マザーボードのケースへのインストールが終わったら、今度はHDD(ハードディスクドライブ)と光学ドライブ(DVDマルチドライブや、Blu-Rayディスクドライブ)を組み込みます。
今回は、どちらも「SATA(シリアル・エーティーエー)」方式のものを購入しているはずですので、設定は何もなく、ただつなぐだけです。
それぞれのドライブの背面を見ると、左側に「ちょっと長いL字型のコネクタ」、右側に「短いL字型のコネクタ」があると思います。

↑SATA方式のドライブの背面です。
このうち、「ちょっと長いL字型コネクタ」にはケースの電源ユニットから出ている電源ケーブルを、「短いL字型コネクタ」は「SATAケーブル」を使ってマザーボードと接続します。SATAケーブルは、カラフルなきしめんみたいなケーブルですが、ほとんどのマザーボードには最低2本付属していると思います。(万一足りなければ、家電量販店等で買えるはずです。)

↑SATA(シリアル・エーティーエー)ケーブルです。
↑Amazonに激安のSATAケーブルあります。この値段は秋葉原でもまずないですし、送料を考えてもトクですね。私も何本も買いました。
ドライブ類を組み込むときは、PCケースは横倒しにするより立てて作業したほうがいいでしょう。PCケースは、フロントパネルやマザーボードの裏側のパネルまで外して、骨組みだけにしておきます。
ハードディスクは、「3.5インチシャドウベイ」に設置します。
3.5インチのドライブ類がネジ止めして固定できる場所(これを「ベイ」と呼びます)には、フロントパネルとつながっていて外からアクセスできる「オープンベイ」と、フロントパネルに「出口」がない「シャドウベイ」があります。オープンベイにHDDを固定することも可能ですが、オープンベイにはカードリーダーなどを後からつけられるようにそちらは空けておいて、ハードディスク等専用の固定位置である「シャドウベイ」のほうに固定するようにしましょう。
↑3.5インチオープンベイにつけられるカードリーダー。よくSDカードなどを利用される方にはとても便利なアイテムです。
シャドウベイはケースによっていろいろな場所にありますので、ケースの説明書なども参照してください。作業がしやすいように、シャドウベイが取り外しできるケースや、ネジを使わずに固定器具で簡単に付け外しできるケース、「差し込むだけ」で固定できる高級ケースなど、いろいろあります。ベーシックなケースの場合、インチねじで4箇所を固定することになります。シャドウベイの中でHDDを微妙に前後に動かすと、ベイの横にあるネジ穴に合う位置が見つかると思いますから、その位置でネジ止めします。

↑3.5インチベイにHDDを取り付けたところ。(ただしこの写真ではオープンベイに取り付けています。)
なお、HDDや光学ドライブ固定用のねじは、もしかするとドライブに付属していないかもしれません。PCケースに付属している場合もありますが、それもない場合は、下記のようなねじセットを購入する必要があります。(ちなみに、HDD用のネジは「インチねじ」、光学ドライブ用のネジは「ミリねじ」である場合が多いです。)
↑PC自作用のネジセット。
※PCケースで使う2大ネジ
PCケースで使うネジには、大きく分けて「インチねじ」と「ミリねじ」があります。
両者はねじの溝の間隔と深さが違います。インチねじのほうが、間隔が大きく深くねじが切られています。
↑左がインチねじ、右がミリねじです。
パーツによって使われているネジのタイプが異なりますから、間違えないように注意してください。例えば、3.5インチのHDDは「インチねじ」、5インチの光学ドライブは「ミリねじ」が使われていることが多いです。(大まかには「繊細で小さなパーツ」ほど、ミリねじが使われる傾向があります。)
間違ったねじを使っても、無理をしなければパーツをいためることはありません。間違ったねじを使うと、違和感がありますからすぐに分かります。
・インチねじのねじ穴にミリねじを入れた場合→スカスカでねじらなくても奥まで入ってしまい、うまく締まりません。この組み合わせでは、ねじ穴が壊れることはほとんどありません。
・ミリねじのねじ穴にインチネジを入れた場合→非常に固く、スムーズにねじが入らず、無理にやると壊れそうな感覚があります。実際、ここから無理にねじ込むと本当にねじ穴が壊れますので、妙に固いな、と思ったらミリねじに交換して試してみることをおすすめします。
ドライブがベイに固定できたら、次はケーブルを接続します。狭いところでの作業になりますから、LEDライトのようなものでケースのなかを照らしながら作業すると楽です。(うまく「固定する前」にケーブルを接続できるなら、その方が楽な場合もあります。)
電源ユニットの「SATA電源ケーブル」を「ちょっと長いL字型コネクタ」に、SATAケーブルを「短いL字型コネクタ」につなぎます。SATAケーブルは、さらに反対側をマザーボードのSATAコネクタ(同じ「短いL字型」をしています)につなぎます。

↑HDD背面のケーブル接続イメージです。

↑マザーボード上のSATAコネクタです。

↑HDDに接続したSATAケーブルの反対側をマザーボードに接続します。
これで、HDDの接続は終わりです。続いて光学ドライブです。

↑SATA方式のドライブは、HDDでも光学ドライブでも背面の接続の仕方はまったく同じです。
基本は同じ作業ですが、光学ドライブは「5インチオープンベイ」に固定することになります。
フロントパネルのオープンベイ部分には、プラスチックなどのカバーが取り付けられていると思いますから、パネル裏側からカバーを取り外して文字通り「オープン」な状態にします。

