PECSが通常のABAと比べて特によくできていると思うのは、この「導入」の部分です。
思い立ったらすぐ開始できますし、すぐに結果が出て子どもも欲しいものが手に入るのでパニックも起こりません。
家庭で始める療育としては、最初のハードルが非常に低いというのはとても好ましい特性だと思います。
第1フェーズ:コミュニケーションをはじめる
PECSを始めるための前提条件として、次の2つがあげられます。
1つは、子どもにとって大好きなものがあること。
もう1つは、子どもが自発的にそれを欲しがること。
「大好きなもの」は、食べ物でも、おもちゃでも、遊びでも、親がコントロールできるものなら何でも構いません。
例えば、我が家の例でいうと、娘はみかんが好きで、みかんが欲しくなると冷蔵庫まで私たちをクレーンで連れて行きます。
これは、「みかんが好き」であり、かつ「みかんが欲しいと自発的にクレーンする」という、上記2つの条件を満たしていて、私たちは「ああ、いま娘はみかんが欲しいんだな」ということが分かります。ですので、みかんを使ってPECSトレーニングを始めることができる、ということになります。
この段階では、「欲しがる際の行動」がパニックや自傷であったとしても構いません。要は、親がお子さんを見て、「今○○を欲しがっている」と分かるような○○があればいいのです。その際にパニックや自傷が起こっているのであれば、絵カード交換というより望ましい代替行動に置き換えていけばいいのです。
逆に、好きなものがあったとしても、親が積極的に与えないと食べたり遊んだりしなかったり、好きなものがはっきりしない、欲しいものがあってもただその場で泣くだけで何が欲しいのかよくわからない、といった状態では、PECSを始めるのは難しくなります。
こういった状態のお子さんにとっては、コミュニケーションの「必要性がまだ生じていない」、あるいは「芽ばえ行動がまだ生じていない」と言えます。
こういった発達段階のお子さんの場合は、食べ物に手を伸ばすトレーニングや、2つのものから好きなものを選ばせるトレーニング、目の前で欲しいものに覆いをしてそれを外させるトレーニングなど、日常生活の場面を活用した、より基礎的な認知・行動能力を高めるトレーニングから始めてください。
一方、ABAのトレーニングで出てくるような、アイコンタクトや椅子にじっと座ること、ことばの指示に対する理解力などは必要ありません。それどころか、絵カードと実物のマッチングスキルも不要ですし、絵カードの絵の意味すら、分からなくても大丈夫です。
このように、療育を開始するための前提条件がとても少なく、「トレーニングのためのトレーニング」がほとんど不要ですから、PECSの第1フェーズは、多くのご家庭で、今日からでも始めることができるでしょう。
第1フェーズの準備の最初のステップは、このような「子どもが自発的に欲しがるもの」を1つ決めることになります。
(次回に続きます。)
いつも、読み逃げです。
うちの息子は食いしん坊でね。。。
欲しいものがたくさんありすぎて、
迷ってしまうわ。
園の先生にも、おやつとか絵カードみせて
選択させたらっていうけど、うちのこは
全部食わせろっていいますわ。。。
すいません、どうでもいいコメントでした。
好きなものがいっぱいあれば、その中の1つからやればそれで十分だと思いますよ。
少なくともPECSでは、とにかく1つから始めるやり方を薦めています。
まああとは、いろいろな食べ物が写った「いろいろ」というカードを混ぜておいて、それを選ばせるというのもアリかもしれませんね。