今回は久しぶりに、当ブログのタイトルにもある「お父さんの役割」にも関わる話です。
私の妻は毎日、自閉症の娘に朝から晩まで顔をあわせて、世話をしたり療育したりしています。
自閉症の子育てというのは、子どもの反応性が乏しく、こちらから愛情になかなか応えてくれないということもあり、高いモチベーションを維持するのは結構大変だと思います。
それに加えて、周囲の無理解や将来に対する不安とも戦っていかなければなりません。
そんなわけで、私が夜仕事から帰ってきたときに、よく妻が機嫌が悪かったり落ち込んだりしているときがありますが、これは仕方のないことですね。
仕事で疲れていても愚痴のひとつでも聞くのが、昼間は子どもの面倒を見られない父親のわずかばかりの罪滅ぼしになるんじゃないかと思っています。
とはいっても、私はよく妻に「話を聞いてくれない」と言われます。
私は聞いてるつもりなんですが、愚痴に対してついつい理詰めで答えてしまうので、共感的な対応を期待している妻にとっては「聞いてない」ってことになるんだと思います。
でも、言い訳めいてしまうかもしれませんが、わざとそういう態度を貫いている場合もあるのです。
今回は、そんな話題です。
つい先日のことですが、例によって家に帰ると妻の機嫌が悪い。ついでに子どもも泣いている。
「どうしたの?」と聞くと、「子どもが私のことを嫌いになった」との答え。何でも、こちらが何か構うたびに泣いて、全然泣き止んでくれないというのです。
ここで、「それは大変だったね、辛かったね」と慰めないのが私の悪いところなんですが(笑)、「本当に一日中泣いてるの? 具体的には、今日はいつからいつまで泣いていたの?」と聞いてちゃんと思い出してもらうと、実は昼間は普段どおりで、入浴の途中から泣き出して、その後ずっと泣き止まないのが本当の問題だと分かってきました。
「お風呂では、いつから泣き出したの?」
「子どもの頭を洗い始めてから、ずっと泣き止まない」
「昨日までは?」
「最近ずっとそう。きっと頭を洗うのが嫌いになって、むりやり頭を洗う私も嫌いになったんだ」
・・・ここでも慰めません(笑)。
「『最近』っていうのは具体的にはいつから?」
「・・・ここ1週間くらい」
「じゃあ1週間くらい前に、お風呂とか頭を洗うことに関して何か変化はなかったっけ?」
「そういえばシャンプーを変えたね」
ここで、二人ではっと気づきました。
確かに、最近子どものシャンプーを変えたのですが、新しいシャンプーは香りが奇妙で、それを使うと私たち大人にとってもちょっと変なにおいが風呂に充満することを思い出したのです。
「あの新しいシャンプーのにおいが嫌いなんじゃないかな?」
「確かに、シャンプーだったら頭洗った後もにおいが残るし、風呂をあがった後もしばらく泣いている説明もつくかも」
「じゃあ、さっそくシャンプーを前のものに戻して、それで実験してみよう。それで泣かなくなったら、シャンプーが原因だね」
・・・というわけで、この時の会話は終了。
実際、すぐに前と同じシャンプーを買いなおし、それを使ってみると、「風呂泣き」は見事に解消。入浴タイムに平和が戻りました。
さて、このエピソードで書きたいことは、単に冷静に物事を考えましょうということだけではなくて、冷静に考えるときに、どういう方向で物事を考えるべきか、についてです。
子どもが泣く原因を、妻は「自分を嫌いになった」と考えました。
私は、こう考えました。
同じような態度で毎日接している中で、突然子どもが親を「嫌いになる」はずがない。もちろん可能性はゼロではないけれど、「嫌い」とかいう内面の問題と考えると対処が難しくなってしまうから、そうではない、外的な問題としてまずは考えよう。
まず、どんな状況でどのくらい泣くのかはっきりさせよう(これが最初の質問ですね)。
風呂で泣くとすれば、風呂をとりまく「環境」を、私たちが知らないうちに操作して、それが娘の行動(泣く)に影響を与えた可能性が高い。
環境が変わったと考えられるのはいつだろう(これが、「いつから泣くようになった?」という質問ですね)。
1週間前から泣くのなら、1週間前に環境の変化があったのだろう。何か、私たちが不用意に変えてしまった「環境」はないかな?
