自閉症を含む軽度発達障害の子を持つ親のために
著:佐藤 真司、馬場 悠輔
監修:柿谷 正期
アチーブメント出版
第1章 GFCFダイエット
消化酵素
腸管浸漏(リーキーガット)症候群 ほか
第2章 軽度三角頭蓋
軽度三角頭蓋の手術
中断、そして再開 ほか
第3章 環境問題と発達障害
化学物質過敏症(multiple chemical sensitivity‐MCS)の定義
原因物質 ほか
第4章 自閉症と水銀
水銀は、どこからくるの?
キレーションについて ほか
第5章 視覚機能と発達障害
眼の問題とそれに起因する症状
ヒトの発達と原始反射について ほか
最近、自閉症関連であまり面白い新刊が出ていないようですし、先日、代替療法がらみの本を立ち読みレビューしたということもありますので、最新刊ではありませんが、割と新しい興味深い本をご紹介します。
(電子タイマーの記事を出すかどうか迷いましたが、帰省から戻ったばかりでちょっと準備が万全でないので、こちらの記事をアップさせていただきました。)
えーっと、目次を見て分かるとおり、この本は「自閉症への代替療法」の本です。
当ブログをお読みいただいている方はご存知のとおり、私はこれらの代替療法については、子どもを生命・健康の危険にさらすものについては倫理面から積極的に反対、そうとも言えないものについては、時間とコストのムダになる可能性が極めて高いという理由から消極的に反対という立場です。
ですから、この本の内容を「支持」しているわけではまったくないのですが、この本は買ってもいいかな、と思っています。なぜなら、
「定番」の自閉症の代替療法の多くを、まとめて概観できるからです(こういう本を出している著者や出版社を儲けさせてしまうのはちょっと気が引けますが)。
第4章のキレーションは、これまでも何度かとりあげているように、自閉症の代替療法の筆頭にあげられるものでしょう。リンク先の記事のコメント数のものすごさも、それを物語っています。
第2章の「軽度三角頭蓋(外科手術)」も、ある意味「脳の時代」にふさわしい(?)代替療法として有名です。また、「安全そうなので、とりあえずやってみてもいいかも」といった受け止められかたで最近頭角を現している(?)「GFCFダイエット」についても、多く紙面をさいて紹介されています。第3章の「環境問題」というのは、しばしば他の代替療法とセットで主張され、環境ホルモンなどの化学物質による体内汚染を防ぐためなどと称して、高価なサプリメントや「自然」食品などを販売するための根拠として利用されることが多いようです。
第5章の「視覚障害」というアプローチはあまり目にしたことがありませんが、こういう認知心理学・発達心理学的な知見を中途半端に引っ張ってきて自らの主張の根拠づけをするという手法はあらゆる代替療法でよく使われますので、そういった手法を解読するトレーニング素材としてはなかなかいいと思います。
↑本書のGFCFダイエットについての1ページ。
いずれにせよ、キレーション、GFCF、三角頭蓋という三大有名どころを含む、これだけの数の「定番自閉症代替療法」を1冊で幅広く紹介した手ごろな本というのは私が知る限りこれしかありませんし、「あなたの知らない世界」を垣間見るための「のぞき窓」としてかなり有効だと思います。いろいろ名前だけは聞く「代替療法」って、実際どんなものだろう? という疑問にコンパクトに答えてくれます。
あと、本書に掲載されていない「代替療法」で有力なものは、「イルカ介在療法」とか、東田直樹さんで注目されている「FC(ファシリテイティド・コミュニケーション)」、あるいはスピリチュアルブームに乗っかった「エンジェルセラピー(クリスタルチルドレン)」あたりでしょうか。七田式の「自閉症治療」も、独自の「右脳理論」をベースにサプリメントを飲ませたり念力を使ったりしますので、「代替療法」に分類できそうです。(実は、七田式自閉症療育については、ちょっとしたシリーズ記事を書いて既にストックしてあるのですが、機会を逸してしまってなかなかアップできないでいます。今掲載しているシリーズ記事が終わったら、掲載を考えてみようと思っています)
ところで、念のために書いておきますが、この本自体はこれらの代替療法を本気で推奨する内容ですので、どの療法についても、「科学っぽい根拠」が示され、エピソード主義的な「効いた、治った」といった主張が続いています。
