妻のブログを読んでいただいている方は気づいていると思いますが、最近、娘はどうやら認知発達の面で一段階、質的転換があったように思います。
つまり、今までと同じ発達のステージで少し伸びた(坂道を少し上った)というのではなく、今までとは違う発達のステージに入った(階段を一段上がった)と明らかに感じるのです。
それは、今まではまったくないしほとんどやらなかった行動を、ここへきて急にとるようになってきたことから見てとれます。
まず、好き嫌いをはっきり主張するようになったことがあげられます。
娘は夕食後のフルーツをいつも楽しみにしているのですが、今まではどんなものが出てきても喜んで食べていたのですが、最近は、期待していたものと違うものが出てくると、「それじゃない」とでも言いたいかのように怒り、食べるのを拒んだりします。
実際のフルーツを見る前に、ことばで名前を言っただけでそういう反応をするところで、(少なくともフルーツの名前に関しては)こちらのことばが理解できていることもわかります。
それ以外にも、おもちゃの後片付けなど、面倒くさいことを命じられたときに嫌がったり、それでもやらせようとすると「いやいや(仕方なく)やる」ようなそぶりを見せるようになったことも大きな変化だと思います。
また、異様にいたずら好きになりました。
今までは、娘は触りなれたもの(つまり、自分のおもちゃ)以外にはほとんど手を出そうとせず、精密機器などを無造作に置いておいても割と安全だったのですが、最近は妻のパソコンを移動させたり、携帯電話や固定電話のボタンを押しまくったり、ティッシュを大量に引き出したり、ダイニングテーブルの上に立って壁をよじ登ろうとしていたりと、少し外していてリビングに戻ってびっくり、ということがよくあります。
好奇心が強くなったようにもみえますし、時にはそれらの「いたずら」で、大人の反応を引き出そうとしたり、楽しんだりしているように見えるときもあります。
あとは、小さな変化ですが、大人の様子を観察して行動を変えるようになった(叱られそうなことをやっているときは、親がドアを開けて入ってきた瞬間にそれをやめたり、親が近くにいるときだけ大きな声で泣いたりなど)、大人の指差しに追随できるようになった(親が離れた場所を指差したときに、指ではなく指した先にあるものに注目できるようになった)ことや、食事やおやつのときに好物を他人の分までキープしようとするようになった(誰かが食べれば減るということに気づいたようです)こと、こちらからのことばだけの指示が通る場面が増えたことなど、これまでほとんど感じられなかった「人間っぽい」リアクションが激増したように感じます。
これらの変化は、一言でいえば「自我が芽生えつつある」ことの証なんじゃないか、という印象を持っています。
ここで言っている自我というのは、「自分がいるという認識を持った状態」、つまりメタ意識のことなんですが、もっと簡単に言えば、「定型発達で1歳半~2歳くらいのときに見られるような、やたらイヤイヤ言ったり自己主張したりする時期(英語では terrible two と呼ばれるようですね)」が、ようやく娘にきつつある、ということなんだろうなあ、と感じています。
もちろん、子育てという観点からはとても大変になりました。
今まで、ある部分は意外と(?)人畜無害な感じだったのが、一転してその部分も世話のかかる子どもになってしまったわけで、子育てにかかる苦労はかなり増えていますし、残念ながら、外食や外出なども以前よりもやや制限されているのも事実です。
でも、こういう変化は、明らかに「伸びている」ことの証拠でもあるし、だからこそ、前向きにとらえて「喜んで」もいいことなのだと思います。
今の時期は、「自分の力でいろいろなことができる」ということに気づいて、実際に何でもやってみようとする時期なのでしょう。
当然、思いどおりにならないこともたくさん出てきますから、そこで葛藤や衝突があり、パニックや不適応行動も増えざるをえません。
でも、この段階をしっかりと親として受け止め、じっくりとつきあっていくことで、子どもは、「自分の力でできることとできないことがあって、できないことには折り合いをつけるしかない」ということを学び、また緩やかに適応的な状態に収まっていくのだと思います。
いつも書いていますが、療育を着実にすすめていく中で起こる「不適応行動の増加」は、「次の(より高みの)適応状態」に向かうための、意味のある助走の段階なのでしょう。
娘がひっかき遊びをしてぼろぼろになった壁紙に、模様替えシールを貼って修繕しながら、改めてそう思います。
伸びたからといって、子育てが楽になるわけではないところが、また自閉症の大変なところですが、話のネタには事欠かないですね。
あやぱぱさん、
そうですね、ネタにはこと欠かないですね。
それは、子育ての日常を淡々と書く妻のブログが、これだけネタ切れなしで続いていることからも、間違いないでしょう(笑)。
鈴蘭さん、
コメントを読ませていただいていて、鈴蘭さんが一生懸命子育てに頑張っていらっしゃるのがいつも伝わってきています。
自閉症児の療育に「模範形」がないのと同じで、夫婦の子育てのスタイルも、みな違っていいと思います。(我が家の子育ても、決して手本になるような大したものではないです。(^^;))
