※この記事は、立ち読み程度の読み込みで書いている、特殊な形態のレビューであることを、あらかじめご了承ください。
けっこうあちこちの書店で見るので、念のため言及しておこうと思います。
心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る
田辺 功、松澤 大樹
西村書店
これはMRIを使った「占い」のようなものでしょう。
MRIというのは脳の物質としての姿を低い解像度で映し出すだけのものですから、そこから「MRIで見える特定の場所の傷が精神病を引き起こしている」という結論を導くためには、とんでもない論理の飛躍が必要です。
言ってみれば、コンピューターのケースを開けて、中で動いているプログラムのバグを当てるようなものでしょう。脳の部位とこころのはたらきを単純に1対1で結びつけるのも、何十年前か分からないような大雑把な「機能局在論」の立場ですね。
そして、治療方法はといえば、「治ると信じる」とか「食事療法」とか、これまた典型的な代替療法のフォーマットそのものです。
さらに笑ってしまうのが、「治療」をして、改めてMRIを見て「傷」が見えなくなったら、「治った」ことになってしまうという設定です。こりゃすごい、なんか自己完結してる(笑)。脳細胞の大きさの何万倍かかそれ以上の解像度しかないMRIを、そこまで信用できるというのはすごいです(MRI教?)。
ちなみに、なぜこの本をブログで取り上げたかといえば、このやり方で「自閉症も治る」と言っているからです。
で、該当するページを見てみたら・・・「ひきこもり」のことでした。
うーん、21世紀になったずいぶんたつこのご時世に、新刊書で「自閉症=ひきこもり」という言説を見ることになるとは。しかも、この「MRI占い」で、「自閉症が治る」と言っているんですから、一体この人は何を対象に何をやっているのかまったく分かりませんね。
当ブログにおこしいただいているような方が、このレベルのものに引っかかるとは考えられませんが、念のため「立ち読みレビュー」してみました。
その他の「まともな」レビュー記事一覧はこちら。
2009年02月11日
この記事へのトラックバック
[自閉症]大阪市「親学」条例案に対する関連学術団体等の声明
Excerpt: 5月11日のエントリにおいて、以下のとおり述べました。 ・・・たとえば専門家の団体による共同声明などによって科学的なコンセンサスを示していただくというのも有効かもしれない。たとえば日本児童青年精神医..
Weblog: ベムのメモ帳Z
Tracked: 2012-05-31 22:04
| 子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら 孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら |
![]() | 当ブログの全体像を知るには、こちらをご覧ください。 |
| ←時間の構造化に役立つ電子タイマー製作キットです。 | |
| PECS等に使える絵カード用テンプレートを公開しています。 | |
| 自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。 |
| 花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。 |





私も同じこと思います
今、竹田契一先生のところで勉強させていただいてますが
色々な考えを持ってる方が、さも正しいかのように本を出したりされるから…という話をよく聞きます
「自閉症=ひきこもり」のくだりはひどいですね。しかも田辺功で検索すると、医療ジャーナリストの肩書きが・・・。この本が多くの書店に並んでいると思うと、恐ろしさで身震いします。
コメントありがとうございます。
変な人が変な本を出すことを止めることは、残念ながらできないですね。言論の自由も、また大切なことでもあります。
私たちができることは、こういう本が広まってしまわないように情報を提供し、注意を呼びかけていくことくらいでしょう。
そういう意識もあって、こういうレビュー記事も書かせていただいています。
医師が関わっていないなら、トンデモ本だけど、関わっているので、犯罪。
コメントありがとうございます。
医師は科学者ではないので、合法で、「効いた」と言ってくれる人がいる限りにおいて、やっていることがトンデモであってもそれをやめるインセンティブは働かないでしょうね。
ですから、私たちは、「医者がいいと言っている」というのは「タレントがいいと言っている」のと同程度の説得力しかないという前提で、こういった宣伝本を読むことが求められるんだと思います。