今後、ブログの記事としてもそういった話題について触れていきたいと思いますし、そういった部分を分かりやすく書いた本についても、今後紹介していきたいと思います。
今日ご紹介するのは、そういった、「最初の入門書」として、非常におすすめの1冊です。
自閉症児の保育・子育て入門
著:中根 晃
大月書店 子育てと健康シリーズ
1.自閉症を正しく理解する
2.自閉症の早期発見と早期治療
3.自閉症児の保育指導
4.自閉症と学校教育
おすすめの理由も含め、簡単にご紹介します。
本書の著者は中根晃先生、発達障害をはじめとする子どもの精神疾患についての日本屈指の専門病院である東京都立梅ヶ丘病院の前院長です。
この本の読者として想定されているのは、自閉症、あるいは自閉症の恐れのある幼児期から学童期までの子どもを持った親御さんです。
特に、1歳半から3~4歳くらいの幼児期に焦点が当てられ、自閉症とはどんな病気かについての解説や、早期発見と早期療育(「治療」と目次がついていますが実際の中身は療育です)、子育てのコツなどが分かりやすくコンパクトにまとめられています。総ページ数も100ページあまりで、最後まで一気に読めると思います。
しかしながら、短いからといって内容が薄いとは言えません。
実は、幼児期に焦点を当てた自閉症の本というのは意外に少なく、この部分に関して言えば本書は一般向け書籍の中では最も内容が充実した本の1つだと言えるでしょう。
自閉症に対して抱きやすい誤解を解くことにページが割かれているほか、早期療育のやり方についても、合理的な行動療法の手法と、自閉症児の側に立ったTEACCHの考え方をうまく取り入れた分かりやすく適切なガイドラインが示されており、初めて自閉症の宣告を受けて途方にくれている親御さんにとって、とても大きな力になるメッセージが盛り込まれていると感じます。
普段から字の込み入った本は薦めても絶対読んでくれない妻も、この本は最後まで(しかも2回も)読んでくれて、「自閉症に対する理解が深まった」と言っていました。
理解が深まれば、療育に対しても目的意識を持って前向きに取り組めるようになると思いますし、現に妻もそうだったと思います。そういう意味でもこの本には感謝しています。
1歳半検診や3歳児検診で子どもの自閉症(の恐れ)を指摘され、自閉症がどんな障害なのか、いったい子どもの身にどんなことが起こっていて、自分たちは何をすべきか、分からないことだらけでどうしたらいいか分からない、そんなところに優しく手を差し伸べてくれる本だと思います。
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