ですから、読む前にはそれなりに覚悟を決めて、クリティカル・シンキング=科学の目をしっかり見開いていないと、ミイラ取りがミイラになる恐れがあることを予め警告しておきます。
ともあれ、本書にはそういった、スリル(?)と裏腹の「面白さ」があることは間違いありません。「科学の目」をしっかり持った方には、資料的価値のある本として、「おすすめ」しても大丈夫でしょう。
個人的には、こういった衒学的な理屈で自閉症を理解し、「治療」していこうという傾向そのものに、ある種の「統制感の幻想(イリュージョン・オブ・コントロール)」を感じます。つまり、「正しいやりかた」さえ分かれば、私たちは子どもの発達を大きく変えるだけの力を持っているはずだ、という考えかたですね。私は少なくとも自閉症、発達障害についてはそれは「幻想」だと思っていますが、そういう「幻想」を根っこに持っていると、「こうすれば自閉症は治りますよ」という主張に「なんちゃって科学的理論」がくっついてくると、つい乗っかってしまいたくなるのかもしれませんね。
最後に、コメントで反論が出る前に予め書いておきますが、今回出てきたどれか特定の療法に拠って立つ立場の方が理論武装されて、「なぜこの療法が効かないと言い切れるんだ」と主張されても、私はその論争の土俵に乗るつもりはありません。
私は、これらの療法が「効かないと分かっている」わけではありません。発達障害へのある特定の働きかけが「効かない」ことを証明することは、ある教育法がまったく効果がないことを証明するのと同様、極めて困難なことです。そうではなくて、「効くか効かないか分からないけれども、少なくともそれらの療法の効果が厳しく追試されて効果が確認されたり、研究者がノーベル賞をとったりしていない以上、宣伝されているような意味で『効く』と信じる根拠が薄いので、関わることに対して興味がない」のです。時間とお金ももったいないので、より「効きそう」と私自身が感じる療育的働きかけを採用して、そうでないものは採用していないに過ぎません。
安易に「効かない」と断言してしまうこともまた、「科学的態度」ではないと思います。でも、だからといって「効かないと断言しない」から、「効くかもしれない」と私が期待感を持っているということではまったくありません。
なお、代替療法に対する私の個別の立場については、過去にいくつか記事を書いていまて、それらについては上記の文章のなかにちりばめられたリンクからアクセスできますので、そちらも参照してください。
※その他のブックレビューについては、こちら。
いつもありがとうございます。
このエントリからアマゾンのサイトに飛ぶと、
予想以上に肯定的なコメントが並んでいて、驚きました。(ぞっとしました。)
我が子が自閉症だと聞かされて、一番最初に手にした本が万が一この本だったりすると、大変なことになります。
発達障害に関する書籍が玉石混淆(あれ?こんな字かな?)である現実を、保健師さんあたりも知っておかないといけないですね。
この本は、いわゆる受容の5段階でいう「段階3:取引」の段階から抜け出せないでいるような親御さんを典型的なターゲットにした本だと思うのです。そしてその背後には、記事でも指摘しているとおり、「統制感の幻想」が間違いなくあると考えます。
この本をAmazonで見ると、「この本を買った人はこんな商品も買っています」の一覧に、代替療法とロヴァース法、さらには東田本が並び、後ろにはRDIが続きます。RDIはご存知のとおり、ロヴァース法同様、1週間に15~20時間といったハードな療育を(少なくとも療育初期には)課す、主に高機能児向けの療育法です。
https://soramame-shiki.up.seesaa.net/image/kakitani.jpg
某有名ABAサークルの掲示板を覗いてみても、ロヴァース法と並んで、キレーションやGFCFダイエット、三角頭蓋手術などの代替療法への関心がしばしば現れています。これらは一見まったく異なったベクトルを持っているように見えますが、実は大きな主因子として「子どもの発達を自らの力でコントロールする(したい、できる)」という「統制感(の幻想)」(カッコは私の主観ですが)ベクトルを共有しているわけです。
私はABAそのものは自閉症の療育に欠かせないものだと思っていますが、「ABAカルチャー」のなかに見え隠れする「統制感への過剰な信頼」に対しては、とても危ういものをいつも感じています。