↑オープンベイのカバーがついた状態。
続いて、HDDのときと同じように光学ドライブをベイの中にネジ止めします。このとき、いきなり4箇所を固定してしまわず、軽く2箇所くらいを止めた時点で、いちどフロントパネルをはめこんでみてください。光学ドライブの固定位置を間違っていると、ドライブがフロントパネルと「ツライチ」にならずに、飛び出したり引っ込んだりしてしまいます。フロントパネルを外して、再度固定位置を修正してください。

↑光学ドライブは、ケースのフレームから飛び出す位置に固定します。まずは仮組みした後・・・

↑フロントパネルのカバーを外し、パネルをはめてみます。

↑位置が正しければ、こんな風にツライチにケースに収まります。
光学ドライブが固定できたら、電源とSATAケーブルをつなぎ、SATAケーブルの反対側をマザーボードにつなぎます。(HDDとまったく同じです。)
以上で、ケースの配線が終わりました。
ここで、ケースの中を見てみましょう。恐らく、ケーブルがぐちゃぐちゃになっているはずです。
このまま動かすと、CPUクーラーのファンにケーブルがからまったり、高熱になるパーツにケーブルが接触して溶けてしまったりといった問題が発生しやすくなるので、ケーブルの位置を調整したりまとめてしばったりして、ケーブルが悪さをしないように仕上げます。これを「ケーブルマネジメント」といいます。
ケーブルマネジメントは、具体的には、
・電源ユニットから出ている電源ケーブルのうち、使っていないものは、取り外せる場合(プラグイン方式)は取り外し、できない場合は空いているペイの隙間に押し込むなどして、マザーボードエリアに下りてこないようにする。
・マザーボードエリアに下りてくる電源ケーブルは、ケーブルタイなどでまとめて縛って、ばらばらに広がらないようにする。
・SATAケーブルなども同じくケーブルタイなどを利用して広がらないようにする。
・使っていないシャドウベイの穴などを使って、しばったケーブル群をさらにCPUクーラーから遠いところに固定する。
・好ましくないところに浮いてしまうケーブルなどは、ビニールテープなどを使ってケースに貼り付ける。(ただしビニールテープは高熱で溶けるので、高温にならないところで使う)
といった作業です。これらケーブルマネジメントによって、
・CPUクーラーやビデオカードのファンにケーブルが当たらないようにする
・放熱のためのヒートシンク(金属製のヒレみたいな部品)やチップなど、高温になるパーツにケーブルが当たらないようにする
・ケース内のエアフロー(空気の流れ)を良くする
・多少ケースを動かしたり立てたり寝かしたりしても、ケーブルが思わぬ位置に動かないようにする
といった効果を狙います。

↑ケーブルタイや結束バンド、ビニールタイなどは100円ショップで買えます。特におすすめなのがこのダ○ソーで売っている「はずせるケーブルタイ スリムロング」です。

↑今回の解説で使用したケースのケーブルマネジメントです。CPUファンや熱をもつパーツの近辺からケーブルが一掃できているのが分かると思います。
この程度の混雑ぐあいなら、ケーブルマネージメントは非常に容易です。

↑ちなみにこちらは私のメインPCのケーブルマネジメントです。かなり厳しいです(もう少しでケーブルがCPUクーラーのファンに当たってしまう)。小さいケースにやたらとパーツを押し込むとこうなってしまう、という悪い例ですね(笑)。
ケーブルマネジメントが終わったら、マウスとキーボードもバックパネルにつないでください。
PC用のスピーカーも、この段階でつないでもOKですが、「ケーブルがUSBケーブル1本だけ」の場合だけは、まだつながないほうがいいです。(スピーカーつきのモニタの場合は、接続しても大丈夫です)
お疲れ様でした。
これで「PCの組み立て」はひととおり完了です。
ただし、まだ動作確認が取れていませんから、ケースは完全に閉めてしまわないでください。フロントパネルと、マザーボードの裏側やケース上部のパネルははめてしまっても大丈夫ですので、「マザーボードが見える側のパネル」だけは閉めずに開けておいてください。
この状態で、モニタにつないで、電源を入れてみましょう。
電源を入れたら、キーボードの「DEL」キーを連打し続けてください(1秒に1回くらいの速さでいいです)。
うまくいくと、画面上に英語の設定画面が出てくると思います。これが「BIOS画面」です。


↑BIOS画面の一例。マザーボードによって詳細は異なります。
まず、ドライブが認識されているか確認します。
「Standard CMOS Features(Setup)」のメニュー内で、接続されているドライブ名(メーカー名と型番が表示されます)が出ていればOKです。
次に、「ドライブの起動順序」を設定します。
これからOSを光学ドライブ経由でインストールするので、光学ドライブが1番、HDDが2番になっている必要があるからです。
AMI BIOSでは「BOOT」→「BOOT DEVICE PRIORITY」、Award BIOSでは「Advenced BIOS Features」→「First Boot Device」「Second Boot Device」などの項目が、それに当たります。これらの設定を修正し、1番が光学ドライブ、2番がHDDになるように設定したら、メニューのトップ画面に戻り、「Save & Exit」(保存して終了)を選択すると、PCが再起動しますので、電源スイッチで電源を落とします。
※なお、この作業の間、PCケース内のパーツに異常が発生していないかも、あわせて確認していてください。
ここまでできれば、あとはOSをインストールするだけです。
(次回に続きます。)