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2006年01月13日 [ Fri ]

TEACCHを考える(4)

前回までの3回で、TEACCHとは本質的にメタ療育理論である、という意見を、かなり突っ込んで書いてきました。

TEACCH本は、具体的な療育カリキュラムについてあまり言及していません。これまでの論議をふまえると、これには次の2つの理由があると考えられます。

1つには、TEACCHにおいては、具体的なプログラムはプロのスタッフによる個別指導の中で設計されていくべきものであるという信念があること。

もう1つは、実はTEACCHにおいて、具体的なプログラムとしてどんな課題をどんな順序でやらせるかについてはそれほど明確な理論がないこと。

後者のような断定にはご批判もあるかと思いますが、私が理解の範囲内では、行動療法や、あるいはそれこそ遊戯療法のような「あまり効果がなさそうな」他の心理療法と比較しても、具体的な課題の設定についてTEACCHが語る部分は小さいと思います。

もちろん、実際に療育をされているTEACCHのスタッフの方々は、豊富なノウハウを活かして、さまざまな効果的な療育プログラムを組んでいらっしゃることと思います。
TEACCHには具体的な療育プログラムがない、ということではないのです。

そうではなくて、TEACCHに関わる方々は、そのプログラムの本質が歪められることを避けるために、パターン化された療育メニューに安易に「TEACCH」の冠をかぶせることを意識して控えてきたのだろう、と理解しています。

その結果、少なくとも一般向けのTEACCH本には、画一化された療育カリキュラムの類が載らないことになりました。ある意味では、すべての一般向けTEACCH本は「イントロ本」に過ぎず、「ノウハウ本」ではない、と言えるでしょう。

これは、これまで見てきたようなTEACCHの本質からみれば正しい姿であり、あくまでプロのスタッフによる個別指導を受けながら、構造化や視覚化といったTEACCHの基礎概念を家庭を含めた全体で実践すべきである、というTEACCHの信念を反映していると言えます。

しかしこのことがTEACCHプログラムにある種の閉鎖性を生み出し、またTEACCHに対する多くの誤解を招いている側面もあるのではないか、と感じています。

なぜTEACCH本に療育カリキュラムがあまり載っていないのかも、プロによる個別指導がなぜ大切かも、療育の経験を積んだ方にとってはTEACCHはとても具体的な理論だということも、今の私にはよく分かります。
でも、1年半前にTEACCH本を読んでも自分で療育が始められず、しかも問い合わせた病院でも十分な受け入れ体制がないという話を聞かされたときは、やはりTEACCHに突き放された気がして、少し失望したのも事実です。

現在の日本では、プロのサポートを受けてTEACCHプログラムを実践できる環境は(特に幼児期は)極めて限られています。TEACCHに関心を持ちつつも、TEACCHスタッフとの接点がなく、前に進めない家庭も、我が家も含めてそれこそ無数にあると思います。
TEACCHの本質が「枠組み」にあるとすればなおさら、限られた施設の中で限定的に活用されるのではなく、TEACCHに興味をもった親御さんがとりあえず始めてみて、TEACCHが目指す、自閉症児が生き生きと生活できる環境作りのきっかけになるような場面がもっと増えていいと思います。

そういったことを考えると、TEACCHの本質からは少し外れるのかもしれませんが、自閉症児をいくつかの類型に分け、あるいは最大公約数的な発達課題を抜き出して、具体的な療育カリキュラムが易しく記述され、少し努力すれば家庭でも独学で実践できる、そんな新しいタイプのTEACCHの「ノウハウ本」が登場してもいいのではないか、と思うのです。
それが、プロフェッショナルな個別プログラムを核とする「TEACCH」の概念に入りにくい、ということであれば、その具体的プログラムを作った人の名前を冠した傍流のTEACCHとして、「だれだれ式TEACCHプログラム」でもいいと思います。これは、行動療法の中の一派として「ロヴァース式行動療法」があるのと同じ考え方です。

こういった流れで考えると、私がこのブログでやろうとしていることは、非常に僭越な表現が許されるなら、自分の頭の中にある自分なりの「そらまめ式TEACCHプログラムって何だろう?」という問いかけなのかもしれません。

(次回に続きます。)

posted by そらパパ at 23:09 はてなブックマーク | コメント(0) | トラックバック(0) | 理論・知見
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