2010年09月06日

拙著(幸せプロジェクト)の増刷決定&改めてご案内

先日、ぶどう社さんより連絡があり、拙著『自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト ~お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育』が増刷の運びとなったそうです。


自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト ~お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育
ぶどう社
2008年7月発行

今回の増刷で、おかげさまで拙著は第3刷となります。
皆さんの拙著へのご支持とご愛読に感謝いたします。本当にありがとうございます。

そんなわけで、今日はこの拙著について、本を書いてから丸2年ほど経過して、改めて感じていることについて書いてみたいと思います。

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↑先日ご紹介いただいた、拙著の「避けるべき療育法」のページ。

変な話ですが、この本が「何について書かれた本」なのかをはっきり認識したのは、私自身にとってもつい最近、こちらの本を読んでからでした。


子どもが発達障害?と思ったら ペアレンティングの秘訣
著:服巻 智子
NHK出版 (レビュー記事

この本を読んで、この本が取り扱っている「ペアレンティング」の領域が、拙著と(もちろん内容とかアプローチはかなり違いますが)ほとんど重なっていたことで、「ああ、自分が書いた本は、実はペアレンティングの本だったんだな」と、我ながら改めてはっきりと認識した、というわけです。

※ペアレンティングとは、直訳すると「親をすること」ということで、(障害をもった)お子さんを育てるための親としての知識やスキルを意識的に学ぶこと、あるいはそういった知識やスキルを伝達することを指します。

これまで、この本を紹介するとき、どう説明するか少し迷うところがあったのですが、今なら、「本書は、子どもが自閉症だと知らされた親御さん(特に「お父さん」)を対象としたペアレンティングの本です。」と、確信を持って答えることができます。

本書の目次は、以下のようになっています。

1章 「ピリオド・ゼロ」を乗り越えて
2章 療育は家族の一大プロジェクト
3章 お父さんは、プレイング・マネージャー
4章 私の経験談から
5章 自閉症とその療育の進めかた
6章 自閉症療育の全体像
7章 明日から実践できる療育のアイデア
読書案内


この目次を見ると、この本を書き始めたとき、ぶどう社の方と構成をどんな風にするかを何度となく話し合ったことを思い出します。
最終的に現在のような構成に落ち着いたわけですが、そのとき私が書きたいと思った内容には、「障害の受容」とか「ちょっと工夫を加えた(無理のない)子育てとしての療育、という考えかた」とか「インチキ療法にだまされないための方法」といった、療育そのものというよりは、療育の「外側」に広がる話題がたくさん含まれていました。実際、本書のボリュームの半分以上は、そういった「外側の話題」に費やされています。

ですから、この本は端的にいって、「療育技法(だけ)の本」ではありません
むしろ、世にあまたある療育技法や自閉症に対する考えかたの中から、どうやって自らのお子さんにとって有益なものを選びとり(あるいは益のないものを選ばず)、それを無理なく実践していくかという、一段上のレベル(メタレベル)の「療育本」です

イメージとしては、こんな感じです。
例えば、「英語を勉強したい!」と考えている人にとって、「英語の教科書、テキスト」を入手し勉強することはもちろん大切なことですが、そのステップに入る前に、もし、適切な「成功しやすい英語の勉強法」といった情報を手に入れることができれば、英語の勉強についての全体の見通し・計画がより立てやすくなり、また明らかに不適切な勉強法を避けることができるなど、スムーズに英語の勉強に入っていけるでしょう。

上記の英語の例と同じように、「自閉症のお子さんの療育者」としてまだ分からないことだらけの親御さんにとって、家庭の環境を整え、療育をスムーズに導入していくためには、いきなり個々の療育技法に深入りするよりも、まずは「療育を始めるための準備」として、頭を整理したり知っておいたほうがいいことがあるのではないでしょうか。例えば、

・障害の受容(いまそこにいるお子さんの、ありのままの現状をちゃんと見ることができるようになること)
・家族全員の協力と役割分担(特に、分かりにくい「お父さんの役割」について)
・子どもをとりまく環境を理解し、外部からの支援をとりつけること
・「外部からの支援」と「家庭での療育」の関係を整理すること
・インチキ療法を見分け、日々の療育の効率を最大化するための「療育リテラシー」
・そして最後に、有力な療育法(ABA、TEACCH、絵カード等)の技法の基礎を学ぶこと


言うまでもなく、これらは私自身がわが子の療育にチャレンジするにあたって、分からなくて苦労したポイントでもあります。
こういった、「私自身が初めに知りたかった内容」について書かれた本は、私が苦労した当時にもなかったですし、ぶどう社で本を出すことになった時点でもありませんでした。だから、そこに「自分が本を書くチャンスがあるかもしれない」、と思ったわけです。

このアイデアをもとに、以前より声をかけていただいていたぶどう社さんに企画書を送り、本書ができあがりました。当時は「自分が知りたかった内容をまとめた本」を書いたという意識でした。
ところが、自閉症のお子さんをもった親御さんを想定読者として、このような「療育を始めるための準備」についての内容に特化して書いたことによって、結果として本書は、「観念論ではなく、かなり具体的に『何をすべきか』を書いた、ペアレンティングの本」という、割とユニークなポジションの本になったのかな、と思っています(偶然の産物ではありますが)。

ちなみに、「療育技法そのものがメインではない」と書きましたが、実は「技法」のほうもかなり欲張った内容になっています。
限られた紙面のなかで、ABAとTEACCHと絵カード療育(それ以外では、オリジナルの「鏡の療育」など)について、とりあえずこの本だけしか読まなかったとしても療育の実践に使える最低限の基礎が身につくよう、かなり頑張って情報を押し込んであります。
例えば、ABAについては「パニックや問題行動への対応」という分かりやすいテーマをおいて、ABAの考え方からABC分析、代替行動分化強化、さらには教材を使ったディスクリートトレーニングといったレベルまで解説していますし、絵カードを使った要求表現やスケジュールの作成を通じて、絵カード療育の基本やTEACCHの構造化についても紹介しています。また、仮説→検証というサイクルを繰り返し、記録をとることで療育の内容や成果を正しく把握するといった『科学の目』に基づく療育アプローチについても触れています

そんなわけで、私がこのブログで書いていること、お伝えしたいと思っていることのほぼ全体像が、本書には濃縮して詰め込まれています。そういう意味で、ブログのタイトルがそのまま本のサブタイトルになっていることに偽りはありません。
内容も、ブログの過去の記事の寄せ集めではなく、すべてゼロから書き下ろした完全オリジナルですので、ブログをお読みくださっている皆さんにも、新鮮な気持ちで読んでいただけるものと思います。

今日はちょっと宣伝めいた記事になってしまって申し訳ありませんが、出版から2年が経過し、出版後に新たに読者になってくださった皆さんも少なくないだろうと考え、改めて拙著について書かせていただきました。
今後とも、拙著・ブログともども、よろしくお願いします。

自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト
posted by そらパパ at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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