娘の年内の療育も終わったようですし、我が家もすっかり年越しモードに入りつつあります。(私の仕事はまだ終わってないのですが・・・)
娘の療育に関連して、年を越すと新しくなるものの1つに、娘の行動記録ノートがあります。妻にがんばってもらって、毎日継続的につけているものです。
2005年は、高橋書店の「デスクダイアリー No.67」という手帳を使いました。2006年は、少しサイズを小さくして、同じく高橋書店の「フェルテ2 No.232」を使うことにしました。
いずれも、見開き1週間、左側に毎日の「時間割」を記入することができ、右側には通常のノートがついているというレイアウトです。今年1年使ってみて、期待どおり使いやすかったので、来年も同じレイアウトのものを使うことにしました。
というわけで、オリジナル「教材」というほどのものでもないですが、うちで使っている行動記録ノートと同じフォーマットのノート素材を制作したので、ご紹介したいと思います。
画像をクリックして表示されたPDFファイルを印刷し、53枚コピーをとって束ねれば、1年分の行動記録ノートとして使えます。右クリックで「名前をつけて保存」を選べば、ファイルを保存しておくことも可能です。
※PDFファイルを開くには、Adobe Readerというソフトウェア(無料)が必要です。必要であれば下記リンクをクリックしAdobeのウェブサイトからダウンロードしてください。
この「行動記録ノート」について考えていることを、少し書いておきたいと思います。
自閉症のさまざまな症状というのは、脳の非常に高次な機能が何らかの障害を受けることによって生じると考えられます。
実際の障害の実態はそれぞれのお子さんごとに異なっており、その障害の重さもまちまちです。しかもやっかいなことに、自閉症はその原因も治療法も分かっていないため、どうしても個々のお子さんの状態に合わせた個別の療育プログラムを、いい意味で対処療法的に組み立てていく必要があります。
つまり、自閉症のお子さんの療育を考えるときには、自閉症という障害そのものについて理解するのと同時に、そのお子さん個別の症状や問題についてもよく理解する必要があるわけです。
「行動記録ノート」は、まさにこの後者の目的にために活用できます。
子どもがどんな風に1日を過ごしているのか、問題行動はどんな時間帯にどれくらい発生しているか、生活のリズムに変化はあるのか、そういった判断を正確に把握し、療育プログラムに反映させていくためには、ノートを使って継続的に観察していくことが不可欠だと思います。
ノートのつけ方のコツとしては、もちろん毎日欠かさずにつける(夏休みの日記のように後でまとめてつけたりしない)ことが第一になりますが、それと同じくらい重要なこととして、定性的な観察だけでなく定量的な観察も行なうことをおすすめします。
「定量的」というのは、数量的に数えられる、計れる、比較できるような観察の仕方のことで、具体的には「何を、いつ、どれくらい、何回やったか」を記録することを指します。
一方、「定性的」とは、ことばで表現されて、数字にはできないような観察の仕方を指します。数値化できない微妙なニュアンスや新しい発見などは、定性的に観察するしかありません。
例えばパニックであれば、いつの時間帯にどれくらいパニックしていたか、1日で何回パニックを起こしたか、といったことを毎日記録していくのが「定量的観察」で、「今日のパニックでは普段出さないような叫び声をあげていた」と書くのが「定性的観察」になります。
行動観察ノートをつけるときは、定性的・定量的、両方の観察結果をバランスよく記録していくことが必要です。
こう書くと、面倒なことのように聞こえますが、今回ご紹介したようなダイアリー手帳を使えば、左側のスケジュール欄に定量的な観察が、右側のノート部分に定性的な観察が書き込めるので、つけていると自然にこの両方がバランスよく記録できる仕組みになっているのです。
ちなみに、左側の「定量的観察」については、できれば夜にまとめて書くのではなくて、記憶が鮮明なうちに毎日何度もこまめにつけていくことが望ましいです。
ところで、このブログの趣旨である「父親の療育参画」という視点から言うと、こういったノートをつけてもらうことは、普段目に見えない、子どもの「平日の生活」について深く知ることができ、子育てへの理解を深めるという意味でも意義深いのではないかと思います。
対処の方法がなんとなくわかるようになったのでね。
でも3歳くらいで1日中家に居る子の記録をとるのはとてもたいへんなことと思います。
奥様えらいっ!