そういった意味でも、こういう代替療法への知識を一定レベルもっておくことは、トンデモな療育への免疫ということだけでなく、「まともな療育」のなかに部分的に見え隠れするような危うい要素への免疫をもつためにも、割と大切なことなんじゃないかな、と思っています。
(そういう意味では、TEACCHなんかでも、目に見えず証明できない概念を安易に実存視するという点は危ういと思っています。これについては以前書きました。)
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/104694111.html
こちらのブックレビューは本当に参考になります。
学会誌の書評で好意的に紹介されている本でも、そらパパさんが、批判的に書かれているときがあって、なるほど、と思うときがあります。
この柿谷先生は、かつて、町田市のキリスト教会の牧師さんで、その後、カウンセリングや結婚紹介所をやっておられたこともあります。キリスト教の業界では有名な方です。
今は大学の先生ですが。
自閉症が専門だったのかな?今度は自閉症に関する仕事を始めたのかな?と思いました。
カウンセリングで自閉症の人と出会ったのかもしれません。
それにしても、こういう医学的な記述のある本の監修者としてふさわしいのかどうか疑問です。
コメントありがとうございます。
このブログは想像以上にいろいろな方に読まれていただいているようで、そういう意味では批判的なレビューを書くのはそれなりの勇気が必要ですが、でもそれこそがこのブログに求められている(あるいは、私自身が表現したいと思っている)ことなので、開き直って書かせていただいています。(^^;)
柿谷氏というのは、牧師さんでしたか。
最近の活躍内容をみると、「選択理論」とか「リアリティセラピー」とか、何となく怪しげないわゆる「心理療法家」なのかな、と思っていましたが・・・
医学的なこともそうなのですが、心理(療法)的なことも、あいまいなバックグラウンドで書いてしまうのも危険だなあ、という印象は持ちます。
まあ、そういう人はこの「業界」では非常に多いようですが・・・(--;)
著書も二冊とも購入し読ませて頂いたり、紹介されている本もちょこちょこ買って読んでいます。
母が教育機関で自閉症の療育を担当しているので、そこから関心を持ったのがきっかけだったのですが、自閉症児の親向けのブログに、そうでない人間が書き込むことがなんとなく後ろめたかったので前回のコメントではそのことを伏せたまま書き込んでいました、ごめんなさい。
私には定型の子供が一人いるのですが、そらパパさんのブログを参考にして、大きなアクリルミラーを居間に置いたり、強化の法則に従った躾をしたり、発語前は絵カードでコミュニケーションしたりと、子育てに大いに役立たせてもらっています。そらパパさんの療育は、非常に繊細に子育てをしなくてはならない自閉症児向けでありますが、その繊細さが、子育ての中で普段見過ごしがちなことをたくさん気づかせてくれるきっかけとなっていて、非常にありがたく思っています。
しかしながらこのコメントも、ここでは相当場違いなものかもしれないので、その場合は掲載しないで下さい。
前置きが長くなりましたが、統制感の幻想について、とてもとても考えさせられました。
七田式始め、胎教から始まる赤ん坊への早期教育関連事項は、この統制感の幻想に深く関わっていると感じました。胎教などは、胎児に向かって絵本の読み聞かせをしたり、モーツァルトを聞かせることで天才児を作る、というような趣旨ですから、遺伝の良し悪しは全く別にして、胎児の頃から乳幼児期にかけて正しい教育を施せば、誰もが素晴らしい人間が出来上がる、という幻想の上に成り立っています。
子供を持つと、自分に出来ることなら何でもしてやりたい、教育面でも!という親が大勢います。私も例に漏れず、0歳の我が子に向かって、ドッツカードやフラッシュカード、絵本の読み聞かせやベビーサイン、エミネリーコミュニケーション(0歳代トイレコミュニケーション)など、色々としてきました。
すぐさま効果が現れたもの、効果とおぼしきものが後々出てきたもの、いまいち効果がよくわからないもの・・・等々、結果は様々でしたが、これら乳児相手にやることほぼ全てに共通することとして、統制感の幻想があるように感じました。
