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2006年01月07日 [ Sat ]

俺ルール!(ブックレビュー)

この本は、もともと紹介するつもりはなかったんですが、ふとしたきっかけで非常に驚いたことがあったので、ご紹介したいと思います。



俺ルール!―自閉は急に止まれない
著:ニキ・リンコ
花風社

この本は、以前ご紹介した、「自閉っ子、こういう風にできてます!」の続編とでもいうべき本です。
「自閉っ子、・・・」が、対談形式で自閉症の感覚異常を中心に語っていたのに対して、この本は一人称のエッセイ形式で自閉症者の思考回路について書かれた本となっています。

でも、正直、この本はちょっとおすすめできないな、と思っていたのです。

というのも、まず何より、ボリュームが薄いです。
前作と比べても異様に字のポイントが大きく(12ポイントくらい?)、紙面の上下も行間も大きく開いていて、まるで詩集のようなレイアウトです。今数えてみたら、1行30字×14行でした。
さらに、1文ごとに改行し、2文か3文ごとに行を開けて書いてあるので、文字が入るべき場所の1/3くらいは空白になっていて、ぱっと見た印象は本当にスカスカです。普通の字のサイズ・行間・改行ルールにすれば、間違いなく厚みは半分以下でしょう。(本書は320ページ程度)

内容についても、かなりの部分が前著とかぶっていて、しかも同じことを何度も繰り返しているので、「新しい情報を得る」という観点からは期待に応える部分が小さいです。実は、タイトルにある「自閉は急に止まれない」だけで、内容の大部分はすでに語り終わっている気も・・・
(でも前著「自閉っ子、こういう風にできてます!」は内容も充実していて、けっこういい本だと思っていますので、その点は誤解なきように願います。)

さて、気を取り直して、そんな本をどうして紹介する気になったかを書きたいと思います。

私は本を読んだあと、その本を「速攻古本屋いき」「保存版として本棚へ」「保留」の3種類に分けます。この本は、しばらく「保留」のグループに入っていました。先日、そうやってしばらく「寝かせて」おいた本書を、そろそろ「古本屋いき」のグループに移そうかな、と思って軽くパラパラとめくっていたところ、こんなフレーズが目に飛び込んできました。

 ところが、アタマの視野が狭いと、(中略)
「これ、記憶の再生かな? それとも、いま、現実に起きているのかな? それとも、自分で想像しているのかな?」と迷っても、お手上げ〜である。
 (「俺ルール!」初版273ページ)

これを見て、私はかなりの衝撃を受けました。なぜなら、これとほとんど同じフレーズを、別の本のまったく違う文脈で見たばかりだったからです。

 私たちは、実際に「外」にあるものと、単に自分が想像しているだけのものを明確に区別することができる。また、今現在自分の前にあるものを見ている場合と、かつて見たものを記憶に基づいて思い出している場合を、あるいは将来見ると思われるものを予期してイメージしている場合を明確に区別することができる。(中略)
 このような区別に、志向的クオリアと感覚的クオリアの区別が関与している。

心を生みだす脳のシステム―「私」というミステリー 初版54ページ)

先日紹介したばかりの本と、気持ち悪いくらい、同じ方向性の話が書いてあります。
最初のほうは、自閉症の思考回路では、現実と想像を区別するのが難しい、という話がでています。
あとのほうは、我々が現実と想像を容易に区別できるのは、脳が「クオリア」の違いを区別できるからだ、という話です。
つまり、この両者を短絡的にくっつければ、「自閉症者の脳はクオリアの認知に異常がある」という結論があっさり導き出せてしまうのです。
(もう少し思索を進めると、familiarity(見知りの感覚)の認知障害の可能性も考えられますが、その辺りの考察はまた別の機会に。)

これは大変なことです。もしかするとちょっと重要な発見なのかも。まあもちろん、問題はそう簡単ではないとは思いますが、自分が追究している方向性が、必ずしも的外れではなさそうだ、という手ごたえを感じた一瞬ではありました。

というわけで、「心を生みだす脳のシステム」で提示されている考え方と、自閉脳の問題をつなぎ合わせてみることに興味をお持ちの方に限って、この本を読んでみることをおすすめしたいと思います。

それにしても驚きました。(笑)

※その他のブックレビューはこちら

posted by そらパパ at 20:54 はてなブックマーク | コメント(2) | トラックバック(1) | 療育一般
この記事へのコメント
はじめまして ふたごのせんぷーきと もうします

「俺ルール」わたしも読みました。

アスペルガー?の方たちは 時間の経過やすすみ具合がわかりにくい理由が
なんとなく? わかる?ような きがします。

文字数が少ないのはもしかすると ニキリンコさんが
その他の自閉症?(アスペルガー?)の方に読みやすいように
工夫したのかもしれませんね?(本人にきかないとわかりませんが)
(本人の認識範囲なのだろうか?)
(文書が長いと 理解できなくてオーバーフローをおこすためか?)


そらぱぱさんの鏡の寮育の話も おもしろく拝見しました。
ニキリンコさんの見えないところは(自分の手足でさえ)認識(自覚)できない
というところも なんか関係がある?のかもしれません。(小脳も?障害?)

また、ニキリンコさんの訳本に
「わかっているのにできない」脳〈1〉、(2)
もよんで おもしろかったです。(読んでましたら失礼)

関係ありそうな ページを探してみました、
ご活躍を期待します。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index%3Dbooks-jp%26field-author%3D%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%B3%2C%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BBG./250-1928394-5201036


ADHD(attention deficit hyperactivity disorder)

http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec23/ch269/ch269i.html

http://www.yoake.777ch.org/adhd/adhd1.htm


SPECTとは
http://www.kohnan-sendai.or.jp/nougeka/Epilepsy_Surgery/spect.html

自閉症(メルクマニュアル)
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec23/ch286/ch286b.html#
アスペルガー症候群、分類不能な、、、
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec23/ch286/ch286c.html

関連する文献?
http://72.14.203.104/search?q=cache:g0GjrL_kmzwJ:www.naruto-u.ac.jp/~shogaiji/sakuma.pdf+%E8%87%AA%E9%96%89%E7%97%87%E3%80%80fMRI+&hl=ja&ie=UTF-8&inlang=ja

関連する文献?
http://www.synapse.ne.jp/~shinji/jyajya/ronbun/face.html

関連する文献?
http://www.synapse.ne.jp/~shinji/jyajya/ronbun/mri02.html

ミラーニューロンの話
http://www.biotoday.com/view.php?n=6748

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96
Posted by ふたごのせんぷーき at 2006年01月20日 23:42
ふたごのせんぷーきさん

コメントありがとうございます。
ご紹介いただいたリンクの一部が壊れていたので、勝手ながらコメントを修正して再掲させていただきました。

これからもよろしくお願いします。
Posted by そらパパ at 2006年01月20日 23:44


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