2018年04月30日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(165)

さて、そんなわけで、家を売るときにやらなければならないことは、「ネットで複数業者に見積もりをとって高いところを探す」なんてことではなくて、「自分で情報収集して自分の家がいくらで売れそうかの相場観をもつ」ということです。

そのうえで、目星をつけた不動産業者(買い替え先の家を買うときに世話になった業者など)に相談し、「自分の相場観と著しく違うなどの違和感がないか」を確認し、違和感がなければ基本的にはそこにお願いしてしまう、という流れでいいと考えています。

「違和感がある」というのは、簡単にいうと、「高すぎる(楽観的すぎる)」または「安すぎる(悲観的すぎる)」ということで、それに加えて「自分がネットで情報収集したレベルよりも勉強不足を感じる」ということが重なった場合には、その業者には任せないほうがいいでしょう。

私自身、「お世話になった不動産業者に売却を任せるつもりで相談したら、異様に安い査定を提示されたうえに、やる気もなくて全然引き合いがなく、別の業者に依頼したらそれよりはるかに高い金額で査定され、やる気もあって早々に売却に成功した」という経験をもっていますから、仮にお世話になったことがあって愛着を感じている業者(担当者)があったとしても、「違和感を感じる」査定や営業をされた場合には、早めに見切りをつけて別の業者を探したほうがいいでしょう。

※ちなみに、このあたりの話は、Kindleでリリースしている下記の拙著に詳しく記載しています。「リゾートマンション」という、ユニークなカテゴリの不動産の個人での買い方・売り方を徹底的に研究している本ですので、ご興味のある方はぜひどうぞ。



ともあれ、目をつけた業者に売却の相談をして、でてきた査定額や営業方針に納得できれば、そこで媒介契約(通常は、専任媒介契約をすすめられると思いますし、それでいいと思います)を締結し、家を売りに出すことになります。

売り出しにあたって留意することなどについては、次のエントリでまとめたいと思います。
posted by そらパパ at 21:00| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(164)

というわけで、自分の家(土地)の相場観をえるための最大のヒントである「路線価」について書きました。

これ以外にも、不動産売買の相場を得るための資料としては、「公示地価」や「土地情報検索」などがあります。

うまく自分の家に近い条件(所在地、駅徒歩などの利便性、土地面積など)の物件の取引事例があれば参考になると思いますが、「そのものずばり」は当然ないので、結局、それらの土地単価よりも自分の家の土地がどのくらい高いか・安いかを見定めるのはなかなか難しいということになりがちです。

ちなみに、これらの情報をまとめて見られるサイトとして、「全国地価マップ」というのができたようです。

私がチェックした当時はこんなサイトはなかった気がするなあ。
でも便利です。ここでは路線価が2種類出ていますが、前回のエントリで紹介したのは「相続税路線価」のほうで、前回も書いたとおりここで出て来る路線価は実勢価格の8掛け程度です。
このサイトにもう1つある、「固定資産税路線価」の場合、出て来る路線価は実勢価格の7掛け程度と言われているので、路線価を実勢価格に翻訳するには、0.7で割る必要があります。

それともう1つ、いま現に売られている不動産物件(土地)を参考にするという方法もありますが、これもまた必ずしもうまくいきません。
なぜなら、そこに出てくるのは「売れる値段」ではなくて「(売り主が)売りたい値段」だからです。
ですから、実際に売れる金額よりも「必ず」高いと言えます。
逆にいえば、「売れるかもしれない相場の上限」としては、参考になると言えるかと思います。

次に、「上物」、つまり建物のほうですが、非常にぶっちゃけていうと、

・素人が期待するような値段はまったくつかないことを覚悟しよう

というのが基本です。

木造住宅の場合、「売る際の」建物の価値は、人が住んで中古になった瞬間に7割くらいになり、そこから一直線に年をへるごとに価値が下がり、築20年ほどで「ゼロ」、築30年ともなると、逆に「更地にするコスト」分だけ評価がマイナスになることを覚悟しなければなりません。

我が家の場合、だいたい10年ほど住んで売ったわけですが、売れたときの金額から計算してみると、建てたときにかかったであろうコスト(建売だったので正確なとこはわかりませんが)の1/3程度しか、「土地代」に上乗せすることができませんでした
建売の場合、全体的にローコストな作りでもあるので、外観としてもチープな印象は避けがたく、中古になったときの値下がりはなかなか抑えがたいというのが印象です。
posted by そらパパ at 21:32| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年04月16日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(163)

さて、自分が売ろうとしている家の「相場」(いくらで売れるか)を知るための方法ですが、

・路線価から計算する
・取引事例や公示地価を見る
・売出し中の類似物件を見る


大きく分けるとこの3つがあります。
「業者に査定してもらう」というのももちろんありますが、業者がやっているのも、基本的には上記の2つ+担当者の経験値程度のことで、実質違いはありません。

この中で、まずやるべきなのは、「路線価をみる」ことだと個人的には思っています。
それ以外の手法は(見た目のわかりやすさとは裏腹に)数字のぶれが大きく、参考にするのが意外と難しいのです。

路線価については、国税庁がWebで公開している「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」というのを参考にします。
こちらのサイトでは、過去数年分の路線価を地図形式でみることができます。
サイトの地図から、路線価をみたい都道府県を選び、「路線価図」のリンクをクリック、さらに市区名を選ぶと、町名の下に細かい番号のリンクがずらりと並びます。
最初に、ページの最上部にある「索引図」をチェックし、自分が見たい土地の番号がどれかを確認したうえで、該当する番号の地図をクリックすると、路線価図が表示されます。

