みんなの手あそびうた DVDつき
著:阿部 直美
主婦の友社
DVD収録曲
むすんでひらいて~おおきなくりのきのしたで~いとまき(メドレー)
いっちょうめのドラねこ
くいしんぼゴリラのうた
ずっとあいこ
ちゃちゃつぼ
ならのだいぶつさん
まちがえちゃうね
たまごのうた
うさぎさんよくみてね
あたまかたひざポン
手あそびうたブック―DVDとイラストでよくわかる!
永岡書店編集部
私がオリジナルDVDを制作することにしたのは、「うたを歌っている姿(特に口もと)に集中できる、余計なものが映っていないDVD」が探してもどうしても見つからなかったからだ、と以前書きましたが、ここへきて、そういった要望に近いDVDつきの本が相次いで発売されました。
日々の療育のネタ本として、かなり使えそうなので、紹介したいと思います。
まずは、昨年12月に発売された「みんなの手あそびうた」からです。
DVDに収録された曲は全10曲(メドレーが入っているので実質12曲)で約20分、本文には65曲の手遊び歌が、楽譜と歌詞と手遊びのイラストがセットになって収録されています。
掲載されている手あそび歌は、「大きなくりの木のしたで」のようななじみの深いものが半分、オリジナル曲が半分くらいの構成となっており、対象年齢も、「赤ちゃん用」としてまとめられた非常に簡単なものから、幼稚園児むけ程度のやや複雑なものまで、多岐にわたっています。基本的に全曲メロディ譜とあそび方のイラストつきです。
オリジナル曲が多いのは賛否両論ありそうですが、ボリューム感はまずまずです。
付属DVDもなかなか完成度が高いです。
2006/1/29 DVDの画像をアップしました。問題ある場合はご連絡ください。
再生すると、最初にメニューが出てしまうためリモコン操作が必要になるのが個人的には少し残念ですが、そのメニューで全曲再生を選ぶと、あとはまったく同じ絵を背景に(どうやら合成ではなく、実際に絵の前で歌っているようです)手遊び歌が順番に流れます。全身が映っているため、ちょっと口もとを見るには口が小さすぎです(しかも口パクなので歌と口のタイミングが完全には合っていない部分もあります)ので、子どもに口マネをさせる目的にはちょっと使いにくいですが、逆に、全身を使った手遊び歌なので、動作模倣をさせるという目的には非常に適した映像素材となっています。
実際、うちの娘にはじめて見せたところ、7曲目の「まちがえちゃうね」で、初めて見る歌・手遊びであるにもかかわらず、手を大きく上に上げる動作をマネし始めました。
小さなことですが、DVDに出て歌っているお姉さんがとても楽しそうというのも、見逃せないポイントです。
一方「手あそびうたブック」は、1月に入って発売されたばかりの本です。DVDがついて値段が1,470円と手ごろなのが嬉しいですね。
「手あそび本辞典」としてみた場合、個人的にはこちらのほうがずっと優れていると感じます。
いわゆるオリジナル曲はなく、ポピュラーな曲ばかり約60曲が収録されているため、「みんなの手あそびうた」のオリジナル曲以外はおよそ網羅され、逆にこちらにしかない曲もたくさんあります。
もちろん、楽譜、振りのイラストも全曲ついています。
ただ、付属のDVDはちょっと微妙(というか、惜しい!)です。
収録曲数は30曲もあり、収録時間も35分と長く、しかもみんなが知っている曲が多いので、そこだけ見るとこちらのDVDのほうがよさそうなのですが、登場するお姉さんがあまり楽しそうに見えないのと、曲が完全にBGM状態で、口パクすらまともにやってくれていない点が、大きくマイナスです。
(再生するとメニューで止まってしまうのは同じです。子ども向けのDVDは最初にメニューで止めない仕様にぜひしてほしいものです)
純粋に動作模倣だけを目的に使うならこちらのDVDでまったく問題なさそうですが、我が家の場合は音声模倣もがんばって教えている段階ですので、先の「みんなの手あそびうた」のDVDを、自作のオリジナルDVDの補助教材として見せていこうと考えています。お姉さんも楽しそうだし。
というわけで、「DVDメイン」に考えるなら「みんなの手あそびうた」を、「書籍メイン」に考えるなら「手あそびうたブック」をおすすめしたいと思います。
我が家でもそうですが、自閉症児にうまく手あそびを教えることができると、それをやって欲しくて、子どものほうから親に近寄ってくるといった機会がふえ、その先の療育につなげる大きなきっかけになります。
ですので、親子のスキンシップなどが求められる初期の療育の教材として、こういった「手あそびDVD」というのはとても有効だと思います。
この記事は本のレビューであると同時に、具体的な療育の実践方法の1つとして私が有効だと考えるものでもありますので、「実践プログラム」のカテゴリで投稿することにしました。
興味を持たれた方は、ぜひお試しください。
※その他のブックレビューはこちら。