この記事でとりあげている電子タイマーの「製作キット」を、ご希望の方にお配りしています。興味をもってくださった方は、ぜひそちらもご覧ください。
↑このシリーズ記事でとりあげている自作の電子タイマーです。(動画が古いので実際の機能はだいぶ変わっています)
↑この電子タイマーの回路図等の情報と、「製作キット」の頒布についての情報はこちらです。
今回は、この製作キットにご興味をお持ちの方に役立つよう、このキットの実際の製作のプロセスについて書いてみたいと思います。
といっても、ただ手順を追いかけるだけだと、既に公開している「製作マニュアル」と同じになってしまいますので、手順そのものは製作マニュアルに譲ることにして、マニュアルで十分に触れられなかった、プラスアルファの話題を中心に書いていきたいと思います。
まず最初に。
このシリーズ記事で掲載している写真は、基本的にどれも電子タイマーの「表側」、つまり電池とかLEDとかが乗っている側ばかりが写っていますが、「製作」ということでいえば、実は「裏側」のほうがずっと重要です。
それは、裏側の写真を見れば一発で分かります。
↑電子タイマーの「裏側」の写真です。
配線が縦横無尽、かつ細かく曲がって配置されていることがわかると思います。これは完成後のものですが、これが完成前の「製作キット」だとどういう状態かというと、こういう感じになります。
↑何もないユニバーサル基板の裏面と、配線用のすずメッキ線です。
市販の電子工作キットなどでは、既に配線が印刷された「プリント基板」が使われることが多いですが、このキットでは、配線のない「ユニバーサル基板」の上に、手作業で電線を曲げて1つずつはんだづけしていくことになります。
ちなみに「完成後」の基板に赤い線が見えるのは、製作時に配線を間違えないように、赤の油性マーカーで配線を書き写した跡です。
キット製作の手順は、おおよそ次のような感じになります。
(1)ユニバーサル基板の表面に、部品等の配置を油性マーカーで転写する。
(2)ユニバーサル基板の裏面に、配線図を油性マーカーで転写する。
(3)表面の部品のうち、ICソケットと抵抗器をはんだづけする。
(4)裏面(一部表面)の配線をはんだづけする。
(5)残りの部品とその周辺の配線をはんだづけする。
(6)LED用のカバーやスペーサーなどを取り付け、ケースに固定する
この中では、(2)の「配線の書き写し」と(4)の裏面の配線の作業が、製作作業全体の、おそらく90%くらいを占めることになります。
基板の大きさは95mm×72mmで、はがきの半分よりも小さいくらいですが、配線に使う電線(すずメッキ線)の長さは総延長で1.2mくらい※になります。とにかくたくさんはんだづけをすることになりますので、「はんだづけをしたことがない」という方にはちょっと難しいかもしれません。
※制作キットには、余裕をみて約1.5mの長さの電線を同封しています。
でも、基板が小さいこともあって、実際に作り始めてみると、意外と何日もかかるような作業ではありません(作業時間は数時間程度です)。作業の内容も、ひたすらすずメッキ線を必要な長さに切って折り曲げてはんだづけすることのくり返しですから、すぐに慣れて効率が上がっていきます。
個人的には、マフラーやセーターを編んだり、本格的なプラモデルを作ったりするよりもはるかに簡単だと思います。
作業のポイントは、道具をしっかり揃えることだと思います。
まず「はんだごて」ですが、作業が細かいので、こて先が細くとがっているタイプが使いやすいです。ワット数は20~30ワット程度のものがいいでしょう。
また、はんだづけ前のすずメッキ線を浮き上がらせずに固定できるよう、ソルダーアシストのフォークツール(代用品としては、小ぶりなマイナスドライバーなど)があると作業がはかどります。
また、はんだの付きすぎでつながってはいけない部分がショートしたときに、つけすぎたはんだを除去する「はんだ吸い取り線」も事実上必須ツールでしょう。
↑上にあるのがはんだ吸い取り線、下がソルダーアシストです。
これらは、中規模以上のホームセンターにはあると思いますが、ソルダーアシストとはんだ吸い取り線については、ご希望の方にキットと一緒にお送りしています。(頒布についてのページをご覧下さい。在庫限りです)
電子工作用はんだこてセット X-2000E
太洋電機
このセットもおすすめです。「こて先のとがったはんだごて」「はんだ」「ソルダーアシストのフォークツール」「はんだ吸い取り線」、さらには「こて台」まで入ってます。
あとは、「ラジオペンチ」と「ニッパー」も必要ですが、これらは100円ショップで売っているもので十分です。ラジオペンチは、つまむ部分が小さなものを選びましょう。(扱う部品が小さいので、ペンチでは代用できません)
配線については、こんな風にすずメッキ線で緻密に配線しなくても、ビニール被覆された電線で直接ピン同士を空中配線していく方法もあるのですが、それをやるととんでもないスパゲッティ配線になってしまって、動作しなかった場合にほとんどお手上げになる(実際、一度そういう失敗をしてしまいました)ので、あえてこういう配線にしています。
面倒そうに見えますが、製作後のメンテナンス性がよく、万一配線が原因で動作しなかった場合にも、問題を発見しやすくなります。(さらに個人的には、整然とした配線がキラキラしている「見た目」自体も気に入っていて、ガジェットとしての満足度が高いところも見逃せません(笑))
この写真を見て、「大変そう」ではなくて、「面白そう」「挑戦してみようかな」と思ってもらえると嬉しいですね。
裏面の配線作業は、熱で壊れるような部品を取り付けないで進めていきますので、はんだづけに失敗して何度もやり直したりしても、その熱で部品が壊れるということはほとんどないと思います。また、キットで使っている「すずメッキ線」はただの針金とは違ってはんだとなじみやすく、見た目以上にはんだづけは容易です。
裏面の配線以外では、難しいところはほとんどないと思います。実際の手順の詳細については、「製作マニュアル」のほうをご覧ください。
次回は、この電子タイマーのさまざまな機能を設定する「カスタマイズオプション」について解説しようと思います。
(次回に続きます。)