2018年12月24日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(199)

外構や敷地内の配置に関連して、新しい家づくりにあたって療育上の必然性からも一番重視したのが、2台分以上の駐車スペースでした。

前回の記事も書いたとおり、建売住宅では2台分の駐車スペースのある物件はほとんどなかったため、途中でプランを注文住宅に切り替えたわけですが、これによって逆に駐車スペースの設計の自由度は上がりました。

駐車スペースの配置は、車を入れやすい直角駐車、これまでの家では駐車スペースの奥行きが直角駐車方向には4mしかなかったためにコンパクトカーしか選べなかったところ、自由に車種が選べるように5m程度確保、また駐車スペースの幅も、普通自動車が安全に駐められるためには1台あたり2.5mはほしいと考えると、要は「5m四方のスペース」を確保すればいい、ということになったわけです。

そしてここに、敷地の条件が重なってきます。

今回、それまでの家よりも一部屋多い4LDKの家にしたいと考えていて、建ぺい率・容積率などを考えると120m2前後の土地を想定していましたが、間口が4、奥行きが6くらいの比率のよく売られている標準的な長方形の敷地を考えると、間口9m弱、奥行き13m強くらいになります。
建物と隣地の境界は最低50cmとされていますが、それだと歩いて建物の裏側に行くことも、エアコンの室外機を置くこともままならなくなるので80cmは確保、さらに外壁の厚みを考えると片側1mは必要なので建物の間口方向の長さは最長7m弱となります。これに、建ぺい率40%を組み合わせると、建物の奥行き方向の長さは約7mとなります。

…割と微妙な状況になるのが、わかるでしょうか?
先ほど、敷地長さは13mほどだといいました。そこから、隣地との境界(建物裏側)の1mと建物本体の長さ7mを引くと、残りはちょうど5mなのです。実はけっこうギリギリなんですね。
そして、家の敷地には、駐車スペースだけでなく、玄関への上り口(階段)や自転車の駐輪スペース、物置なども配置しなければいけませんから、それらも考慮しながら、ちゃんと2台分の駐車スペースが確保できて、車関連以外の生活動線も混乱しないような土地(と建物配置)を考えていかなければならないわけです。
posted by そらパパ at 22:50| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年12月17日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(198)

今回の家づくり記事、最後のまとめとして、療育的に配慮した点を改めて整理しています。

前回は設備について触れましたが、今回から建物配置と外構についてです。まず、家の「構想」の段階からはっきり方針としたのが、

7.2台分以上の駐車スペースの確保

でした。

この前提が結果として注文住宅を建てることになる最大の原動力となったというのは、すでにこのシリーズ記事の最初のほうで書いたとおりです。

もともと、それまで住んでいた建売住宅は、駐車スペースが(都心よりの物件としては)広めにとられていて、道路に対して並行駐車なら大きな車が余裕で駐められました。
そして、駐車スペースの奥行きが約4mあったため、全長が4m未満の自動車(軽自動車やコンパクトカー)であれば、直角駐車で2台駐めることができたのです。
このおかげで、妻の実家の家族が自宅にきたり、車で来ていただくような支援系のサービスを利用したりといった際に、外部の駐車場を利用したり路駐したりすることなく、安心して車できてもらうことができていました。

引っ越すにあたっても、この2台分(以上)の駐車スペースというのはどうしても譲れない、ということでこれを大前提として物件を探し始めたわけですが、率直なところ、都心への通勤圏内にある建売住宅で、駐車スペースが2台分ある物件って、驚くほど少ないんですよ。
新築だと、バス便とかの非常に不便な場所を除いて、最寄り駅からの徒歩圏で探したりすると、一つのエリアで片手に満たないほどしかありません。
中古物件にまで手を広げるとないこともないですが、だいたいその場合は二世帯住宅になっていて、敷地が広くて割高、間取りが私達家族には合わない、恐らく「片方の世帯」がいなくなって売りに出ているということで、築年数も高めと、わざわざ築10年の利便性のいい家から引っ越す必然性のないような物件ばかりだったわけです。
不動産屋からも、「建売物件というのはマンションと競合している物件なので、値段帯としてもマンション同等の水準におさえているものが多く、値段を抑えるために駐車場は最低限である1台分となっているものがほとんどだから」と言われました。

それで、いろいろ悩んだ末に、「もうこうなったら土地から探して注文住宅を建てるしかない」という結論に到達して、現在の土地に注文住宅を建てることになったわけです。

その徹底したこだわりのおかげもあって、今回、駐車スペースについては、非常に満足できるものを作ることができたと思っています。
このあたりについては次回の記事で改めて。
posted by そらパパ at 21:15| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年12月10日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(197)

