http://www.homoeopathy.co.jp/sinchyaku_new/image/081116kyoiku_2.jpg
「教育医事新聞」の記事だそうです。
どこから見ても広告企画のように見えますが、はっきりとそうは書いていないようですね。
そして注目すべきは、中段の「現在由井氏が力を入れているのが自閉症をはじめとする発達障害への対応である。」とあるとおり、日本におけるホメオパシーが「自閉症」を明確なターゲットにすえて活動を行なっている、ということです。
ホメオパシーは、平たく言えば「砂糖玉をなめると万病が治る」という療法ですが、科学的根拠の見出されたことのないプラシーボ療法であることは明らかなので、改めて論じません。
たとえば、こちらに詳しい解説がありますのでぜひ参照してください。
引用部分では発達障害への「対応」になっていますが、本文の別の部分では「治癒」とも書いてありますし、同じく日本ホメオパシー医学協会のリンクから見られる以下の講演録では、
http://www.jphma.org/topics/topics_38.html
■第2回ホメオパシー医学国際シンポジウム in Kyoto 「なぜ、こんなにも自閉、多動、てんかんなどが増えたのか」
由井会長の講演は、「ホメオパシーによる発達障害治癒への応用症例」というテーマで、7ケースの症例を発表され、発達障害の子供たちが治っていく過程をDVDで目の当たりに見られる内容でした。事実、子供たちが治っていく姿を見て、感動が湧き起こり、心に響きました。
と、はっきりと「発達障害の子供たちが『治っていく』」と書いてあります。
具体的にこの人がどう語ったかは分かりませんが、こういうのって、医事法・薬事法違反にならないのか、不思議に思えるんですが、そのあたりはどうなんでしょうか。
ともあれ、科学的根拠のないホメオパシー療法が、わらにもすがりたい気持ちの親御さんをターゲットにして活動を拡大しつつある、ということは心にとどめておいたほうがいいでしょう。
自閉症が治る療法らしいという保護者の方からの噂で初めて知ったのですが、「教育委員会と病院のお墨付き」という言葉に背筋が凍る思いがしました。
実際この療法については知らなかったのですがtwitter上で教えて頂いた情報としてはこちら
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20090409#p1
http://d.hatena.ne.jp/hotsuma/20071104/p1
もともとは自閉症をターゲットにしたものではなかったのでしょうが、「発達障害」から「不登校」等まで幅広くターゲットを“準備中”のようです。
http://www.orthomolecular.jp/
相談された方には個人的にと言う前置きでお薦めしなかったのですが正解でした。
コメントありがとうございます。
今回の新聞記事、たまたま昨日見かけたのでエントリを書いたんですが、実は1年ほど前の記事だったことを後で知りました。
(まあ、発達障害に向けた活動を活発に行なっているのは事実ですので、記事の中身が的外れにならなくて幸いでしたが)
自閉症は機序がはっきり分かっておらず、治るということもなく、しかも本人と周囲の家族の生活に大きな影響を与えるものなので、そういった特性につけこんで、いろいろな人たちが「お金を稼ぎに」やってきます。
私たちにできることは、「自分と子どもの時間やお金などを無益なものに使わない」という心構えを持つことだけですね。
この「教育医事新聞」って、まともな内容の新聞なのでしょうか…
リンク先の内容を見た限りでは、
正直、流行に飛びつく軽率な記事としか
感じませんでした。
こういう記事でも、藁をもすがる思いで
信じてしまう人がいるので危険ですね。
私たち当事者&支援者は、常に冷静に
必要な・正しい情報であるかを判断するように
日ごろから気をつけなければならないなぁと感じました。
それだけ、儲かるんでしょうね。
もちろん一般の人には本当かどうかわからないので、信じてしまうのは仕方がないと思います。
しかし、人の弱みにつけ込んでもうけようとする人がいるということに腹が立ちます。
インターネットなどで情報があふれかえっている今だからこそ、私たちは正確な情報を選べるような目を養わなければいけないのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
こういう「業界紙」みたいなものは、どの業界でもピンからキリまであって、どういう人が読んでいるかほとんど分からないようなものも多いと思います。
http://www.the-em.co.jp/back_2008.html
こちらが2008年の記事一覧のようですが、確かに「2008年10月25日号/11月25日号」に掲載されています。
それ以外の記事を見ても、広告っぽいものが多いですね。
いずれにせよ、支援とか療育に関していえば、根拠もないのに「治癒する」とか言ってしまうものを避けることは大切ですね。
(何度か書いているのですが、こういったものについての、すごく簡単な見分け方は、「治る」と主張しているものはインチキだ、というものです。)
コメントありがとうございます。
あまりに次々と出てくるものだから、まともに反論することが非常に難しくなるわけです。(反論されたら別のトンデモに移行すればいいわけですからね。)
まあ、これはすぐ上のコメントでも書いたのですが、端的には「自閉症が治る」と主張するものに関わらないようにすれば、だいたい変なものには手を出さないで済むと思います。
下の内容の講演案内が今日付の北海道新聞に大きな広告として出ていました。
http://www.jiheisho.org/sem/index_hokkaido.html
プラスして道新紙上にあった文字は「後援 札幌市教育委員会」。
教育委員会のお墨付きです。たくさんの方が行かれるのでしょうか…
