成果報酬は(大したことはないですが)自閉症関連書籍等の購入の足しにさせていただき、またそれをブログの記事という形で還元させていただいており、ブログ更新のモチベーション維持にも役立っています。いつもご協力ありがとうございます。
このうち、Amazonでは詳細なレポートが取れますので、2009年に当ブログにお越しいただいた皆さんがどのような本や機材等に興味をもたれているのかの参考にもなるよう、当ブログを経由してAmazonでご購入いただいた商品のランキングを作ってみることにしました。
なお、以下のランキングは、福祉関連の出版ビジネスに携わっている方が、親御さんや支援者のニーズをつかむのにも参考になると思いましたので、今回はちょっと大変でしたが思い切って30位まで範囲を広げて集計してあります。
集計期間:2008.12.29-2009.12.28(件数ベース、ただし件数同位の場合は金額順)
1位 自閉症児のための明るい療育相談室ー親と教師のための楽しいABA講座(レビュー記事)
2位 家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46―自閉症の子どものためのABA基本プログラム(レビュー記事)
3位 行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由(レビュー記事)
なんと、ベスト3をABAの関連書籍が独占しました。
「自閉症・発達障害の療育には何をおいてもまずはABA」という認識が、親御さんのレベルにまで浸透してきたということなのだと思いますし、そのニーズに応える優れた本が今年だけで2冊も出た(1位と2位)ということも大きいと思います。
ちなみに、非常におおざっぱにいうと、1位の本は「子どもの問題行動などにABAで対処する」ための本で、2位の本は「日常の生活課題・学習課題をABAで実施する」ための本、3位の本は「ABAの基本理論をコンパクトに学ぶための教科書」です。
4位 発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール―ポジティブにいこう!(レビュー記事)
5位 あたし研究(レビュー記事)
5位まではすべて当ブログ「殿堂入り」の本ですね。4位の本は支援ツール事典として極めて優秀で、PECSもスケジュールも視覚支援もABA的支援も「全部入り」ですし、5位の本は紹介してから短期間でベスト5入りです。「当事者本」の新たな定番の登場の予感がします。
6位 自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト―お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育(関連記事)
拙著です。この本の売上げの、無視できない割合が当ブログからの購入になっているようです。本当にありがとうございます。
7位 自閉症児と絵カードでコミュニケーション―PECSとAAC(レビュー記事)
8位 自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集(レビュー記事)
ここで、「絵カード療育」についての本が2冊続けて入っています。
7位の本はPECSの創始者が書いている優れたPECS入門書(殿堂入り)ですが、誤訳と思われる箇所がありますので、こちらの資料を活用いただければ幸いです。
8位の本(というか、データ集)は、継続的に出ていますね。「殿堂入り」させていない本のなかでは圧倒的です。レビュー記事に力を入れた甲斐がありました。
この本に付属のCD-ROMに入っているのは「画像データ」だけで、かんじんの印刷用のソフトがなく少々不便なのですが、フリーソフトの「ラベル屋さんHOME」などを使って、きれいにレイアウトして印刷することが可能です。(詳しくはレビュー記事にて)
9位 たのしい手あそびうたDVDブック(レビュー記事)
我が家でも非常に長く療育に活用した、とても楽しいDVDつき手あそび本が、ここに入っています。(右は最近出た増補版です)
こういった「DVDつき手あそび本」は、歌や音楽が好きな自閉症のお子さんに、ことばへの興味を持ってもらうためのきっかけ作りの療育に活用できます。
10位 自閉症のすべてがわかる本(レビュー記事)
「自閉症について、初めて知る・学ぶための本」として、発売以来ずっとおすすめしている当ブログ殿堂入り本が、ベスト10に入っています。
ちなみに、先日、とある方からの情報で、この本が翻訳されて中国でも出版されていることを知りました。こういったいい本が世界に広がっていくことはいいことですね。(日本がTEACCHや自閉症療育のアジアの拠点になっていけば、この領域でアジアのリーダーシップを間違いなく発揮できるだろうと思っています)
11位 行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論(レビュー記事)
12位 おかあさん☆おとうさんのための行動科学(レビュー記事)
13位 自閉症―「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育(関連記事)
14位 あなたが育てる自閉症のことば 2歳からはじめる自閉症児の言語訓練(レビュー記事)
15位 心理学で何がわかるか(レビュー記事)
16位 自閉症の人の人間力を育てる(レビュー記事)
17位 認知発達治療の実践マニュアル―自閉症のStage別発達課題(レビュー記事)
18位 みんなの自立支援を目指すやさしい応用行動分析学(レビュー記事)
19位 クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法(レビュー記事)
20位 アスカ Asmix ラミネーター L1110E A6サイズ(関連記事)
11位から20位までは、こうなっています。
11位、12位はちょっとユニークなABAの本(どちらも殿堂入り)、13位は拙著、14位は自閉症療育のなかの「ことば」に関する領域について、具体的な療育というよりは「考えかた、理解のしかた」を解説した本(殿堂入り)、15位は誤解されがちな「心理学」という学問の本来の姿をうまく解説した心理学入門書(殿堂入り)、16位はちょっと変わった「臨床家の人の興味深い話をまとめた本」、18位は「第4位」の本と共通する著者の、非常に具体的でかつ独自の魅力にあふれた「ABAの入門・実践の書」です。