そこには、物言わぬ乳児の内的発達を親が推測し理解し促進させることが働きかけであり、またその過程では「我が子の為に正しいことをしているのだ」という親自身の強い自己肯定感が伴います。
私は自己肯定感自体は、悪いことだとは思っていないのですが、(抑うつだと子育てはしんどいですし、うちの子供は素晴らしい!とかって、ちょい頭がお花畑くらいのほうが頑張れる気がします。)やはりそこには、「統制感の過剰な幻想」に取りつかれ、目の前にいる我が子の姿を見失う、という危険性が常にあります。
現に早期教育の世界では、自閉症でなくともCFGFが推奨されていたり、舌癒着症手術が推奨されていたりするのですが、これら科学の仮面を被った代替療法と親和性があるのも、「統制感の幻想」が共通のものとしてあるからなのでしょう。親の頭がお花畑ですから、すぐその気になっちゃうんですよね、困ったことに・・・。
何が良くて何が駄目か、見分けることは難しいのですが、真っ先に感じたのは、そらパパさんが強くおっしゃっていた親側の倫理観の重要性でした。「子ども本人の承諾なしに、子どもの健康を危険にさらしてオカルトをやるというのは、最もやってはいけないことだ」この言葉は胸に強く突きつけられました。
少し話題がズレますが、乳幼児への代替療法にホメオパシーがあります。ホメオパシーは医療行為の出来ない助産院などで広く使用されているのですが、ホメオパシーの世界では、自閉症水銀原因説が定説になっています。先日も、実力もあり母親達からの信頼も厚いベテラン助産師さんが講師を務める母親教室で「自閉症は水銀が原因で・・・」云々が語られていて、ありゃりゃ・・・という感じでした。お産でお世話になった助産師さんの言うことは心から信じてしまう産婦さんはたくさんいるので、困ったものです。
ホメ自体は砂糖玉舐めるだけの無害な療法ですが、必要な医療行為を避けてしまう原因になったり、また、水銀説はキレーション療法のきっかけになりかねないので危険を感じました。
長くなってしまい、申し訳ありません。そらパパさんの七田式自閉症療育批判、楽しみにしています。今日はこの辺で失礼します。
コメントありがとうございます。
まず、ご心配の点ですが、記事と関連のあるコメントをいただいていますので、そういう意味ではまったくご心配には及ばないと思います。
熱心な幼児教育というのは、確かに「統制感」が前提になっているでしょうね。
そういったことに対して、効果があった、なかったと語ることそれ自体も、実は気づかないうちに「自分がやった働きかけの効果を、私は知ることができる」という考えかた、つまり「統制感」を前提にしています。
とはいえ、そもそも七田式が推奨するようなやりかたというのはほとんどがトンデモだと思われますから、統制感以前の問題ではありますね。
七田式の記事が出せるのは、どんなに早くても今年の後半以降になってしまいますね。
長くお待たせしてしまいますが、割とボリュームのあるシリーズ記事になりますので、いましばらくお待ちいただければと思います。
久しぶりにこのブログを拝見しました。アメリカ在住なのでこの手の代替療法には辟易してますが、日本でもはやってきてるんですねえ。学校で水俣病を習ったはずなのに、どうして自閉症水銀原因説を信じたりできるんでしょう?日本でキレーションがはやらないのは水俣病の知識があるせいだと思ってましたのに。
ところでGFCFダイエットについてはやりたくないけど、息子の真正の食物アレルギー(ライ麦、牛乳、卵、豚肉がだめ)のせいで、結果的にGFCFをやる羽目になってます。GFCFだけならともかく卵も一緒に除くのは、結構大変ですよ。おなかの調子は良くなったし、アトピーも少し良くなりましたが、問題行動は減りませんね。
私はアメリカ中西部のど田舎に住んでますが、知り合いの自閉症児の親の約半分はDAN!ドクター(キレーション、高圧酸素、GFCF、エトセトラをやっている医者)の世話になってます。信心深く、保守的な人にこの手の代替療法にはまる人が多いようです。ABAやVBは役に立つと思いますが、これも信心深い人がはまると、布教活動を始めて、「信仰が十分でない人」を非難、排斥する傾向があるんですよね。
実はあのテンプルグランディンと話す機会があったのですが、彼女もキレーションにははっきりと反対していましたし、宗教化しているという点でも意見が一致してうれしかったです。