路線価図をどう見るかは細かく説明しませんが、サイト内にある「路線価図の説明」を見ればわかると思います。要は、自分の家が接道している道路にかかれている数字が、土地の1m2あたりの基準路線価(単位:1000円)です。
この基準路線価に、奥行き補正(奥に細長い土地は減額)などの調整を加えたものが、その土地の路線価ということになります。
そして、1m2あたりの路線価に土地の平米数を乗じれば、その土地の評価額になるというわけです。

でも、この計算式で出した評価額をみると、だいたいは「自分が思ってるよりずいぶん安い」ということになると思います。
その理由は2つあります。

1つは、そもそも路線価は実勢価格よりも低めに設定されているということ。都市部では8掛けと言われているので、出てきた評価額を0.8で割る=1.25倍すると、実勢価格に近づくと言われています。

もう1つは、地価が上昇している局面では、路線価が「古い」ために、最近の値上がり分が考慮されていない、ということがおこるということ。値下がり局面では、逆のことが起こります。
posted by そらパパ at 22:56| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2018年04月09日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(162)

というわけで、持ち家を住み替える場合、通常は(よほどお金が余っているような状況でなければ)必ず通らなければならない、既存の自宅の売却の話です。

不動産の売却の場合、最初に考えなければならないのは業者選定ですが、今回はこちらについてはまったく悩む必要がありませんでした。
新しい家のための土地の購入、さまざまなビルダーの紹介(結局、採用はしませんでしたが)、さらには買った土地の区画の隣の区画の一部分割・追加購入という、業者として儲からない割に特殊で面倒な取引にまで懇意に対応してくれた業者・担当者に、そのままお願いすることにしたからです。
それまでの対応で、この担当者の方が熱心でなかなか有能なことはわかっていたので(それに、今回以外にも、不動産業者のいろいろな担当の方との取引の経験もあるので、それもふまえて)、この方以外の方に話を持ち込んで比較検討するという必要性も特に感じなかったわけです。

よく、不動産売却の際に、複数の業者から査定をとって高いところを選びましょう的なPRをしている比較サイトがあったりしますが、少なくとも不動産売却においては、査定の高い低いはほとんど意味がありません
なぜなら、査定した値段で業者が買ってくれるわけではなく、「その値段で市場に売り出す」というだけのことだからです。
結局、その物件がいくらで実際に売れるかは市場が(買ってくれる人が)決めるので、業者の「査定」にはほとんど意味がないとういうわけです。

ただ、一般に不動産業者は、査定した金額より高い金額で売り出すことにはあまり乗り気にはならないでしょう。なので、万一話をもっていった業者が、ありえないほど低い査定を出してきた場合には、「ああ、この業者はこの取引に関わりたくないんだな」と理解して、他の業者を探したほうが賢明です。

そのパターン以外の場合には、逆に査定が「高すぎる」業者はうさんくさく思うべきです。
そんな値段で売り出しても売れないような相場を無視した査定を出してくる業者は、ほとんどの場合、その高い査定で客に選ばれたいだけ(そういう場合は、実際に売り出してから「売れないので値段を下げましょう」と言ってあとから適正価格に調整してくる魂胆でしょう)か、土地勘が悪くて相場をよく知らないか、どちらかでしかないからです。

ただ、この議論をするためには、そもそも、自分の家(土地+建物)がどのくらいで売れそうかという「相場観」を私たち自身が持っている必要がありますね。(それがないから、比較サイトで査定をとったりする必要が出てくるわけなので)
そのやり方については、次のエントリで簡単にまとめておきたいと思います。
posted by そらパパ at 22:51| Comment(0) | そらまめ式 | 更新情報をチェックする

2018年04月02日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(161)

さて、建物も建ち、外構工事も終われば、新しい家は名実ともに完成です。
その後に控えた家族全員での引っ越しを控え、我が家としては、ぜひそれまでに済ませておきたい事がありました。

それは、

それまでの自宅の売却

です。

今回、新居については土地・建物ともフルローンでの購入となっており、手持ちの現金は頭金として使わず、外構工事・引越し費用を含む諸費用に回しました
そのため、借りた総額も大きなものとなっており、ちょうど超低金利のタイミングではありましたが、月々の返済額もかなり高額となってしまいました。
しかも、ローン返済期間も最長の35年を設定しており、そのまま返済していれば退職してからも延々と高額のローンを払い続けるという、現実的でない返済プランになってしまっていました。

とはいえ、もちろんそこまでの高いリスクを何も考えずにとったわけではありません。
それまで住んでいた建売の家については、幸いローンの返済は済んでいたため、こちらを売却できれば、そのお金を新しい家の繰り上げ返済に回すことができるということを織り込み済みだったわけです。

新しく家を探し始めた当初は、新しい家の予算を、いま住んでいる(いた)家の売却額プラスアルファくらいで想定していたのですが、実際には(当初想定していた建売ではなく)土地から買って注文住宅を建てる形になったので、手持ちの家を売ってもそれなりにローン残高が残る形にはなってしまいそうでしたが、それでもそのお金で繰り上げ返済をすることによって、返済期間を現実的なものにまで短縮し、かつ月々の返済金額も安全なレベルにまで下げることはできる計算でした。

具体的にいうと、今回の注文住宅のローンは、土地購入時、建物引渡し時、それぞれ別々に組まれています。バランス的には、土地ローンの金額が建物ローンの金額の2倍程度になっていました。
そして、従来の家の売却金額は、今回の土地代と同程度と見込んでいたので、この売却金額を2つに分割し、

・建物ローンの全額繰り上げ返済
・土地ローンの期間短縮繰り上げ返済


に使うことで、

・(建物ローンがなくなるため)月々の返済額を約2/3にし、
・(土地ローンを期間短縮するため)完済期日を現実的な時期にする


という形にローンを再構成することをもくろんでいたわけです。
posted by そらパパ at 20:57| Comment(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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