2019年01月29日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(203)

さて、このシリーズ記事もいよいよ完結に近づいて来ましたが、最後に参考資料として、ビルダーとのプラン・仕様打ち合わせの最終決定稿を掲載しておこうと思います。

これは、建築請負契約締結から約3か月間、何度もモデルハウス内のビルダー事務所に通って、細かい仕様や間取りの詳細を詰め、ビルダーと施主(つまり私)の双方が「もうこれ以上修正しません」とお互いに確約して印鑑をつく最終プランということになります。

プライバシーやセキュリティに関わりそうなところは一部割愛しますが、家づくりのプランについては、ここに掲載するものが書面として残された公式な約束のすべてになります。
実際にはそれ以外に、口頭でお願いしたことや建て始めてから発生した不測の事態による変更も若干ありましたが、口頭での約束については度重なるビルダー側のスタッフ変更(建築請負契約時にいたビルダーのスタッフは、店長も営業担当も打ち合わせの担当も担当建築士も家の工事が始まる頃には全員入れ替わってしまいました)で有耶無耶になってしまったものもありましたし、やはり「書面で残されているもの」が頼りになるすべてだというつもりで最終プランを作り、約束したことはすべて書面に落とし込むということが重要だと思います。

というわけで、最初の書類は仕様に関するものです。
いちおう、セキュリティを考慮して、個人情報的なところは削除してご紹介させていただきます。

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こちらを見るとわかるとおり、仕様として決めなければならないことは実に膨大です。少なくとも私が契約したビルダーは、「分からないから任せるので適当に選んで」というのは通用せず、各部位、設備ごとに用意された標準仕様内のいくつかの選択肢からちゃんと一つ一つ選び、色が選べるときはそれも選んでいく必要がありました。
ですから、ここに記載されている項目は基本的にすべて「選んで決めている」ことになります
posted by そらパパ at 21:25| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2019年01月21日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(202)

療育に配慮した家づくり、外構や建物配置に関連する配慮の最後は、

9.「滑らない」床材の選定

になります。
床材といっても、室内ではなく屋外の歩道部分、つまり道路と敷地の境界から玄関前までの「玄関アプローチ」に使う床材ということになります。

以前も書きましたが、家の建物の周囲の敷地を「舗装」する方法はいろいろあって、非常に強い耐久性、耐荷重性が求められる駐車スペースは、ほぼほぼコンクリート舗装一択(たまに石張りでおしゃれにしようとする新築の家を見かけますが、だいたい2ヶ月もしないうちに割れて悲惨なことになってます。また、アスファルト舗装というのは夏は溶けるし成分が揮発して石油臭くなるし一定期間ごとに舗装しなおしになったりで一般住宅向けではないです)、ふだん歩くこともないような家の裏側は防草シートを敷いた上に砂利敷き(これがいちばん低コストなうえ、歩くと音がするので防犯効果もある)、となりますが、問題は、「駐車スペースではないけれど歩くことはよくある部分」、つまり玄関アプローチの舗装方法ということになります。

意外と、ここの部分も「ついでにコンクリート舗装」にしてしまうケースが少なくない(駐車場と違って基礎工事はやりませんが)のですが、コンクリートで舗装した場合の最大の問題は、

雨が降ると滑る

ということです。
コンクリートはあまり水を吸わないので、一定以上の雨が降ると表面に水の膜ができます。これはスケートリンクと同じような状態ですので、裏がつるつるのビジネスシューズや接地面が硬い素材のカジュアルシューズとかだと、簡単に滑ってしまいます。
ここで、石畳をイメージしてタイルなんかで舗装してしまうと、事態はさらに悪化します。

そんななか、我が家が採用した舗装方法は、レンガによるインターロッキング(レンガを少しずつ隙間をあけて並べ、隙間に砂を詰めて固定する舗装方法)です。
そして、使用するレンガについては、

・表面がざらざらしていてもともと滑りにくい
・吸水性が特に高く、雨が降っても表面に水の膜ができない


という特性をもった「歩道舗装専用品」を選びました。
一般的なレンガよりも少し割高でしたが、おかげで、我が家の玄関アプローチは大雨が降ってもまず水たまりができない、非常に滑りにくいものになり、転倒事故もまったくおきていません。
posted by そらパパ at 23:28| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2019年01月14日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(201)

気がついてみると、このシリーズ記事、200回を超えていますね。当初は50回くらいのつもりで書いていたのですが、思いのほか長いシリーズ記事になりました。
とはいえ、もう最後のまとめに入っていますし、そのまとめもそろそろ終わりです。