・・・このように考えて、1週間前にシャンプーを変えた、という事実に行き当たりました。
全体としては、理詰めで論理的に考える、というやり方そのものですが、下線を引いた部分に注目してください。
下線部分に共通しているのは、子どもの行動の変化を、安易に内面化(嫌いになったとか、機嫌が悪いとか)せずに、行動主義の発想でとらえていこう、という考え方です。
特に、今回のような問題行動に対処するというケースでは、「内面の問題」と判断するのは最後まで我慢して、環境の操作、行動への介入などによる「行動主義的解決」の可能性を追求することが、非常に重要です。
なぜなら、それが、結局はもっとも簡単で、かつ確実な問題解決の道になるからです。
母親は、目の前の子育てに追われ、子どもの問題行動をちょっと距離をおいて考えるということが難しい場合もあるでしょう。
そこで、父親の出番です。行動主義の頭脳をフル回転させて、問題の特定・適切な介入に取り組んでみてはいかがでしょうか。
・・・でも、本当はもっと慰めてあげることも必要でしょうね。そこは反省です(^^;)
おはようございます。
感心しちゃいます。私のダンナになって欲しいです(* ̄∇ ̄*)へへへ・・・
どうしても煮詰まる時があって、冷静にはなれない時に戻してくれるダンナ様・・・いいな。。。
我が家なら「シャンプーやめれば?」か、
「そう」で終るか「逆切れ」ですね。
たぶん、そらパパさんは滅多にいないタイプの
だんな様だと思いますよ・・・
貴重だ~~~です!
ただし、共感度。。。
「そうだよね~」っていうひと言は欲しい。。。
「うん」の代わりに「そうだよね~」
どうでしょうか?
あまり完璧になるとダンナ様の方が辛くなりますね?今でもスゴイダンナ様ですものね。
父の出番がいつか来る・・・そう思ってますが、
オシッコもお風呂も全部未だに私担当・・・・
思春期ももしかしたら「当てにならない」かも?
出番を待つ親に仕上げる方法を教えてください。
よろしくどうぞ。
じゃないと、おかあちゃんいつかストレスがあふれて
爆発しちゃうよ~。
私も先月そんな状態でしたからね~。
うんうん、そうだったんだねって言って、聞いてくれるだけで
いいんですよ。
お父ちゃん達、よろしくです。
ずっと前から思っていたんですが、
本当にうらやましいです~。
うちの旦那様は本一冊読んだことがありません(ToT)
私の周りの旦那様はこんなタイプの方ばかりかと・・・
これが当たり前だと思っていたのに、
いろいろなお父さんブログを発見してビックリしました。
世の中にはこんな素敵な旦那様もいるんだと・・・
目の前の育児も、療育も、家事も、仕事も、
自閉症の勉強?も、情報収集も、分析?も
1人でこなすのはちょっとキツイんですよね・・・
(よく使うのが見て見ぬフリ・・・)
うちはまあくんより私が暴れている回数が多いかも・・
夫婦で分担できたらいいなぁ~と常日頃思ってるんですが・・・・
私は理詰め大歓迎です♪
まったく、ご指摘のとおりです。
逆の言い方をすれば、こんな冷たい夫によく耐えてるなあ、と感心(?)する部分もありますね。
「ストレス」に関しては、私も向こうも、溜め込む前に手が出る口が出るといった方なので(笑)、それなりにガス抜きはできてるように思っています。
あと、ハイマムさん、まあくんママさん、
「他人を動かす方法」ですが、これこそ実はABAが最も得意とする分野ではないかと。
だんなさんに関してコントロールできることは何ですか? 晩酌のビールの本数? お小遣い? 風呂の順番?
何でもいいので、だんなさんが何かやってくれたらごほうびが出る仕組みを、半分冗談でいいので導入してみたらどうでしょう? 1日単位でごほうびが出たり出なかったりするのが望ましいです(月1とかではダメ)。
意外と(少なくともイメージする以上には)効果があったりするはずです。
ちなみに、以前ご紹介した「パフォーマンス・マネジメント」という本などにこの辺りのことが書かれていますね。