そらパパ氏/そらまめママ氏がほんの少しずつ少しずつ積み重ねてきた働きかけを、
明確な変化としてそらまめさんが享受してくれている。
良かった…って感じです。
そらパパ氏とたまたまこちらにいらっしゃるあやぱぱ氏は、
私から見ればパーフェクトなんです。
そして失礼とは存じますが、望み得る最高の人物による療育というものの
劇的ではなく堅実な力の先例として、参考にさせて頂きたいと考えています。
そらまめさんはそらパパ氏とそらまめママ氏がご両親で良かったですね。
コメントありがとうございます。
でも実際には、私たちの働きかけが効を奏したのか、子どもが勝手に伸びたのかは、究極的には神のみぞ知ることでもあるんですよね。
少なくとも我が家の療育は「パーフェクト」ではありません。
まあ、そもそも療育というのは一期一会なので、客観的に点数がつけられるようなものではないわけですが、そういった意味を除いても、まだまだ我が家の働きかけも至らないところだらけです。
そんな至らない私たちのもとでも、懸命に伸びてくれている娘の姿を見ていると、やはり「療育」という枠に留まらず、子どもの成長と関わっていくのってダイナミックで面白いことだなあ、と思います。
私がパーフェクトと感じますのは、リソース配分/バランス/ペース/
加減/観察といった意味での、パーフェクトさです。
試行錯誤せんのもいかんし、いまいちヒットしない試行を
独善的に継続するのもいかん。
子供の今この瞬間の不快/幸せと、中長期のそれこそ無数の
可能性の中での不快/幸せ/ニーズを、悩みながらも
選んでいくセンス/スピード。
そういった意味においてそらパパ氏やあやぱぱ氏
以上の人物を私は知らないのですが…、逆に話の流れで
ご質問させて頂けるなら、そらパパ氏から見てこの人は
センスいいよ…という「家庭」の療育者の本なりサイトなり
教示願えませんでしょうか。
よろしくお願い致します。
うちの娘も最近『かい、かい(かゆい、かゆい?)』と言って、実際に腕や足をかく様になりました。
まあ、本当に意味を理解して使っているのかは分かりませんが・・・。
教えたつもりもなく、突然、この言葉が出てきたので初めて聞いた時にはビックリしましたが、その様子を見た時には嬉しくなり泣きそうになってしまいました。
どれくらいの期間で、どれくらいの成長をするのかは全く未知の世界ですが、そらパパさんのブログを参考にさせていただきながら、我が家のペースで焦らず、家族みんなで一緒に楽しく成長していければ良いなぁと思っています。
「幸せプロジェクト」の3章の言葉をあえて使わせて頂くと、私はいいプロジェクトリーダーでは無いと思いますが、チームメンバーとしては頑張っているほうだと思います。まぁ、家内にうまく使われているということでしょうが。
バッティ父さん、
私から見て、「バランスのいい当事者」の筆頭は、何といっても堀田あけみさんですね。
今まで何度も話題になっていますが、この人の、発達障害児の親としての「したたかさ」と「しなやかさ」は見習うところが大きいと思います。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/32160435.html
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/102387249.html
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/102792094.html
みのじさん、
子どもの成長を実感できる瞬間というのが、まさに「療育」という取り組みの「醍醐味」のようなものを感じる瞬間ですよね。
そういった瞬間を大切にしながら、前向きな取り組みとして、療育を続けていけたら、と私も思っています。
あやぱぱさん、
私は逆に、チームメンバーとしての働きが足りない、と妻にいつも愚痴られているクチです(笑)。
プロジェクトリーダーとしてはそれなりに頑張っているつもりなんですけどねー(^^;)。
読みました。
感想はあちらに。
私のスタンスはプロジェクトリーダではなく
チームメンバでもなく、多分私は息子に恋を
しているのだろうと思います。
息子の母であるところの彼女のことは
リスペクトしています。 息子に愛されて
いるという、すごい女性なのですから。
仮想プロジェクトリーダは成人した息子自身ですね。
いつの日か彼に褒めてもらいたい、
「父さん、結構頑張ったやん」とでも。
実は私は、ちょっとアレな療育…とも言い難いような
ものをしておりまして、その性質上、他の人にご紹介
する気は全くなかったのですが、両ご夫妻の活動を見て、
やはりちっとアンフェアかな…と思い直しました。
ブログの体裁を借りて書き出してみましたので、
何かのご参考にでもして頂ければ幸いです。
コメントありがとうございます。
ブログも拝見しました。
なかなかユニークなアプローチですね。
我が家の娘は精神遅滞が重いので、ゲームができるような水準には到達できたとしてもまだまだ先だと思いますが、自閉症の子どもでゲームが好きな子どもはとても多いようですね。
私もユニークだと思います。
息子が幼い内に気が付けた幸運に感謝していますし、
ネットに放流することで自身の後憂を摘めたことにも感謝します。
そらパパさんの活動に切っ掛けを頂きました。
ありがとうございます。