というわけで、家づくりの中での療育的配慮の要素、建物配置や外構について、次のポイントは、

8.玄関から前面道路までの動線

です。

間取りのところでも触れましたが、家庭での生活のなかでの1つの典型的な「危険場面」というのは、どこかへ外出するとき、玄関から外に飛び出した際に(交通)事故に巻き込まれる、というものだと思います。

私自身、上京してからいろいろなタイプの住宅に住みましたし、今回の家づくりにあたっても、また前回建売を買ったときも、たくさんの家を実際に見てきましたが、狭小な土地に立つ都会の住宅の場合、玄関から出て、そのまま2,3歩歩くと車の走っている道路に出てしまう、というタイプの家が少なくない割合で存在します。
そういう家を選んだり建てたりしてしまうと、子どもと外出するときも常に自分が先に出て子どもが道路に飛び出さないように配慮する必要がありますし、たとえば両手がふさがっているときなど、子どもの安全をうまく十分に確保できない状況も多々発生すると考えられます。

「そんなの常に注意すれば/子どもに言って聞かせて適切に行動できるようにすれば済む話だ」とも言えますが、そういうリスクがない(または低い)建物配置になっていれば、そもそもそういう心配をする必要がなくなるわけですから、せっかく家を建てるのであれば、飛び出し事故リスクのない設計を考えたほうが合理的です。

というわけで、我が家の玄関は、前面道路から数メートル奥まった位置に、かつ前面道路とは90度角度をずらして設置しました。玄関を開けると、まず体の向きを90度かえて、そこから玄関アプローチを数メートル歩いて、ようやく前面道路に到達します。
しかも、こちらは土地選択のところで触れましたが、その前面道路は行き止まりのクルドサックの最奥なので、周囲の数軒の家の住人と、配送業者の車くらいしか往来しません。
子どもが玄関からふいに飛び出すことによる(交通)事故リスクは非常に低いところに抑えることができています

posted by そらパパ at 21:14| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2019年01月07日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(200)

当ブログにお越しくださっている方、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

さて、療育的な側面を含む我が家の実情から、どうしても駐車スペースが2台必要というところからはじまった土地探しですが、4LDK程度のそれほど大きくない家に広めの駐車スペースを合理的に確保しようとすると、敷地条件が想像以上に厳しいものになります。

そういう観点から、実は「北向き」の土地が非常に選びにくくなったりします
北向きの土地の場合、「南側」は道路と反対、つまり道路からみて建物の裏側になり、通常はそちらにリビングなどを配置します(そうしないと昼間でも薄暗いリビングになってしまいます)。そして、住宅地において1階の南側のリビングに日の光を入れようと思うと、最低でも2m、できれば2.5mくらいは建物の南側を隣地から離さなければなりません。
つまり、土地が「北向き」の場合、建物の裏側(=南側)に2m以上のスペースを確保しなければならなくなり、前回の記事の計算でいうと、

土地の奥行き方向の長さ   13m
土地の南側のスペース     2m+α
建物の奥行き方向の長さ    7m
残り(駐車スペースの奥行き) 4mーα


となり、駐車スペースの奥行き5mが確保できなくなってしまうのです。4mを切ったらコンパクトカーさえ入りません。
これを回避するためには、建物を変なL字型にしたり(そうするとだいたい間取りに無理が生じ、廊下が長くなったりして無駄が増える)、駐車スペースを奥行き方向に2台にする(その場合、奥に入れたほうの車は前の車を移動させないと出られずものすごく不便)といった工夫をしなければなりませんが、いずれにしても大抵は何らかの歪みが生じて暮らしにくい家になります。

この問題は、「西向き」「東向き」でも、北向きほどではないにせよ生じるので、コンパクトな敷地に広めの駐車場をとりたい場合には、多少割高になっても「南向き」の土地を選ぶのがいちばん賢明な選択になる、と言えると思います。

実際、我が家も最終的にたどりついたのは、南向きの土地でした。
そして、駐車スペース兼駐輪スペースとして、奥行き5m強、横幅7m強の敷地を確保することができたので、ふだんは自動車2台と自転車、さらにもう1台車がくるときには自転車を移動させて自動車3台がとめられるようになりました
現在、休日に遠出する際にはミニバンを、平日、妻が子どもたちを特別支援学校と保育園に送り迎えするときには小回りのきく軽を、というマイカー2台体制になっていますが、これも「3台めがきても駐められる」という安心感があってこそできたことです。
そういう意味でも、たっぷりとした駐車スペースが確保できたことは、療育を支える我が家の重要な「インフラ」になっているといえると思います。
posted by そらパパ at 21:15| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
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