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2006年07月05日 [ Wed ]

行動療法の効用と限界(2)

引き続き、「積み木を積んで遊ぶ」という行動を増やす療育について考えます。

2. 積み木をつかむことはできるが、なめる遊びしかしない子ども

この場合、積み木を与えて放っておいても、「積む」という行動は恐らくまったく出てこないでしょう。1.と同じ方法のみを使っていては、そもそも強化する機会が生まれず、介入ができません。
このような場合には、「プロンプト」を行ないます。プロンプトとは、行動そのものに介入して、ターゲット行動が起こるように「手助け」することです。
このケースを例にとると、積み木の前に座らせて、子どもが積み木をつかんだところでその腕を取り、なめる代わりに「積む」という行動を起こすようにプロンプトします。そして、即座にごほうびを与え強化します。言葉が通じるなら「積んでください」といった言葉によるプロンプトも使えます。
プロンプトが必要なターゲット行動の場合、プロンプトによって行動を形成するステップに加え、プロンプトを減らし、最終的にプロンプトなしで行動できるようにするステップ(フェーディング)が必要になりますから、効率という観点からいうとプロンプトなしで分化強化できる行動に比べると行動形成のための効率は低くなります。
とはいえ、行動療法におけるターゲット行動のほとんどはこの2.のカテゴリーに入ると思いますし、プロンプトさえすれば行動を形成できるのであれは、行動療法としての有効性はやはり非常に高いと思います。

ここまでは行動療法が有効に機能する例と言えるでしょう。
続いて、行動療法が「機能しにくい」ケースを考えます。

3. もっと大きいものならつかめるが、積み木をつかむことはできない子ども

この場合、「積み木を積む」という行動をプロンプトで手助けし、行動形成しようと思っても、そもそも積み木をつかむことができないのでうまくいきません
ただし、より大きなものをつかむことはできると分かっている場合は、要は微細運動の器用さがまだ足りない、ということが問題だと分かりますので、療育方針を立てることは可能です。
つまり、まずは子どもが難なくつかめる大きさの物体を使って「つかんで動かす」といった行動をトレーニングし、徐々につかむものの大きさを小さくしていって、最後は積み木をつかめるようにします。そしてその後に、積み木を積むトレーニングを2.と同様に実施すればいいわけです。

※微細運動:物をつかむ・投げる・発声するといった、目や手、口(舌)などをコントロールする運動を指します。粗大運動(座る・歩く・走るといった、腕や足、頭をつかった大きな運動)に対応することばです。

このように、Aというターゲット行動を直接トレーニングするのが難しい場合に、Aに近い別の行動(A’)をトレーニングし、徐々にAに近づいていくというアプローチ方法を「シェイピング」といいます。

例えば、「積み木を積む」という行動の次に「ブロックを組み上げる」という行動をトレーニングし、最終的に「レゴブロックで複雑な形を組み立てる」という行動を目標とする場合は、「積み木を積む」というトレーニングは、レゴブロックを組み立てるというターゲット行動に向けたシェイピングの1つのステップととらえることもできます。
いずれにせよ、シェイピングはプロンプトより遠回りな方法なので、行動形成のための効率は、直接プロンプトで行動形成できる場合(2.のケース)に比べ、さらに一段落ちます

この辺りから、行動療法の限界が徐々に見え始めます。例えば、このケースの場合、「大きなものをつかむ」という行動訓練をやるより、感覚統合訓練や粗大運動の訓練、あるいは筋トレをやったほうが効率がいいかもしれませんし、単に「微細運動の発達を待つ」のが最良かつ唯一の方法である可能性もあります。さらに、特別な問題により、積み木サイズの物体はどうしても持つことができないという障害がある可能性もあります。最後のケースではそのまま行動療法を続けても無意味であり、何らかの方針の転換、例えば「この積み木を積ませるのをあきらめ、別の行動(例えば、より大きなブロックなどで遊ばせる)を訓練する」といった決断が必要になります。

この「行動療法の限界」は、次に説明する4.のケースにいたって、決定的なものになります。

(次回に続きます。)

posted by そらパパ at 22:39 はてなブックマーク | コメント(0) | トラックバック(0) | 理論・知見
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