2005年12月05日

マッチングカードについて(1)

昨日リリースしたオリジナル教材第2弾、「マッチングカード」に関連して、我が家で行なっているマッチング課題などについて少し書きたいと思います。

この教材は、「はじめてのフォーマルな行動療法」という位置付けで開発しました。
我が家でもそうでしたが、幼い子どもに障害があると知って最初に手をつけるのは、「遊び」による療育や、食事などの自助の取り組みだと思います。それらが少し進み、生活のリズムや精神面での安定がある程度見られるようになってくると、イスに座って課題をやるような、いわゆるフォーマルなトレーニングについて考えられるようになります。
このマッチングカードは、そのようなフォーマルなトレーニングの第一歩として活用できるようにと思い、制作しました。

実は私は、自分の娘に関しては、こういったフォーマルなトレーニングを開始するのはもう少し後でもいいかな、と思っていました。
まだ自分で着替えることも、一人で食事をすることもできず、おむつも外れない娘には、フォーマル課題以前の問題として身に付けてほしいことがたくさんあったし、普段の療育などを見ていても、じっとして課題をやれるとはちょっと考えにくかったからです。中途半端にフォーマル課題に挑戦して失敗すると、娘にとってよくないだけでなく、妻を落胆させて日々の療育のモチベーションが下がることも心配でした。

でも、転機は意外なところからやってきました。

療育のほうで定期的に受けている発達診断で、発達が止まっている、退行している部分もある、という診断が出たのです。その結果を聞いた妻はけっこう落ち込んでいました。
毎日の娘を見ている私たちから見れば、そんなことはまったくあり得ないことで、コミュニケーションも意思表示もずいぶん発達していることは確実だったのですが、診断のために行なったフォーマル課題では、確かに新たにできるようになったものが少なく、以前できたものができなくなっていたものもありました。
前回診断を受けた頃は、「何とか遅れを取り戻そう」という一時的な盛り上がりの中で、知育教材なんかを無理やりやらせていた頃だったのに対し、その後はそういった「背伸び」をやめて、もっと基礎的な認知力を伸ばすような、どちらかというと「操作」のないおもちゃを中心に遊ばせていたことが原因だと思われました。

私は、これはフォーマル課題を開始するいい機会かもしれないな、と思いました。
今なら、「娘にフォーマル課題をやらせたい」という家族のモチベーションも高くなっているから、課題の実施に多少の困難があっても頑張れそうだし、そろそろ「大人が期待することをやればごほうびがもらえる=いいことがある」という「気づき」を芽生えさせてもいい頃だ、と考えました。

そこで、まずは手始めとして、診断テストでできなかった「型はめパズル」と、家庭で実施しやすそうな「マッチング課題」をやらせてみることにしました。型はめは、キャラクターの顔などの余計なものがついていなくて、しかも「上から入れる」という一番簡単な操作で遊べるものとして、下記のものを買ってきました。


はじめてのブロック
マテル
フィッシャープライス・ブリリアントベーシック

マッチング課題については、100円ショップでプラスチックの標識カード(今回制作したオリジナルマッチングカードと同じようなデザイン・サイズのもの)を買ってきて、それで始めました。

当初の予想では、型はめのほうが抽象的思考が必要ないから簡単で、マッチングは当分できないだろうと思っていたのですが、実際にやらせてみると、開始後数日たったある日を境にマッチングが大得意になり、もともと私が用意していたレベル(今回のマッチングカードの段階15に相当するレベル)まであっという間に到達してしまいました。これには私も驚いていて、今後は文字の識別のような方向か、あるいは2次元と3次元のマッチングのような方向か、どちらに進むべきか考えているところです。
型はめについては、こちらは我々の予想通りのゆるやかな上昇カーブを描いていて、地道に進めています。
また最近は、これら2つの課題がちょっと簡単になり早く終わるようになってきたので、新たに動作模倣のトレーニングも開始しました。

とはいっても、これらのトレーニングを全部足しても、所要時間はせいぜい15分から20分といったところです。それ以上の時間をフォーマル課題にあてることは、今のところ考えていません。もちろん「ロヴァース式の行動療法」で重視されているような、週40時間以上といった、いわゆる「集中介入」を行なうつもりはありません。

その理由と、私が考える「フォーマル課題による行動療法」の意義などについても、後日書いてみたいと思います。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | オリジナル教材 | 更新情報をチェックする
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