Offit の”Autism's False Prophet" はどうやってこの辺の「代替療法宗教」が作られてきたかわかるいい本です。日本では翻訳されてるんでしょうか。
しっかり読んで早くキャッチアップせねば。それでは。
コメントありがとうございます。
これは明日、月曜にアップ予定の記事とも多少関係するのですが、進化論よりもいわゆるインテリジェント・デザイン説を信じるようなメンタリティと、まっとうな療育法よりも代替療法にハマるメンタリティとの間には、認知の傾向に共通点があると思っています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3
さらに、にこぱんさんもご指摘のように、ABAなどに「熱狂的かつ排他的に」ハマる人にも、これらと共通のメンタリティがあるように思います。
ABAは確かに効果の期待できる療育法だと思いますが、それを「一線を超えて」万能であると考えすぎることは、やはり代替療法を信じるのと同じようなものである、と思うわけです。
このあたりをあまり書きすぎると明日の記事のネタバレになってしまいますので(笑)、このくらいにしておきます。
取り上げていただいた本ですが、訳されているというのは私は聞いたことがないですね。疑似科学批判というのは、少なくとも日本のネット上では割とポピュラーな話題のようですが、自閉症界(?)では必ずしもそうではないように思います。
以前からこちらで勉強させていただいてます。
わが子も自閉症だけでなく、食物アレルギーでアトピーがあります。
アレルギーに関して調べている時に、わが子のアレルギー症状に一致する「リーキーガット症候群」を知り、調べているところでした。
これ、自閉症や発達障害を持つ子が併発していることが多いという内容をよく見かけるので、なんだか胡散臭いのかなぁ?と気になってたんです。
アレルギーに対するアプローチとしては試してみようかなと思えるものの、「自閉症」を絡ませるあたりが何だか逆に信用できなくて。
調べているうちにこの記事がヒットしたんですけど、まさかアレルギーの事を調べているうちにそらぱぱさんのところにお邪魔することになるとは思わず、笑ってしまいましたw
自閉症を治したいという思いから、こういった療法に真剣にのめり込んでいく方たちもいるでしょうし、罪深い本ですよね。
信頼していい療育法と、胡散臭いぞと手を引くべき療育法を嗅ぎ分ける術を親が身につけないといけないのでしょうが、「ちゃんと本になって出てるよ」「効果があったという人がたくさんいるよ」という理由で判断する人はたくさんいるでしょうし。
療育先にも今キレーションを勉強している、というお母さんがいます。賛同できないけれど反論するだけの知識もない自分は苦笑いしながら聞くしかありませんでしたが…。
コメントありがとうございます。
自閉症と胃腸障害とのあいだには有意な相関関係はなく、正式な診断がないままに栄養素除去ダイエットを行なうことは栄養失調のリスクを上げるだけだ、という研究結果が最近出ていますね。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090728#p5
http://d.hatena.ne.jp/kuboyumi/20090728/1248890722
善意で怪しい療法をやっている人、すすめてくる人はたくさんいますね。
こういった方にどう接すればいいのかというのは、確かに難しい問題です。(--)
本の整理をしていたところ、グラッサーの「選択理論」が出てきまして、柿谷氏の名前を思い出しました。それで、あれこれ検索しているとこのブログが目に留まりました。
もう6~7年前になりますか、せっせと「選択理論」を布教している女性に熱心に紹介されて3,990円もフンパツしてしまいましたよ。柿谷氏のセミナーへの勧誘など、彼女のあまりの熱心さに何か宗教的なものを感じていましたが、やはりそうだったんですね。柿谷氏は牧師さんでしたか。
「自閉症を含む軽度発達障害の子を持つ親のために」の著者を調べてみると、お二人とも柿谷氏のお弟子さんのようですね。柿谷氏を含めて3人とも科学者ではない。ですから、
>「定番」の自閉症の代替療法の多くを、まとめて概観できるからです
