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2006年07月06日 [ Thu ]

行動療法の効用と限界(3)

「積み木を積んで遊ぶ」という、こんな簡単に見える課題でも、トレーニングする相手の状態によっては行動療法がほとんど役に立たないという例が、最後の4.のパターンです。

4. 「つかむ」ということができない子ども

これは、「積み木を積んで遊ぶ」という行動形成に必要な別の行動「積み木をつかむ」という行動も形成できず、さらにこの行動を分解した行動要素である「物体をつかむ」という行動にまで戻っても、何らかの理由でできない状態にある、という状況を想定しています。

この場合、「つかむ」という行動をABAでトレーニングをしても、かなり高い確率で行動形成に失敗するでしょう。そこには、例えば何らかの神経生理学的理由により、その子どもにとって「つかむ」という運動が極めて困難である、といった場合も含まれます。
重要なことは、ABAのアプローチでは、ある行動ができない場合、それが「なぜ」できないかを説明することはできないということです。
ABAでは、「つかむ」ということができない場合も、あくまでも、さらにそれをより簡単な行動に還元し、そこから「シェイピング」で近づいていくという方法を取ります。この場合であれば、「にぎりこぶしを作る」あたりから始めるのでしょうか。

このように、ターゲット行動が複雑な割に、現時点でできる行動パターンが限られている場合、ABAでは非常に長いステップ数のシェイピングが必要になるのですが、ここで、さらに2つの問題が生じます

1つは、上記の例で明らかなとおり、長いシェイピングが必要な行動ほど、そのどこかの段階に生得的な問題があり、単に行動を教えるだけではどうしても身につかない可能性が高くなります。しかし、ABAではそういった問題には基本的に無関心で、形成の難しい行動に対しても「量」で押していくという傾向があります。

もう1つは、仮に長いシェイピングをこなしていけば何とか行動形成できる場合であっても、長いシェイピングが必要な場合、たいていは、最初期のステップで「動作模倣」のスキルが必要になるということです。

積み木をつかめる子どもに積み木を積むことを教えるのであれば、積み木遊びの流れの中で比較的自然な形でABAを適用できるのですが、物を「つかむ」ということさえできない子どもの場合、なぜか「にぎりこぶしを作るための動作模倣」というトンチンカンなトレーニングから始めなければならなくなるのです。
「動作模倣」は簡単なスキルではありません。また、「動作模倣」はフォーマルトレーニングでしか教えることができないので、いすにおとなしく着席して、療育者のほうを注目して(アイコンタクト)、模倣する(動作模倣)というステップを踏む必要が生じ、さらにさらに道のりが遠くなっていきます。

この4.の例がABAにとって格段に難しい理由は、

・療育開始時にターゲット行動が発現していないこと
・ターゲット行動を常識的な範囲でシェイピングしても、うまくいかないこと
・生得的あるいは「内的」な問題が存在すると推測されるような問題であること

こういった条件が満たされていることによると思われます。
これらの条件が満たされるターゲット行動に関しては、ABAは、あくまで「内的な問題」は無視し、どんなに遠回りでも、どんなに「不自然」でも、最終的にターゲット行動にたどりつけるようなシェイピングの過程を「こじつけて」療育を行なおうとします。
その結果、非常に非効率で、かつ高い成功率も期待できないような療育プログラムが作られてしまう可能性が高くなるのです。

これが、私の考える行動療法の限界です。

(次回に続きます。)

posted by そらパパ at 22:30 はてなブックマーク | コメント(0) | トラックバック(0) | 理論・知見
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