17位の本は「太田ステージ」に基づく「療育の課題事典」です。かつては常にベスト3に入っていた本ですが、最近は第2位の「ABA課題本」に押されている印象です。でも、認知発達的視点にたった、ABAとは異なる視点で整理された課題事典として、今も資料的価値は高いと思います。
19位の本は、トンデモ療法にだまされたりしないために必要なものの考えかた=クリティカル・シンキングについて、「OL進化論」のまんがをふんだんに使って解説した分かりやすい入門書です(当ブログ殿堂入り)。マーケットプレイスで中古が安く出ていることが多いので、気軽に手に入れられると思います。
そして、20位にはこのベスト30で唯一の「書籍ではない商品」として、コンパクトなラミネーターがランク入りしました。
ラミネーターは、絵カードを作るときの必需品です。値段もピンキリですが、置き場所に困らず、ハガキやL版の写真までラミネートできる「A6サイズ対応モデル」が使いやすいです。(我が家には「A4対応機」もありますが、「A4」のほうはとても大きくてかさばりますし、大きなサイズはラミネートフィルムも高いですし、空気が入ったりすきまができるなど、失敗することも多くなります)
このラミネーターは、安価な100ミクロンのフィルムだけでなく、厚手のがっしりした絵カードが作れる150ミクロンのフィルムにも対応しています。
21位 ことばどんどん あかちゃんえほん (1)(レビュー記事)
22位 はじめての言語ゲーム(レビュー記事)
23位 発達障害の子どもたち(レビュー記事)
24位 自閉っ子、こういう風にできてます!(レビュー記事)
25位 自閉症児のための絵で見る構造化〈パート2〉―TEACCHビジュアル図鑑(レビュー記事)
26位 うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで(レビュー記事)
27位 障がいのある子との遊びサポートブック―達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション
28位 見える形でわかりやすく―TEACCHにおける視覚的構造化と自立課題
29位 子育てに活かすABAハンドブック―応用行動分析学の基礎からサポート・ネットワークづくりまで
30位 ことばどんどん あかちゃんえほん (4)(レビュー記事)
21位から30位まではこんな感じです。
21位と30位に入っている「ことばどんどん あかちゃんえほん」は、真っ白な背景に、輪郭に沿って切り抜かれた写真が並べられているという、「よけいなものがなにもない」純粋な写真絵本で、知的な遅れのある自閉症の幼いお子さんに最初に与える写真絵本としてはベストと思われるものです。(1)はまだ在庫があるようですが、(4)は既に絶版のようです。ちなみに我が家ではいまだに娘の「愛読書」です。
22位と23位は新書です。22位は自閉症の本ではなく、「社会のルール」みたいなものに対する考察なのですが、自閉症を考えるにあたって非常に参考になる内容です。23位は杉山先生の書かれた、発達障害全般を知るための定番書ですね。
25位と28位はTEACCHに関連する本、26位、27位、29位はABAに関連のある本になります。このうち、27、28、29位の本は当ブログではレビューしていませんが、偶然ですがすべて持っています。特に28位の本は、定価が安く設定されている割にはボリュームもあり、「TEACCHの課題や構造化」のビジュアルイメージがよく分かる本ですので、TEACCHに関心のある方には参考になる内容です。
24位は定番の「当事者本」ですが、書店などでの「自閉症本」の売れ行きと比較すると、当ブログではあまり出ていないように思います。当ブログは、私自身がそうであるように、知的な遅れのある自閉症児の親御さんの割合が相対的に大きいと想像されますので、アスペルガー症候群を中核に取り扱った本はあまり売れない傾向があるようです。(このシリーズでいう「自閉っ子」というのは、実際には自閉症全体ではなくて、社会人として働けるようなかなり知的能力の高いアスペルガー症候群の人だけを指しているようですので、誤解を招きやすい表現だとは思っています。)
今回は、ボリュームばかり多くてあまり内容のない記事になってしまいましたが、年末(というか、もう年始になってしまいますね)に手に取る本の参考になれば幸いです。
4位のあたし研究は読んでみたいと思っていながら忘れていて、今日この記事を見て思い出しました。
あとは、ラミネーター。ずいぶん小さいサイズもあるんですね。はがきサイズ位の物があれば購入しようと思いました。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
小さいラミネーターは、割とどこでも(ラミネーターを売っているところなら)売っているんじゃないかと思います。
大きいサイズよりも、小さいほうがずっと使い勝手がいいですよ。我が家でも、2台あるうちの98%くらいは小さいほうが活躍しています。
いつも興味深く記事を読ませてもらっています。
ちょっとタイミングを外してしまったのですが、僕もこのブログの書籍紹介から上位3冊を含む7冊の本を注文して読んでみて、全部当たりだったので、とてもお世話になっているなぁと感じています。
ちなみにランキングには以前に購入して読んだ本も3冊ほどあったので、三分の一の確率で読んでいたんだなぁと変なところで感心もしていました(笑)
昨年僕が一番感銘を受けた「単純な脳、複雑な『私』」はランク外だったのは、ちょっと残念でした。
立場は違うのに「心理学で何がわかるのか」にも通じるものの考え方があって、ハッとさせられることが多かったです。
沢山の知見をもとにそらパパさんオリジナルの視点で展開されている「ライブ・自閉症の認知システム」の記事も毎回楽しみに読ませてもらっています。
これからも頑張ってくださいね。
遠くからですが、応援しています。
コメントありがとうございます。
ブックレビューでは、かなり厳しめに評価させていただいています。
結果として、そういう意味では「保守的」なセレクションになっている側面もあるかもしれませんが、一応、安心して読める本をご紹介できているんじゃないかな、と思っています。
「単純な脳、複雑な『私』」は私も大好きですが、このような一般書は、当ブログからは、ランキング入りするほどには出ませんね。
でも、療育の本プラスこういったジャンルの本を読まれる、という親御さんも、きっと一定数いらっしゃるはずだと感じていますから、特に気に入った本についてはジャンルを問わずご紹介させていただいています。
これからもよろしくお願いします。