という、半端な情報を集めただけの類のものしか書けないのも無理もないですね。これも根底にあるのは、ここ数年加熱している「脳」ブームとおなじものですね。
ただ、問題なのは、「脳の活性化」や「脳トレ」などのように飲み屋の与太話や職場で知ったかしてOLの受けを狙う程度のネタものならいいのですが、藁にもすがる思いでこの本を読まれる方もいらっしゃるでしょうね。お気の毒としか言いようがありません。Amazonでも信者の方がせっせと5星の評価を書きますしね。(私はもう子どもがもてる年齢ではありませんので傍観していますが・・・)
>ですから、この本の内容を「支持」しているわけではまったくないのですが、この本は買ってもいいかな、と思っています。なぜなら、
は、共感します。私もよくそういった買い方をしますから。
最後に、私に柿谷本を薦めた方は、何でもかんでも「自己責任」と言ってましたし、自殺をする人は「バカよ」と切って捨てていましたが、ここが主催する団体で「いじめ対策」とか「自殺対策」とかの委員をやっているそうです。グラッサーを誤読しているのか、グラッサーがそう言っているのか、柿谷氏の理論なのか・・・
コメントありがとうございます。
この本、今でも一応書棚に残っていますけど、最近はほこりをかぶっています。
自閉症への代替療法はいろいろありますけど、どれも、当たり前にやっていること、やってきたこと、気づかないようなささいなことへの不安を煽り、自分たちの理論に引き込んでいくという点はそっくりですね。
あれやこれやさんもご指摘のとおり、これから「伸びて」くるであろうトンデモ系の代替療法は「脳」をキーワードにするものだろうと思います。
以前も別のトンデモ本レビューで触れたことがありますが、脳のMRIなどの画像をみて発達障害を診断し、治療するといった、私が俗に「MRI占い」と呼んでいるようなものが流行るのではないかと考えています。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/114062344.html
心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る(立ち読みレビュー)
また、「自己責任」を連呼し、「すこやかな身体」とか「自然治癒」みたいなものを際立って重視し、そのうえで「うつ」とか「自殺」を「心が弱い」みたいな感じでバカにする差別的な人、というのは代替療法などの領域でもよく見かけますが、私には、心と身体というものについて本質的に何も分かってない(だからこそこれらの発言ができる)ように思われてなりません。
これからもよろしくお願いします。
本当に科学的なこと、というのは検証するのに時間がかかります。
しかし、皆さん飢えている。結論を急ぎすぎてる。ノーベル賞なんて、何十年も経ってからの受賞でしょう。検証に時間がかかりますから。
ところが、みなさん、何でも欲しいものはすぐに手に入る時代になって、何でもすぐに結論が出ると錯覚してる。結論を急いでるんですね。だから、口当たりのいい砂糖菓子のような、それも科学的「らしい」話に飛びついてしまう。脳は糖のみで働いているんだ、甘いものを食べよう、みたいな。実は、サッカリンだったりして。(僕が子どもの頃には、サッカリンをつかった駄菓子がたくさんありました・・・)
要するに、みなさん、じっくり考える力がなくなったんですね。
子どもの教科書を見れば一目瞭然。絵や図がいっぱい。
本当は、文章を読んで、自分で解釈して絵や図にするのが正しいと思うのですが、最初っから教科書に絵や図を載せる。これじゃ考えなくてもいい。残るのは暗記だけでしょ。
そんな人たちは、自分に自身がないものだから、「科学的」らしいもの、ご立派な肩書きを持った人のサービストークを真に受けちゃうんでしょうね。
ご一緒に、考えましょう。
>以前も別のトンデモ本レビューで触れたことがありますが、脳のMRIなどの画像をみて発達障害を診断し、治療するといった、私が俗に「MRI占い」と呼んでいるようなものが流行るのではないかと考えています。
「しきい値」がキーワードですね。
「MRI占い」、その通りだと思います。
コメントありがとうございました。
答えを急がずにじっくりと考えること、権威に踊らされないこと、これらはトンデモにだまされないための、科学的リテラシーの最初の一歩ですね。
昨今のトンデモ療法の隆盛をみると、つくづくそう感じます。