この図にみられるとおり、発達障害は、大きく分けると「感覚→知覚」の段階と「知覚→認知・認識」の段階、2種類の障害に区別され、前者が自閉症スペクトルに関係すると考えています。
「感覚→知覚」段階の障害は、外の世界の「見え」を大きくゆがめ、いわゆる「物の永続性」の獲得に失敗し、我々が自然に獲得するような「素朴物理学」「心の理論」とは異なる、独自の(非定型な)世界観の中に生きることになります。
ここで、「知覚→認知・認識」段階に大きな障害がなければ、違う世界観を持ちながらも知能面の遅れは見られないという「アスペルガー症候群」になりますし、その段階にも障害があれば、カナー型の自閉症となると考えられます。
(ここでは踏み込みませんが、LDやADHDなど他の発達障害も、このチャートの中に比較的簡単に盛り込むことができそうです)
このチャートに、「自閉っ子・・・」のニキ・リンコさんや藤家寛子さんをマッピングすると、こうなるはずです。
うちの娘をプロットすると、こうなるでしょうか。
娘の感覚入力が正常かそうでないかは、(本人に聞けないので)はっきりとは分かりません。ですので、緑と赤、2つのルートを示しておきました。
実際には感覚の正常と異常は連続した概念であり、うちの娘の場合も、その中間のどこかにいるのだと思います。
娘に関していえば、昔からタカイタカイを異常に怖がったり、ブランコは今でも苦手など、「傾く」ことへの恐怖が強かったので、平衡感覚なども含め、位置の恒常性に問題があったのかもしれませんね。
・・・書き始めたら、思いのほか長くなってしまいました。
これは、私が、自分の娘というたった1例の経験と、書物から得た知識をもとに構成した、ほとんどまったく頭の中だけで考えた仮説です。
正しいという保証はどこにもありませんし、私は研究者でもない一介の父親ですので、この仮説を実験などによって検証していくこともできません。
ただ、このようにブログに書くことで、素人がこんなことを考えているよ、ということをとりあえず示してみたいと思いました。
自閉症というと「社会性」とか「ことば」とか、そういう非常に高次な認知の障害だと考えがちだけれども、実は、もっと原初的な感覚とか知覚の障害で十分に説明できるんじゃないかというのが、この仮説の出発点です。
私たちは、世界が目の前に広がっていると当たり前に感じていますが、実はその知覚は、網膜に映った二次元画像を脳が情報処理して「作り上げた」ものに過ぎません。
入ってくる情報に異常があれば、この世界の「見え」も違ってきて、脳が情報処理して「作り上げる」世界観も、その世界への関わり方も、違って当然です。
それが自閉症児の生きている世界であって、それを「こちらの世界」にいる私たちが見て「社会性の障害」などと呼んでいるだけなのかもしれません。
そして、自閉症児が見ている(といっても視覚だけのことではなく、全身体的な体験としての)「世界」に近づくためには、私たちが当たり前に、ありのままに「見ている」つもりのこの世界観を、完全に解体する努力が求められます。
そのときに必要なのが、「哲学の謎」のレビューで書いたような、「哲学的思考回路」だと考えているのです。
ご意見などいただければ、とても嬉しく思います。
私は、満腹感という膨満感 内臓感受性のせいで、摂食障害が出たくらいです
身体感受性の特異性です