以下が、今回、講演で使用した配布資料になります。
↑PDFファイルですので、Adobe Readerを使って開くことができます。
資料からも分かるとおり、今回は、前回までのお話とはかなり趣を変え、私の1冊めの本『自閉症-「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育』の内容を中心に、心の哲学や心理学の話題について、かなり突っ込んだお話をさせていただきました。
内容的に難しいというか、あまり一般的にはなじみがないようなテーマについてお話しすることになりましたので、今回はスクリプト(話す内容についての原稿)もかなりしっかりとしたものを準備して臨みました。(逆にいうと、今回は配布資料だけでは、実際に話した内容があまり見えてこないようになっていると思います。)
なお、今回用意した「スクリプト」については、2時間半分の分量があり、読み応えもあると考えているので、少し加工して読み物として読みやすくしたうえで、当ブログのシリーズ記事として連載しようかと考えています。
ともあれ、こういったタイプの一般講演として「異色のテーマ」だったと思いますが、こういったお話をさせていただく場をご用意くださったいしかわTEACCH研の皆様、そして雨が降ったり暑かったりとめまぐるしく変わる天候のなか、ご足労いただいて講演に参加くださった皆さん(大変たくさんの方にお越しいただいて、感激しました)、本当にありがとうございました。
素人の講演でお聞き苦しいところも多々あったかと思いますが、もしまたご縁がありましたら、よろしくお願いします。
なお、今回も、講演の最後で「参考図書」をご案内させていただきました。拙著を除き、すべて自閉症関連図書以外のものになっていますが、当ブログで過去にレビューしたものが大半になっておりますので、そのレビュー記事のリンクもあわせ、以下に整理させていただきます。
<心の哲学について>
心の哲学入門(関連記事)
ロボットの心-7つの哲学物語(関連記事)
心理学入門一歩手前-「心の科学」のパラドックス(関連記事)
<一般化障害仮説について>
自閉症-「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育(関連記事)
考える脳 考えるコンピューター(関連記事)
脳 回路網のなかの精神(関連記事)
<アフォーダンス理論について>
アフォーダンス-新しい認知の理論(関連記事)
エコロジカル・マインド(関連記事)
<プロジェクトとしての療育とクリティカル・シンキングについて>
自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト(関連記事)
クリティカル進化(シンカー)論(関連記事)
哲学思考トレーニング
※最後に、事務連絡(?)です。
ご依頼いただければ、自閉症に関する勉強会・セミナー・講演会等で、当ブログの内容に準ずるお話をさせていただく準備がございます。
私はサラリーマンですので、営利活動としての講演は一切行ないません。日程の都合がつけば(基本的には土日で、東京との往復も含めて可能な日程に限ります)、交通費・現地宿泊費等の実費のみで、お話をさせていただきます。ただし、営利を目的としない(資料代等以上の過大な会費等を参加者に請求したりしない)講演に限ります。
また、日程やテーマなどの都合により、ご依頼をお断りさせていただくこともございますので、ご了承ください。
よろしくおながいします。
見上げれば青い空・・・心に愛です。
アメブロで始めました。
ブログ開設おめでとうございます。
ブログは、続けていくことにこそ価値があると思います。
長く続いていくよう、応援しています。
自閉症を勉強しているものです。
ぶしつけを承知で質問させていただきます。
抽出処理能力は心理学用語「知覚」に近い概念と考えて間違いないでしょうか?
コメントありがとうございます。
「抽出」は「知覚」とは違います。既存の用語で置き換えるなら、どちらかというと、情報科学や脳科学でいう「符号化」という概念のほうが近いかと思います。
脳のなかでは、「見たこと」も「聞いたこと」も、「身体を動かす命令」も、何もかもがニューロンの電子・化学的信号によって処理されます。ということは、「見たこと・聞いたことの情報」(と厳密に言い切ってしまうと多少ずれるので、「経験したことの情報」と呼んだほうがいいですが)は、とりあえず「脳のなかで処理できる信号」に置き換えられることになります。(これは、「知覚」と呼べるような、情報処理を進めた後の段階よりずっと前の、非常にプリミティブな段階をイメージしています)
この「脳のなかで処理できるような信号に置き換えられること」を、「抽出」と呼んでいます。
ただ、「符号化」よりも「抽出」のほうが意味が広い部分としては、「抽出」には「同一性保持」の要素を想定している、ということです。
つまり、「いぬA」を見た、という経験によって生み出される「信号」と、それから1分後に、寸分違わぬ状態でもう一度「いぬA」を見たときに生み出される「信号」が、同一性を保っている、そういう状態で信号を生み出すことができるような処理機能を「抽出処理」と呼んでいます。
そして、「いぬA」と「いぬB」と「いぬC」といった、「似ているけど異なる経験」をうまく再構成して「いぬ一般」という概念を生み出すのが、「一般化処理」ということになります。
こちらのコメント欄で同様の議論が展開されています。参照ください。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/24618400.html
こちらでも、「符号化」と「抽出処理(この記事の時点では「抽象化」と呼んでいますが、同じものです)」の異同について議論しています。
心理学や脳科学の知識が入門レベル以下である私にとっては「情報科学」、「符号化」のヒントにピンとくるものがありました。
サンプリングの間隔が密にすぎても疎にすぎても元の情報をうまく再現できないということですね。
感覚的には理解できた気がします。
抽出処理の能力を、サンプリング周波数のよしあしにまで具体化してしまうと、かなり私のイメージしているものとは違う気はします。
また、念のために申し添えておくと、自閉症では、抽出処理のほうには問題は「ない」、というのが、この仮説の考えかたではあります。