとするなど)
12.あなたの顔を見たり、笑いかけられると、微笑み返しますか?
13.真似をしますか?(顔で表情をつくると、それを真似ようとするなど)
14.名前を呼ばれると反応しますか?
15.離れたところにあるおもちゃを指差すと、そちらの方を見ますか?
16.歩けますか?
17.あなたが何を見たら、同じものに注意を向けて見ますか?
18.自分の顔の近くでへんなふうに指を動かしますか?
19.自分がしていることにあなたの注意を惹こうとしますか?
20.聴力に問題があるのでは?疑ったことがありますか?
21.話し言葉を理解できますか?
22.ぼんやり何もないところを見つめていたり、目的もなさそうに歩き回りますか?
23.何か見慣れない物事にでくわすと、あなたの顔をうかがって反応を確かめようとしますか?
Posted by そらパパ at 2006年05月22日 22:35
記事本体も修正しましたが、M-CHATの診断基準のうち「はい」と「いいえ」が逆になっていました。(現在の記事文章は訂正後の正しいものになっています) お詫びして訂正します。
教えてくださった方、ありがとうございました。
Posted by そらパパ at 2006年05月24日 20:56


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