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子どもの脳にいいこと―多動児、知的障害児がよくなる3つの方法 (単行本)
著:鈴木 昭平
コスモトゥーワン
1 こうして知的障害児が優秀児になった!!
2 脳の仕組みからいえる知的障害児の優秀性
3 今すぐ実践!!「すずき教育メソッド」
4 知的障害児の無限の可能性を引き出す日常生活のコツ
4章しかない本ですが、最初の1章はまるごとエピソード主義になっています。そして続く第2章では、知的障害の原因を「右脳が強くて左脳が弱いこと」だと断定します。ちなみに「右脳・左脳論」というのは、根拠の薄いトンデモ理論だというのが脳科学の世界では定説です。(参考記事)
その後は、その「治し方」として、サプリメントを飲ませたり速読をやらせたり自分のやっている教室の宣伝をしたりと、典型的な「代替療法宣伝本」になっていくわけですが、これってどこかで見たのとそっくり・・・と思ったら、七田式の自閉症本で見たのと同じでした。で、さらにちょっと調べてみると、著者略歴にある「つくば能力開発センター(この人はここの取締役所長だそうですが)」というのは、どうやら「七田式の幼児教室」らしいですね(参考記事)。
こういう「効能本」とか「効能教室」は、小さい子どもほど効果的、急がないとダメ、と危機感をあおりますが、小さい子どもは自然にでもすごく成長・発達します。ですから、そういう子どもをとにかくたくさん「所属」さえさせておけば、自分たちがやっていることの効果がまったくなくても「すごく成長・発達したエピソード」はいくらでも集まります。端的にいえば、このブログをご覧になっている、幸いにしてたくさんの親御さんのお子さんの中には、ここ1年・2年の間にものすごく伸びたケースもきっとあると思いますけど、私がそれを「悪用」する気になれば、「読むだけでお子さんの自閉症が治るブログ」と喧伝して、エピソードをたくさん掲載することも可能なわけですね。もちろんそんなバカなことはしませんけど。
そういうことでいえば、幼児だけを対象にして、大人の自閉症、知的障害の人を相手にしない「療育法」は、それだけで眉につばをつけて考えたほうがいいのかもしれません。(意外と、この判定方法は有効かもしれません。とりあえず私がイメージする「有効な療育法」と「ダメな療育法」は、この基準でキレイに二分できそうなので)
まあ、そういう本です。それ以上は語る必要はありませんが、あえて最後に付け加えるならば、知的障害児を支援する本のはずなのに「知的障害児」の対語として「優秀児」ということばを持ってきているところに、知的障害児を頭ごなしに「劣っているもの」と見る視点が透けてみえて気分が悪いです。
あと、どうでもいいですけど、この本にAmazonで5つ星を出している2人のレビュアーの「過去のレビュー」を比較すると、かなり面白いです。というか、その本でかぶるか?(笑)
※その他の「まともな」ブックレビューはこちら。
自閉症の娘(5歳)を持つ母でございます。
昨晩、実母から「この本を読めば自閉症も治るかもしれないと新聞に謳ってたよ」的な電話がかかってきました。ちょっと怪しいと思いつつ興味もあったので購入しようか迷ったのですが、一応ネットで調べてみようと、そらまめさんのプログを読んで良かったです。なんだか人の弱味につけこんでって感じですねっ。
母も良かれと思って知らせてくれたことなので、一応丁重にお礼を言い、でも買わないでと忠告しておきました。
ありがとうございます。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
この本に限らず、科学的に検証されていない、もしくは検証された結果有効でないと結論づけられた「自閉症が治ると称する療法」はたくさんあります。
今後も、そういったものに出会うことが多々あると思いますが、華々しい宣伝文句にとらわれず、冷静に判断を下されることを期待します。
タイミング悪く、ドーマン法で育てた方(奇跡の詩人君親子ともリアルでお知り合いだとか)の体験談を聞いてしまった後だったので、皆さんすんなりとこの本の内容を受け入れてしまったようです。
(知的障害児は本当はみな賢い、小さいころから徹底して脳を鍛えてやらないといけない、右脳・左脳がなんとかとか、フラッシュカードがどうのとか、サプリメントやグルテン抜きとか…。興味がなかったのでうろ覚えですが、とても似てますね)
他所のお宅の育て方や考え方にまで口を挟むのもおこがましい様な気もするし、「あの時○○をしなかったから発達が伸びなかった」と言われても責任もとれないし…などと思うと余計なことも言えず・・・。「希望が持てた!頑張る!!」とキラキラしてるお母さんたちを見ているととても歯がゆく、複雑な思いです。
ネットもほとんどやらない・出来ないという方ばかり。
ABAやTEACCHの話を出しても、ドーマンの人やこの本の内容のようなインパクトが無いせいか、皆さんとても興味が薄いんですよね。
コメントありがとうございます。
うーん、なかなか悩ましい状況ですね。
具体的に子どもの身体に危険があるような方法(手術や強い薬など)であれば、強く反対することもやっていいんじゃないかと思いますが、そうでない「いろいろ頑張ってやってみよう」的なものだと、事実として難しいところがあると思います。
やはり、与えられた試練が大きいと、どうしても「地道な道を歩んで少しでも前に進む」というより「奇跡に賭けたい」といったような傾向が出てしまうのかもしれません。
自閉症に限りませんが、根拠に乏しい夢のような話をして、親御さんなどの「将来への目」を曇らせてしまう人たちは、本当に責任が重いと思います。(それがたとえ善意であったとしても)
この本、ほんとひどかったです。。。
洗脳系のように感じました。
脳性まひからの知的障害ありの娘のためにと本を借りましたが、時間の無駄でしたね。。。
3分の1程、読んでからおかしいなぁと思いAmazonの評価は見たんですが、納得の評価でした。
コメントありがとうございます。
いやー、この本は…やっぱりダメでしょう。
今でも、ときどき、食事だけで自閉症が治ったり、サプリを飲むだけで障害が消え去ったりといった「効能宣伝トンデモ本」が出てきますが、まあ全然進歩していないですよね。
たしかにAmazonのレビューはボロボロでしたね。適切な評価だとは思います。