そらまめパパさん、奥様はしっかりほめたんでしょうね?今度の韓国出張の際のお土産はブランド物のバッグなど、ぜひ!
ノートは今でも欠かさず毎日つけてくれています。
こういうものは、本当に毎日欠かさずつけているか、ところどころに抜けがあるかで、その価値が大きく違ってくるものだと思いますので、続いているのは大したものだと思います。
お土産の件ですが・・・あのひとさんのコメントを見てさっそくいろいろ言われています(笑)まあ、ブランド物は買いませんでしたが、妻用の新しいパソコンを買ったので、それがお土産代わりかなあ、と私は思っているんですが(笑)。
初めてこちらにお邪魔したとき「すっごいブログだなぁ」と放心状態になりました。手当たり次第に資料をいただいています。トラックバックしていただけるほどのブログじゃないのに無謀なことしたなぁと、ご挨拶もせずに失礼なことをしたと反省ばかりです。
1年前、「自閉症を克服する 行動分析で子どもの人生が変わる」という本を読んだときに初めて行動分析というものを知りました。この本、題名の「克服」という表現は好きじゃないのですが収穫を得られた本でした。記録はこれから始めようとしている段階ですが、とても励みになりました。ありがとうございます。
こんにちは。
ブログは普通のHPと違って、更新頻度がものすごく高くなりますからなかなか大変ですね。
記事の質を落とさずに書きつづけられるよう頑張っています。
うちは手帳を記録のために使っているので、そろそろ来年版を買う時期です。過去のものを改めてながめてみると、やはり成長しているな、と実感できるのがいいですね。
「自閉症を克服する」は、ABAの「素晴らしさ」については熱心に書かれていますが、実はABAの詳細についてはほとんど解説されていませんね。ABAについて理解を深めるのであれば、このチャートの上のほうに出てくる本を読まれてもいいかもしれませんね。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21537451.html
これからもよろしくお願いします。
言語的(読み・発声)遅れがないけれど、理解能力、表現に偏りがあるので、先生からのコメントが、週一回でもあると助かるのですが、まずは、家の様子だけでも、このフォーマットを利用させていただいて、残しておこうと思います。1歳のころの連絡帳が出てきて、実母に読んでもらったところ、懐かしさ、今につながる特徴など、貴重な資料と感じました。
明日、自閉ちゃんかどうかの初回の心理検査判定です。母の心象では、限りなくクロですが、年齢も3歳ですし、どちらに出ようと、記録を欠かさず、私の冷静さを保つよすがにしたいと思っています。
コメントありがとうございます。
保育園での生活が分からなくなるのは辛いですね。
なんとか、メモ程度でも口頭でもいいので、保育士の方とのコミュニケーションができるようになればいいと思いますが、こればかりは相手方の同意がないと実現しないと思いますので、地道に要望を続けていくしかないと思います。
診断はいかがだったでしょうか。
診断は、それ自体は世界を何も変えませんが、私たちがそれをうまく活用することで、いろいろなことを変えていく力を持っている、と思っています。
娘(3歳7か月)は、K式のDQ全領域で126・4歳7か月、言語社会145・5歳3か月、認知適応112・4歳1か月(姿勢運動は対象年齢を超えているため実施されず)、PERS14点(9点以上PDD疑い90%)でした。これ以上の診断は、他の専門医で、といわれ、6月上旬に他の専門医に行きます。言語社会内でのバラつきは2.4歳で、上限が6.6歳、下限が4.0歳でした。
保育園に、結果を持って行ったところ、また連絡帳を始めましょう、とあちらから言ってくださり、再開しました。
ただ、どんな内容を書いたら、というところが、あちらもこちらも混乱中です。次、専門医に相談してみます。私としては、このHPの記載が一番参考になったな、と思いますが、あまり煩い親と思われると、損をするので、待ちます。
コメントありがとうございます。
また、何より、連絡帳が復活するというのは嬉しいお知らせです。
あらゆる働きかけは、まず「現状を知る」ところからしか生まれてこないですからね。(^^)
どういったことを書けばいいのかについては、たしかに、どちらか一方で決めるのではなく、しまなみさんと園の先生で試行錯誤して決めていくのがいいと思います。園での行動をいつも見ている先生にしか気づかないポイントもあるかもしれませんから。