2009年11月23日

ライブ・自閉症の認知システム (1)

このシリーズ記事は、先日(といってももう5か月たちますが)、石川にて行なわせていただいた2時間の講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。

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Slide 1 : 表紙

この講演では、内容が比較的高度なものになることが予想されたため、かなり詳細に準備を行ない、話す内容もスクリプト原稿としてすべて書き下ろして臨みました。その原稿の内容が、現時点での私の自閉症という障害についての考え方をコンパクトにまとめたものになっていると感じたので、今回、その原稿をベースにシリーズ記事を書き起こしてみることにしました。
なお、内容についてのすべての責任および権利は私にありますので、この内容について、いしかわTEACCH研その他私以外のところへのお問い合わせは絶対にやめてください。また、当日用意した原稿をかなり思い切って再編していますので、当該講演の内容との同一性や整合性についての保証も一切ないことをご了承ください。

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Slide 2 : 自己紹介

こんにちは、はじめまして。そらパパです。
まずは簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。

私は、一言でいうと「自閉症の子どもの父親」です。娘がひとりいまして、この子が重度の知的障害を伴った自閉症です。娘はこの春から地元の支援学校に通っています。
普段はサラリーマンをやっていまして、療育とはまったく関係のない仕事をやっていますけど、たまたま、大学時代には心理学を履修していて、「認定心理士」という資格ももっています。
当時、私が専攻していたのは、「認知心理学」という心理学で、これは人間の脳をコンピューターのような情報処理システムととらえて、そこで行なわれている情報処理のしくみを実験を通じて解明していこう、という心理学です。
ですので、今日これからお話しする内容も、基本的にはこの認知心理学的な視点からのお話になります。

私が、どうやら自分の子どもは自閉症らしい、と気がついたのはもう4年あまり前、娘が1歳8か月くらいになったころになります。
それ以降、子どもの障害のことを知りたい、より良いかかわりかたを学びたいと思い、学生時代に学んだ心理学の経験も活かしながら、自閉症と療育について勉強してきました。
そうやって自分が勉強したこと、経験したことを、「お父さんの『そらまめ式』自閉症療育」というブログを通じて、インターネットで情報発信させていただいています。現在は週1回から2回くらいの更新のペースで記事を書かせていただいています。

このブログがきっかけになって、これまでに本を2冊書かせていただきました。1冊めが「自閉症-「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育」という本で、2冊めが「自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト」という本になります。
今日は、どちらかというとこの1冊めの本の内容を中心にしながら、自閉症について、ちょっと変わった視点で掘り下げていきたいと考えています。


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Slide 3 : 今日のテーマ

それでは、今日お話しする内容について簡単に整理しておきたいと思います。
大きくわけて、今日は2つのテーマについてお話ししたいと考えていますが、簡単にいってしまうと、前半ほど難しくて抽象的な話をして、後半にいくにしたがって具体的な話になっていきます

前半では、自閉症の人の認知システムはどうなっているんだろうか、ということについて、心理学的な視点から考えていきます
TEACCHでは、自閉症の人はそうでない人とは認知のしくみが異なる、ということを働きかけの出発点におきますが、ここでは、じゃあその「認知のしくみが違う」とは実際にはどんな風に違うんだ、ということについて、私なりに考察した1つの認知モデルを使ってご説明したいと思います。

後半は趣を変えまして、実際に娘の療育に取り組んでいる父親としての立場から、家庭での療育ってどうあるべきか、どんなことを意識していけばいいのか、お父さんはどんな役割を担えばいいのか、そういったことについてヒントになるようなお話をしていきたいと思います
ただ、こういうことをやりましょうとか、こんなトレーニングが効きますよといった、そういう具体的なお話ではなくて、家庭での療育を長く続けていくために、家族でどんな風に役割分担すればいいのかとか、いかがわしい療育法に騙されないためにはどうしたらいいのか、といった、考えかたとか取り組みかたについてのお話が中心になります。

全体的に、ちょっと頭を使っていただくような話が多くなると思います。
気軽なお父さんの育児話や苦労話を期待されてきた方がもしいらっしゃたら、ごめんなさい。たぶん今日のお話は、どちらかというと大学の心理学の公開講義みたいな感じになるだろうと思います。
ただし、教科書に書いてあることをそのまましゃべるような退屈なお話をする気はまったくありません。
時間の制約もありますので、自閉症についての基本的な知識についての話題は全部飛ばしてしまって、おそらくほとんどの方にとって初めて聞くような、自閉症についてのまったく新しい考えかた、理解のしかたについてお話ししようと思っています。

自閉症は難しい・わかりにくい障害だ、という印象を持っている方が多いと思うんですが、私は、自閉症というのは全然複雑なものでもなく、いろんな問題が混ざり合った障害でもなくて、とてもシンプルに、たった1つの脳の処理機能がうまく働いていないだけのものだ、と考えています
ですから、療育もシンプルに、そのうまく働いていないところをうまく働くように支援すればいい、ということになります。

その、自閉症の人がかかえているたった1つの問題とは何なのか、ということをこれからお話ししていきます。
結論はシンプルなんですが、そこにたどり着くまでは少し頭を使っていただくことになると思います。

ところで、最後に質疑応答の時間が用意されているようですが、話の途中で分からなくなると、その後がまったく理解できなくなってしまうかもしれませんので、もし、難しいな、分からないな、と思ったら、いつでも挙手して質問していただいてかまいません。よろしくお願いします。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 21:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 理論・知見 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
毎度お世話になります。アスペルガー当事者です。

このシリーズ、密かに楽しみにしていました!
ライブ、ということでどのような質問が出たのかもご紹介いただけるのでしょうか。興味津々です。
Posted by めえめえ at 2009年11月23日 23:25
うわー!ワクワクします。
学生になった気分でしっかり聞かせて(読ませて)もらいまーす。
Posted by Mママ at 2009年11月24日 09:42
うれしい特集ですね。

そらパパさんのお話しは、是非聞いてみたいと思っていました。
こちらは距離の問題でなかなか行くことが難しい土地がらなので。

石川での講演会の疑似体験(?)。楽しみに続きを待っていますね。
Posted by kzmsnow at 2009年11月24日 13:32
めえめえさん、Mママさん、kzmsnowさん、

コメントありがとうございます。

今回のシリーズ記事は、いまのところ16回程度で完結することを予定しています。

厳密には、実際にしゃべった内容ではなくて、事前に用意しておいたスクリプト(をさらに記事のために再構成したもの)から書き起こしていますので、実際の講演の内容とは必ずしも一致しません(実際に話した内容は、若干ですが、もう少し平易な内容になっていたと思います)が、文体としては普段の記事よりも話し言葉に近い、くだけたものになると思います。

また、録音したものから起こしていないため、残念ながら当日の質問を記事にする予定はありません。すみません。
ただ、講演での質問とは別に、このシリーズ記事のなかで新しい質問をコメントでお受けして、いろいろお答えできればいいなと思っています。
Posted by そらパパ at 2009年11月24日 21:47
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