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2005年12月10日 [ Sat ]

「頑張らない家庭の療育」のための行動療法(2)

前回は、いきなり行動療法から始めるのではなく、最初は認知や感覚に対する働きかけに集中し、本当に基本的な認知力、コミュニケーションの素地を作り出すことが必要なのではないか、という療育の考え方について書きました。

このように書くと、単純に行動療法の否定という受け止め方をされてしまうかもしれませんが、それはまったく違います。あくまでもここで否定というか、考えの違いを整理しているのは、行動療法の1つのアレンジである「ロヴァース式の早期集中介入」であって、私自身、自閉症児に最も効果的な療育アプローチは行動療法(ABA)だと考えています
ただ、行動療法の代表格のように言われているロヴァース式において、「早期集中介入でなければ意味がない」といった断定的な意見が述べられている中で、それ以外の行動療法を目指す前提として、早期集中介入以外のアプローチにも十分可能性がある、ということをはっきりさせておきたかったのです。

そんなわけで、認知や感覚統合といった、私があまり好きではないことばで言い換えれば「内面の発達」に主眼をおいた療育法の中には、ずっとそういった方法を継続し、行動療法的なアプローチを全面的に否定する考えも少なくありませんが、私の考えは違います。

ボートの穴の修理(内面の発達の促進)をひたすらやり続け、穴を完全にふさごうと長い時間をかけすぎるのではなく、穴が小さくなったら、つまり必要最小限の認知力・コミュニケーション力の発達がみられたら、いよいよ海に乗り出す、すなわちフォーマルなトレーニングを含む、より具体的かつ行動療法的な療育に切り替えていくのです。認知力やコミュニケーションの基礎力を重視するのは、それらが、効率的な行動療法トレーニングを開始するために必要な素地、つまりレディネスになるからです。

したがって、フォーマルなトレーニングを開始するかどうかを判断する基準は、以下のようなものになります。

1.トレーニングを実行できるような、親子の最低限の関係ができていること。
 親に近づいてくる、親のそばで遊ぶ、親の声に反応する、親とかんたんなやりとりの関係がある、といったことになります。

2.トレーニングを実行できるような、最低限の精神状態ができていること。
 食事を(最初の数分でも)座って食べられる、親が誘導して別の遊びに切り替えるといったことができる、親が補助すれば簡単な操作系のおもちゃが遊べる、腕や体を触っても嫌がらない、などです。

3.日常生活の中で、複雑な操作や要求行動が芽生えてきていること。
 自分の好きなもの、やりたいことであれば、器用に指先を使ってやろうとする、道具を使って欲しいものを取る、といったやや高度な操作行動が芽生えているということです。

4.好子が見つかっていること。
 トレーニングに使えそうな、子どもにとっての好子(強化に使うことができるごほうび)があること。それまでの関わりの中で、数秒で終わって何回でも与えることができる、室内でできる、そういったものが見つかっていることです。

5.汎化の力が付いてきていること。
 汎化とは、既に学習したことを、少し違う状況でも応用して適用することをいいます。
 汎化は自閉症児には難しいと言われていますが、既に遊んでいるおもちゃと似たおもちゃを与えれば同じ遊び方ができる、環境が多少変わっても落ち着いていられる、初対面の人にも慣れれば近づいていく、といった行動があれば、汎化のスキルが芽生えていると考えられます。

これらの条件が(全部ではなくても、大部分が)満たされていれば、1日10分程度の短いトレーニングであっても「自然消去」されることなくトレーニングの成果が上がっていき、また、そのトレーニングで学習したことが、日常生活で何らかの形で活かされることが期待できます。
逆にいえば、こういった環境が整っていない中で行動療法を開始しても、1つの場所にじっとさせて課題を始めることすらままならないでしょうし、無理にトレーニングを行なってもそれが身につかず、日々の行動に反映されることは期待しにくいと思います。


posted by そらパパ at 23:23 はてなブックマーク | コメント(0) | トラックバック(1) | そらまめ式
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