ことばどんどん あかちゃんえほん
(1)たべもの (2)どうぶつ (3)のりもの (4)せいかつ
ひかりのくに 各¥525
↑ナンバーも写真もありませんが、4冊それぞれへのAmazonのリンクです。
改めて見ても、やはりこの絵本シリーズはよくできていると思います。そう考える理由について書いておきたいと思います。
手元にいくつか似たような絵本があるので、見比べてみたいと思います。
この写真が「ことばどんどん あかちゃんえほん」です。
真っ白の背景の中に、大きな写真がすっきりとレイアウトされており、余計なものがなにもありません。「もの」を認知するための最初の絵本刺激として、これ以上のものはない、と言えます。
ここでお見せしているのはシリーズNo.4の「せいかつ」の1ページですが、シリーズNo.1の「たべもの」なら、くだものややさいなど、普段からよく目にして楽しく食べている、より身近なものが題材となりますから、さらに分かりやすいといえるでしょう。私がこのシリーズのNo.1「たべもの」をベスト絵本として評価しているのは、それが理由です。
ここから下の写真は、「ことばどんどん」シリーズのものではありません。
この絵本は、同じように真っ白の背景にすっきりとイラストが書いてあるのですが、そもそも写真ではなくてイラストだというところが問題です。イラストのトマトを見て、トマトだと認識するためには、まずはトマトの写真を見てトマトだと認識するところから始めなければならない可能性が高いです。ですので、こういったイラスト絵本は、最初の絵本としては適当でない可能性があります。
※ただし、お子さんによっては写真よりイラストのほうが分かりやすく注目しやすいケースもあるようですので、両方の種類の絵本を買って見せてみて、反応がいいほうを最初の絵本にするのがいいかもしれません。
この絵本は、一般的な絵本の水準としてはすっきりと分かりやすくレイアウトしてあるほうだと思いますが、それでも「ことばどんどん」などと比べると、背景に色がついていたり、狭い中にいくつもの写真が並んでいたり、写真と字が重なっていたりと、認知を難しくすると思われる要素がいくつも見受けられます。
この絵本にいたっては、普通の複雑な風景の中に自動車が溶け込んでしまっていて、どこに何があるのか、背景と目的物を区別することが非常に難しくなってしまっています。
一般的な写真絵本の場合、このように背景が対象物といっしょに写りこんでいるものがほとんどだと思いますが、このような写真だと背景が邪魔になってしまい、発達の遅れた子どもにとっては、見るべきものが何も見えてこない可能性があります。
最低限、1つめの「ことばどんどん」や3つめの絵本のように、対象物を輪郭で切り抜いて無地の背景の上に置いたような表示のしかたをしている絵本を最初は選ぶべきだと思います。
そして、「ことばどんどん」を十分に楽しめる(じっと見つめたり喜んだりという素振りが見られる)ことを確認して、初めて「イラスト絵本」や「背景が写りこんでいる写真絵本」といった、より認知が難しい絵本に進むのが適切なステップだと考えられます。
※その他のブックレビューはこちら。
2歳8ヶ月の息子が、広汎性発達障害の母です。
私も、こちらで述べられているようなことを考えていました。そうなのです、自閉症スペクトラムの子達は、細部を見てしまう傾向があるので、教えたいと思っている物体の背景などに目がいってしまったりしているんですよね。
どういう図鑑がいいのかな、と日々アマゾンなどで検索していたのですが、とても良い本を見つけることが出来て、感謝します。
きのうの出来事なのですが、果物の写真の図鑑を見ていた時(背景は真っ白です。)、「いちごはどれ?」と聞いたら迷った末メロンを指差し、「バナナは?」に、リンゴを差し…と、まったく照合しませんでした。
そのことにも驚いたのですが、なんといっても息子自身が「わからない自分のことをわかっている」ということに深い悲しみを感じました。
答えずにぷいっとどこかに行ってしまうでもなく、私の問いかけに、間違っていようがどうにか答えてあげなければ…と思っているのです。
表情からそう読み取ることが出来ました。ためらいつつ指を差すと、自嘲気味に視線を下に向けるのです。
この時、私は「あぁ、この子は自分が理解できていない、ということに気がついているのだ。」と思ったのです。
ただ、不思議なのは、例えば「あーんあんのご本読もうね。」というと、その本を持ってきたり、「パパどこにいるの?」と聞くとパパのほうに手を振ったりします。
発達の途中なのでしょうか。段々に理解できていくのでしょうか。
ことばの指示に対して指差しで答えられるというのは、抽象的思考はある程度発達していると考えられますね。
本を持ってきたりパパに手をふることができるようになったのは、いろいろ原因は考えられますが、本を持ってきたり手をふったりするような「具体的な行動」のほうが、本の絵を指差すような「抽象的な行動」よりも学習しやすかったという可能性もあると思います。
正答できない問いの正答率を上げるためには、最初は正しい答えに手助けして誘導してあげて(プロンプティング)、常に正答率90%以上を維持できる範囲で徐々に手助けを減らしていく(フェーディング)というのが、行動療法で一般的に使われている方法です。手助けの有無にかかわらず、正答したらすぐにほめてあげる(強化)ことも重要です。
フェーディングの際には、目標物に触れるまで手助けする、目標物の1cm手前まで手助けする、2cm、3cm、・・・といって、最終的に軽く指を押すだけにし、最後はまったく助けないという風に、行動の「完了状態」から少しずつさかのぼる形で手助けを減らしていく(バックチェイニング)のが成功率が高いといわれています。
ご参考になれば幸いです。
アドヴァイス、とても参考になりました。行動療法、簡単に言うと「習うより慣れろ」ということでしょうか…。
私も、おススメされている集英社新書の「行動分析学入門」を読んでみますね。
またコメントを寄せてもよろしいでしょうか。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
私も、心理学を大学でかじっているくらいで、実際の療育に関しては試行錯誤の連続です。
理論のとおりにチャレンジしても、実際には必ずしもうまくいかないことも多いですよね。でも、何も知識がないままやるよりも、うまくいく確率は高くなると思います。
お互い、子どもの発達をうまくサポートできるよう、頑張っていきたいですよね。