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自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト ~お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育
著:そらパパ
ぶどう社
第1章 「ピリオド・ゼロ」を乗り越えて
第2章 療育は家族の一大プロジェクト
第3章 お父さんは、プレイング・マネージャー
第4章 私の経験談から
第5章 自閉症とその療育の進めかた
第6章 自閉症療育の全体像
第7章 明日から実践できる療育のアイデア
今回は、前半(1章~4章)の「導入編」の内容についてご紹介したいと思います。
実は、今回の本の企画は、この第2章・第3章の内容を、私がぶどう社さんに企画書として送ったところから始まりました。
ですから、この2つの章には、この本の企画が始まった当初から、私が書きたいと思っていた、とても重要な内容が詰まっています。
まず、何よりもやりたかったことは、「家庭での療育」という営みを再定義すること、でした。
療育は、「通常よりも辛い子育て」であったり、「自分の子どものことなのに専門家に頼らなければならない子育て」だったり、「同じ場所で足踏みしつづけるような後ろ向きな取組み」だったり、「ただ忙しいだけの毎日」だったり、どうしても私たちはそんな風に考えてしまいがちになります。
もっと端的に言ってしまえば、療育に忙殺される人生は「不幸な人生だ」と率直に感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
そしてそういった感情は、「こんなことが起こらなければよかったのに」という、「過去を向いた視線」につながっていくでしょう。
この本では、そんな「後ろ向きな視点」を転換したい、と思いました。
それが、自閉症児の療育を、「子育てが(悪いほうへ)変化したもの」ととらえるのではなく、家族全員で取り組まなければならない、でも成功させれば大きな果実が得られる「人生の一大プロジェクト」としてとらえる視点です。
たとえて言うならば、それまではルーチンワーク的な仕事を担当していたサラリーマンが異動になって、大きなプロジェクトをゼロから立ち上げる仕事を任されたようなものだ、と考えるわけです。
ルーチンワークとプロジェクトワークでは、当然ものごとの考え方も、仕事の進め方も、そこから得られる「結果」も、大きく変わってきます。リスクや責任は大きくなりますが、そこから得られる「やりがい」や「仕事の面白さ」、「仕事の創造性」も、より大きく・高くなる可能性を秘めています。
「『普通』の子育て」が、ある瞬間から「療育的取組み」に変わることも、同じように、「人生という『仕事』」の大きな質的転換だととらえることができるのではないでしょうか。
そう考えて、自らに新しい役割を課し、「仕事」のやり方を変え、強い目的意識をもって家族を引っ張っていくことができれば、先に書いたような、療育に対する「後ろ向きな視線」を180度転回して、「やりがいがあって創造的なライフワーク」としての「前向きな意味づけ」をすることができるはずです。
そして実際にその人生の「プロジェクト」に前向きにとりくんで、自分の「仕事」を成し遂げることができれば、子どもも、家族も、そして自分自身も「幸せ」を実現することができるのではないでしょうか。
・・・ちょっと青臭いですね。
でも、今回はそういう青臭い部分もあえて表に出して、情緒的なメッセージを込めて書きました。
実際の療育の取組みは、冷静な目で子どもの現状を観察して、科学的に進めていかなければいけないと思っています(そして、そのやり方を本書の後半で書いています)が、その取組みを続けていく大前提として、私たち親は、その「療育的取組みを続けていく自分自身の人生」に、前向きな価値を見出している必要がある、と私は考えています。
療育への「情熱」がなければ長期にわたる取組みを続けていけるはずがありませんし、そうやって取組みを続けていく人生そのものを親自身が「幸せだ」と感じていなければ、極論すれば何のために家族全員を巻き込んで療育をやっているのか分からなくなってしまいかねません。
だから、親にとっての療育、それそのものについて語っている部分では、あえて私自身の情緒的な想い、メッセージを率直に書きました。その「情緒的な部分」こそが、そこでは一番伝えたい部分だからです。
そういう意味では少し恥ずかしい内容でもあるんですが(笑)、このブログではこれまであまり書いてこなかったような、熱い?想いも込められていますので、その辺りも含めて読んでいただければ嬉しいですね。(^^;)
さて、ここまではだいたい第2章の内容になるのですが、ただ「熱い想い」を語るだけでは、具体的にどうやったらいいか分からなくてかけ声倒れになってしまいます。
自閉症療育とは、家族にとってとても大きな「プロジェクトワーク」である、という出発点から、第3章では、では家庭での自閉症療育というのは具体的にはどんなプロジェクトで、そのプロジェクトを成功に導くためにはどんな仕事を果たしていかなければならないのか、といったことを具体的に解説しています。
家庭での療育というのは、とにかくできるだけ多くのことを必死に頑張り続けろ、といった進めかたをするものではないと考えています。
むしろ、限られた人員、限られたサービス、限られた時間を、いかに有効に最大限効率的に活用するかに、すべてがかかっていると言っていいでしょう。