今回の家づくり記事、最後のまとめとして、療育的に配慮した点を改めて整理しています。
狭い意味での間取り(建物内の間取り)について、療育的な配慮をした部分についてはだいたい出たので(それ以外にも、個室よりもLDKを中心とした家族のスペースの重視であったり、椅子やソファーとテーブル、という形だけでなく座布団でぺたんと座ることのできる和室の設定など、細かいものはいくつかありますが)、続いてはより広義の間取り、建物配置や外構、設備といった部分についてまとめていきたいと思います。

まずは「設備」についてですが、療育的配慮ということでまずあげられるのが、

6.オール電化

でしょう。

これはもう、「安全」ということを考えると、ガス+電力よりもオール電化のほうがずっと優れているといって間違いないと思います。
家の中でも、キッチンはリスクの高い場所ですが、そのリスクのなかでも「火」のリスクは最大のものと言ってもいいでしょう。(それ以外には「刃物」があります)
オール電化にすれば、知らないうちに子どもがキッチンに入って火傷をしたり火事になったりといった不測の事故のリスクを大幅に下げることができますし、さらには子どもに調理にチャレンジしてもらう、といった「前向き」な取り組みについても安全度が高まると思います。

とはいえ、実のところをいうと、家づくりの当初からオール電化に決めていたわけではありません。家づくりを考え始めたころは、まだ東日本大震災の計画停電の記憶なども残っていましたし、どちらかというとオーソドックスに都市ガスを引くことを考えていました。
特に、多くのビルダーのプランでは、「オール電化」はオプション扱いで、通常の都市ガスありのプランよりも数十万円程度割高になるケースが多かったので、「わざわざコストをかけてまでやることではないな」と思っていたのです。
ところが、最終的に決めたビルダーの場合、オール電化のほうが「標準仕様」で、ガスにするには追加でオプション費用(しかも数十万円レベル)払わなければならなかったので、それなら逆に話が早いということでオール電化を選択したのです。

オール電化にすると、災害時に停電すると何も使えなくなるリスクがあると言われますが、実はガスでも給湯器は停電すると使えないので、違いはコンロだけ、コンロについては非常用にカセットコンロを常備しておけば解決します
さらに、エコキュートに残ったお湯はしばらくはお湯として、その後も飲料水として使えるので、断水にも強いのです。

それ以外のオール電化のデメリットとしては、温水シャワーの水圧が弱いIH調理器では中華鍋を振り回すような調理ができない(そもそも調理器具を全部IH対応型に買い直す必要あり)、エコキュートのお湯には限りがあるので、お風呂でシャワー垂れ流しみたいな使い方はできない、といったことがあげられますが、どれも慣れれば大きな問題ではなくなります。
それよりも、夏場でもキッチンが暑くならないし、水蒸気も発生しないのでキッチンが大幅に衛生的で快適になりますよ。
posted by そらパパ at 22:01| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年12月03日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(196)

子どもの療育に配慮した家づくりのまとめとして、間取りなどに関連した配慮ポイントを整理していますが、「間取り」ということでもう1つ配慮したポイントとして、

5.大きな玄関スペースと框上の荷物スペース

というのがあります。
これらの配慮ポイントは、あまり一般化できないかもしれませんが、うちの子どもにとっては割と重要なポイントでした。

長女は、何か用があって外出するとき(登校時や家族での外出など)、リビングから玄関へ、そして靴をはいて一気に外へ、という単純な動線で移動してしまうので、「外出の準備のためにいったん別の部屋に行って、それから外出する」という形をなかなかとることができません。

なので、外出するにあたっては、かばん類や上に羽織るもの(ジャンパーなど)は玄関に用意しておき、玄関で一気に「外出準備」を完結させて出かける、という動線を作れると非常にスムーズになります
そのためには、玄関は広めなほうが使いやすいですし、かばんやジャンパーなどは土間ではなく框の上に置きたいですから、「広めの玄関、かつ余裕のある框」を設定したいわけです。

とはいえ、もともと大して広くない家で玄関ばかり広く取るのはスペースの無駄にもなりますから、「玄関を広くとりつつ、玄関に余計な床面積を使わない」というある種矛盾した要件を成立させなければならないことになります。

ただ、これにはヒントがありました。たまたま、それまで住んでいた家で、1階から2階にのぼる階段下のスペースが一部玄関に抜けていて、玄関が「本来の間取りスペース+階段下スペース」という形で「床面積を消費せずに広く」作られていたのです。

これは素晴らしいアイデアだったので、新しい家でも全面的に採用しました。階段下のスペースをすべて玄関側に回すことで、玄関の広さを本来の広さの2倍近くまで広げることができたのです。
加えて、間取りを工夫して玄関から家に上がる動線の脇に框を少し広げて、その部分に外出の際のかばんや上着などを置けるようにしました。

実際、これらのスペースは想定通り毎日のように活用されています。
posted by そらパパ at 22:03| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
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