上棟というのは簡単にいうと、家の柱と梁、さらには屋根を建てあげ、家の骨組みを一気に組み上げてしまうというイベントになります。
上棟の前の日には基礎の上に土台が載った程度で、目線より下の部分しかなかった家が、たった1日で家の形の骨組みすべてのみならず屋根までできあがってしまうので、初めて経験するとちょっとびっくりします。
私も知識としてはわかっていましたが、実際に見てみて、そのスピードの速さにはやはり驚きました。
木造の在来工法の場合、最初に柱や屋根などの骨組みを作り、そこから床や外壁をあとで張っていく順序で家造りが進んでいきます。
「上棟」の日に、土台しかないところから一気に屋根まで組み上げてしまいますから、その後雨が降っても、室内にあたる部分がほとんど濡れないで済みます(雨の日は外壁部分にブルーシートを巻きます)ので、雨の多い日本ではこれが大きなメリットになります。
これがツーバイフォー工法になると、1階の床、1階の壁、2階の床、2階の壁、屋根という風に下から順に積み上げていく工法となるため、床はできているけど屋根はまだ、という時期がけっこう長く続きます。そしてこのタイミングで雨が降ると、床が水浸しになってしまうという問題があります。
そんなわけで上棟の日です。
ビルダーに聞くと、上棟が終わったあとちょっとした宴会みたいなのを現場でやる「上棟式」というのは、首都圏では最近はあまりはやらないのだそうです。大工さんも人手不足で忙しいということもあって、彼らも余計なことをやってないでさっさと作業を終えて休んで次の現場に行きたい、というのが本音のようです。
ですので、我が家も上棟式は省略しました。
ただ、職人さんへのチップと、簡単な飲み物などは用意して、作業を始める前の朝いちに、施主として挨拶はすることにしました。
実際には縄が張られる程度でほとんど何も起こらない「地鎮祭」とは違い、実際に家が「建つ」上棟では、妻の実家の両親を含む家族全員が見に来ることになりましたが、やはり長女は何もない現場に長くいられないと思われました。
そこで、ずっと現場にいるのは私一人にして、妻と妻の両親が自宅で交互に長女の面倒をみて、手が空いたほうが現場に上棟を見に来る、というやり方をとることにしました。
上棟当日は朝から大きなクレーンが入り、家の柱や梁、各階の床材・屋根の野地板を持ち上げたりと大活躍でした。
そして、朝早くから始まった上棟工事は、午後の比較的早い時間にはすでに2階まで組み上がり、そこから夕方にかけて屋根の野地板を張る作業を中心に進められました。
そして、日が傾き辺りが暗くなる前にその作業も終わり、夕方5時ごろまでに予定されていたすべての上棟工事が無事終わりました。
屋根まで組み上がった「新しい家」は、基礎だけだった昨日までとはうってかわって大きく広く見え、完成後の新しい生活への期待が膨らんできました。