↑このシリーズ記事でとりあげている自作の電子タイマーです。
↑現在、この電子タイマーの製作キットをご希望の方にお配りしています。興味をもっていただいた方は、上記バナーから飛べる案内ページをご覧ください。既に製作された方のレポートも満載です。
今回は、この電子タイマーを作ることにしたきっかけについて書こうと思います。
電子タイマーの製作に挑戦してみようと思ったのは、妻のある話がきっかけでした。
娘が通っている(先日終わったので「通っていた」ですね)TEACCH系の療育で、市販のLED式電子タイマーが実際に活用されていて、それを妻が見てうちでも買って使ってみたいという話をしてきたのです。
そこで、妻を通じてその療育で使っているタイマーの商品名を教えてもらったところ、これでした。
うーん、高い(笑)。確かに良さそうですが、個人で気軽に購入できる値段ではありません。
妻が言うには「療育の先生も、高いから個人で買うのは難しいんじゃないかな、って。これくらいだったら自分で作れちゃうんじゃないの、とも言ってたよ」とのこと。
・・・自分で作る。
確かに、電子式のタイマーを自分で作れないか、というのは、かなり前から頭の片隅にずっとあったアイデアでした。
もともと、いま家で実際に活用している「タイムタイマー」を買うときも、できれば特定のメーカーの特定の商品に依存してしまうんじゃなくて、100円ショップなどで簡単に買える商品をうまく組み合わせて、同じような機能を安く実現できないか、とかなり試行錯誤した経緯がありました。
結局、100円ショップには、ゼンマイ式のキッチンタイマー(原始的過ぎて精度も低く、改造できる余地がほとんどない)と、液晶パネル式のキッチンタイマー(数字が読めないと意味なし)、ガラス製の3分砂時計(時間も短いし割れて危険)くらいしか「タイマー」につながる商品がなく、どれも「タイムタイマー」的な応用にはほど遠いものでした。
実はこのときも「電子式のタイマーを自作する」というアイデアが頭をよぎったのですが、電気の知識がほとんどない私には、いったいどんな回路を組めばタイマーができるかも想像できませんでした。
そしてまもなく、「タイムタイマー」を実際に買って使い始めてしまったので、このときはそれ以上深く考えることはせず、タイマーを自作するというアイデアは意識の下に眠ってしまっていたわけです。
↑タイムタイマー。今は楽天でも売っているようです。もちろんこれ自体はよく考慮されたいい商品です。
その思いが、このときの妻の発言で改めて呼び覚まされました。
今回、前回よりもモチベーションが高くなったのは、比較する既製品の値段が違っていたというのも大きかったかもしれません。
前回は、100円ショップの商品やタイムタイマーといった、100円~数千円クラスのものと比較してイメージしていましたから、「仮に自作したとしてもかなり割高になるだろうなあ」という印象も強かったのですが、今回は数万円の商品が比較の対象ですから、「これよりは安い値段で、もしかするとそこそこのタイマーが作れるかもしれない」という気持ちになれたわけです。
そして、ネットなどでいろいろ調べてみた結果、「マイコンを使ってLEDを制御する電子タイマー」というアプローチなら、もしかすると自分がイメージするような電子タイマーが何とか作れるかもしれない、ということが分かってきました。
このやり方だと、パーツを組み合わせて電子回路をつくる(ハードウェア)だけでなく、マイコンを動作させるためにプログラムを書く(ソフトウェア)ことも必要になり、ハードとソフト、両方の勉強が必要になるわけですが、プログラミングに関しては多少経験がある(大昔ですが、アマチュアプログラマーとしてゲームなどを作ってました)ので、「ハードで手抜きしてソフトで頑張る」ほうが、かえって私にとっては難易度が低いんじゃないかという気がしました。
そこで、一念発起して、電子工作とPICマイコンのプログラミング、両方の勉強を始めたわけです。これが、去年の秋の終わりくらいでした。
それから、12月にはPICマイコンにプログラムを書いてLED(発光ダイオード)を1個だけ点灯するくらいのことができるようになり、年末までに電子タイマーの「ハードウェア」が大体できあがり、年明け早々には「ソフトウェア」の基本ができあがりました。
それ以降は、ひたすらソフトウェアの機能アップと不具合つぶしをくり返し、各種マニュアルを書いたり紹介動画を作ったりといった準備を続けて(これがなかなか大変です)、ようやくブログにてご紹介できる段階までこぎつけたというわけです。
(このあたりの苦労話?もそのうちもっと詳しく書きたいと思いますが、書き始めるとかなり長くなることが分かった(笑)ので、今回は手短にまとめました。)
ちなみに、「PICマイコンの勉強」のためにたくさん買った本のうち、特に役に立ったと感じる本を以下にご紹介しておきます。
図解 PICマイコン実習―ゼロからわかる電子制御
著:堀 桂太郎
森北出版
はじめてのPICアセンブラ入門
著:光永 法明、後田 敏
CQ出版社
次回のシリーズ記事では、この電子タイマーの製作キットの実際の製作プロセスについての話題を書きたいと思います。
(次回に続きます。)