そしてこういういい加減な記事を「たまたま」読んだ人からおせっかいな事を言われたりしていやな気持ちになる人がどれだけいるか。
私を含め、医療や心理の専門でもない一般の親や当事者は判断する術がありません。
それで「結局どこどこの専門家が、権威(と言われる人が)勧めてるから」とかいう事で判断するしかないのです。
やはり基準はエビデンス(っていうのですよね?)になるのですね。
「同じ状況下で、何人がそれをやって何人がそれをやらないで結果を出したらこうだった」と、ハッキリと分かりやすく言えるメソッドがいいし、そういう証拠を提示出来ない人が公で影響力のある場所で発言すること自体、もう少しとりしまわれるべきなのでしょうね。
コメントありがとうございます。
この「オーソモレキュラー」の話題、かなり重要だと思いましたので、少々調べて記事としてとりあげました。
Aspieさん、
こういう場面でEBが重要になるのは、まさにそこに登場する人が「自閉症が『治る』」と主張し、自閉症の人に働きかけようとする存在だからこそ、ですね。
自閉症の人とかかわることの「全体」がEBになるわけではありません。自閉症児と楽しく遊ぶことが、すべてEBでなければ無意味だ、なんて議論こそ無意味です。でも、「自閉症が『治る』」と主張するような人に対しては、厳しくEBを追及していかなければなりません。
なぜなら、「治る」と主張するということは、一般論として第三者に対して効果がある、と主張していることとイコールだからです。
そして、EBというのは、端的に「一般論として効果があるかどうか」が評価されているかどうか、という視点です。
逆にいえば、EBの議論に乗せられない、ということは、「一般論として効果があることが確認できない」ということであり、つまりは「治らない」ということなわけです。
つまり、EBでは語れないけど自閉症は治せる、と主張することは明らかに矛盾なわけです。
「ニセ科学」が批判されるのは、科学者による科学的検証を拒否しながら、一般人に向けてはニセの科学的外観によって権威づけしているからであって、純粋なオカルトや宗教まで否定しているわけではありません。
同じように、代替療法がEB的視点から批判されるのは、親御さんの無知につけこんで、「治ることが確認できない」のに「治る」と主張しているからなのです。
http://putorius.mydns.jp/wordpress/?p=1258
何故メキシコで新型インフルエンザの犠牲者が増えたのか -鼬、キーボードを叩く
メキシコが新型インフルエンザで際立って死亡率の高かったのは、ホメオパシーやサプリメント、自前で処方する抗生物質などで対応する民衆が多かったためではないかという話題です。
そして、New York Timesの記事。
http://www.nytimes.com/2009/05/01/health/01oaxaca.html?_r=2
But one important factor may be the eclectic approach to health care in Mexico, where large numbers of people self-prescribe antibiotics, take only homeopathic medicine, or seek out mysterious vitamin injections. For many, only when all else fails do they go to a doctor, who may or may not be well prepared.
メキシコでは、抗生物質を自分で処方する人がたくさんいるかと思えば、ホメオパシー薬しか飲まない人や、或いは、怪しげなビタミン注射に頼る人さえ少なくない。多くの人にとっては、医者にかかるというのは、万策尽きた最後の手段でしかないのだ。その医者でさえ、頼りにならないことがしばしばあるのだが。 (Skeptic's Wikiの訳より)
また、Wall Street Journalの記事。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703294004574511692168806858.html?mod=WSJ_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsSecond
According to the Centers for Disease Control and Prevention, the officially sanctioned vaccine is the only proven way to prevent the H1N1 virus, and the antiviral drugs oseltamivir (trade name Tamiflu) and zanamivir (Relenza) are among the few proven ways to shorten its duration. "There is no scientific evidence that any herbal, homeopathic or other folk remedies have any benefit against influenza," the CDC says.
米国CDCによると、公式に認可を受けたワクチンだけが、新型インフルエンザウィルスを予防すると証明されている方法であり、また、抗ウィルス薬であるoseltamivir(商品名タミフル)とzanamivir(リレンザ)が、発病期間を短縮すると証明されている数少ない方法である。CDCはまた、「どんな薬草やホメオパシー、その他の民間療法のクスリも、インフルエンザに対して何ら効果があるとの科学的証拠はない」と述べている。