第3章で書いていることはやや込み入った内容になっていますが、簡単にいえば、「できるだけ家族の負担を軽くしつつ、でも療育効果は最大限に発揮されるような仕組みを作ること」こそがお父さんの仕事だ、ということを言いたかったのです。
それが、この本で繰り返し書いている、普段仕事で忙しいお父さんであっても(むしろ「だからこそ」)やり遂げることができる、とても大切な役割です。
ところで、この第3章は、ある種のリーダー論、マネジメント論になっていて、読者のかたによっては実感がわきにくいかもしれません。
実は、第3章でまとめている取組みというのは、私自身がこれまで、そして今も現に試行錯誤している家庭での取組みを体系化したものにもなっています。
ですので、「第3章で説明していることの具体的な実例」という位置づけで、これまで、私自身が実際にどんな風に、我が家の「プロジェクト」に取り組んできたかということについても(これも恥ずかしいのですが(笑))まとめることにしました。それが、第4章ということになります。
ですから、第3章を読み始めてみて、難しいと感じられた方は、そのまま第4章に進んでいただいて構いません。第4章を読めば、第3章で書いていることが具体的にどんなことかは大体分かります。
そして、本書をひととおり読んだ後、また機会があるときに第3章に戻ってきていただければいいんじゃないかな、と思っています。
ここまでが、前半の「導入編」の概要です。
第5章以降の後半「実践編」については、次回の記事で書きたいと思います。
(次回に続きます。)
今日(29日)、近所の中規模の書店に並んでいるのを発見しました。
やっぱり、自分の本が並んでいるのを見るのは照れくさいですね・・・(^^;)
ご本を買って読ませていただいています。実はぶどう社さんからの直送に早々に申し込んで入手し、読み始めたのですが、読むのが早い私には珍しいほど時間がかかっています。最初の頃に読まれた方の感想で、「読み易い、一気に読んだ」というのが多い中で、なかなか4章から先に読み進められないでいます。やはり、そらパパさんが一番書きたかったこと、とおっしゃるだけあって、数行読んではうーん、と考え込んで止まってしまうという感じです(笑)。
そして、いかに夫に読ませるか、というところでチラ見させたりして誘導しているのですが、なかなかその気になってもらえず、作戦中です(笑)。
3章までで申し訳ないのですが、感想を書かせていただきます。
まず、最初に爆笑したのが、「実は気づいてみると、自分達の家族だけ小さな船に乗り移っていて、大シケの中でその船を必死に操縦していたのは妻だった...」のところです。
髪振り乱してずぶぬれで船を操縦している自分を想像して爆笑しました。これを読むまで、自分の必死さ加減を引いて見ることができていなかったのでしょう。笑えてよかったです。
そしてなるほど、とうなったのは、2章の6、「無限を有限に変える」です。
私も夫も仕事がらPMもメンバーもやることがあるのですが、確かに役割分担というのがはっきり定義されているほど、プロジェクトは円滑に進み、メンバーの心の負担は軽くなります。
「これしかやりません」というのとは、少し違いますね。このあたりは、まじめにプロジェクトやリスクマネジメントをされている方には納得感があると思います。
そらパパさんに言われて初めて、「無限ループ」に落ち込みそうになっていた自分に気づきました。
また、父母の役割分担がはっきりしないまま、その上スキルレベルがばらばらなまま子供に接しているのは、こどもが最も混乱する要因であるとわかりました。
まずはスモールスタートとして、子供の担当医の診断の時、良質のセミナーなどは夫に同席していもらっています。
また、4章以降の感想や、夫が本を読んでくれたらまた感想を書かせてもらいたいと思います。
最後に、個人的には、そらパパさんのおっしゃるプロジェクトマネージャーは実はストラテジストのロールも含むな、と思いました。実は私はPMよりはストラテジストです。日々の細々した進捗やリソース管理は苦手です(笑)。夫はサポートメンバータイプですが、範囲と役割が決まればPMも淡々とこなします。このあたりで、うまく役割分担を考えるべきでしょうね(笑)。
拙著をご購入いただきありがとうございます。
もしかして、「難しい」とおっしゃっているのは第4章ではなくて第3章ですか?
(第4章は「私の経験談から」なので、多分そんなに難しくないと思いますので・・・)
第3章は、当初の原稿から、最終稿では分量を半分くらいにまで圧縮しています。
もともとかなり込み入ったことを書いていたところを、さらに情報量をできるだけ減らさないように文章量を半減させたので、結果的に難しめの章になってしまったかなあ、と反省しています。
Amazonでいただいているレビューにもありましたが、この章は、最初に読むときはたぶん読み飛ばしてもいい章なのかな、とも思っているんです。
「当面の療育」には必要ないことですし、第3章で書いていることの「基本」の部分は、実は第2章で書いてしまっています。
ただ、「この本のこの章にこんなことが書いてあったな」ということを覚えておいていただければ、きっと、いつか必要になるときがくるんじゃないかな、そのときに改めて読み返してもらえばいいんじゃないかな、そんな風に思っています。
ちなみに、「大シケのなかで小さな船に・・・」の部分は、自閉症児のお母さんの他のブログでも触れている方がいらっしゃいました。
「無限を有限に変える」話や、私の言っているプロジェクトマネージャーにストラテジスト的役割が多分に含まれている点については、さすがに的確な指摘だと思いました。
※ちなみに私は、以前はPMの仕事をやっていて、いまはストラテジスト的な仕事をやっています。