2016年06月27日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(74)

さて、家を設計するにあたって、間取り面でこだわったポイントについて書いています。

7)階段下スペースを使った広い玄関

これはよくある設計の工夫ですが、階段の下にはけっこう大きなスペースができますので、これをどう活用するかということを考えました。

そして最終的にたどりついたのが、「玄関の土間スペースとして活用する」というアイデアでした。

それまでの経験からも、我が家の場合、玄関に広めのスペースが取れるのが望ましいということが分かっていました。
娘を外出させるとき、個室に連れて行って着替えさせて荷物を持たせて…という流れを作るのは容易ではなく、「出かける」→「まっしぐらに玄関に向かう」→「玄関で外出準備もろもろを整える」という一本道のルートみたいなものができてしまうので、かなり多くの「外出タスク」を玄関でこなさなければなりません。
そのために、玄関には娘の外出用のジャンパーとかかばんといったモノがたくさん並ぶことになります。
同時に、下の娘のこれからを考えると、ベビーカーや三輪車といった乗り物も、玄関に収納しなければならないことが予想されるわけです。

とはいえ、あまり玄関に広いスペースをとってしまえば、当然に他の部屋が狭くなります

このトレードオフを解決するために思いついたのが、

階段下のスペースで玄関を広げる。

という設計でした。

階段下のスペースは、だいたい1〜1.5畳くらいは取れるのでそれなりの広さがあるわけですが、当然「階段下」なので天井は低く、形も(空間的に)三角形になります。
物置スペースとしてはこの天井の高さがけっこうネックとなり、意外と使いにくくなるものです。

ところが、これを「玄関」に持ってくると、かなり様相が違ってきます。
その最大の理由は「土間の高さ」にあります
玄関の土間は、玄関よりも20〜30cmくらい下にあります。つまり、1階のフロアレベルよりも土間のほうがかなり低いわけです。
そして、階段というのは1階のフロアレベルから始まります。
ですから、階段を玄関の土間の上にもってくると、それだけで「階段下スペース」は20〜30cm分高さを余計に稼げるわけです。

我が家の玄関は、この工夫によって、玄関の「通常部分」として2畳、さらに階段下の天井が低い部分として1.5畳を確保して、合計3.5畳というかなりの広さをとることができました
階段下部分には、ハンガーを付けてヘルメットやレインコートを掛けたり、ベビーカーや三輪車を置いたりしています。土間をあがったたたき部分に、上の子のかばんやジャンパーをかけるポールハンガーを置いています。
そういった物を置いても、玄関の「通常の土間部分」はすっきりしたままなので、見た目的にもかなり広々とした印象になりました。
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2016年06月20日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(73)

療育的視点からこだわった家づくりのポイント、次はこちらです。

6)2台以上駐車可能な駐車スペース

これはもう言うまでもありませんが、療育的サポートが必要な娘と暮らしていくためにはマイカーは欠かせません(1台)。さらに、妻の実家の家族にサポートしてもらったり、何らかの支援サービスで家に来てもらったりするときに、その車を停めるスペースも必要です(もう1台)。

ですから、新しい家には、絶対に駐車スペースを2台分は最低確保しようと考えていました。

広い駐車スペースを確保するための基本は、建物を敷地の境界にできるだけ寄せて、駐車スペース以外の敷地部分のスペース効率を最大化させるような間取り+配置にすることです。
そのうえで、門塀とか玄関前の庭といった余分な設備をできるだけ作らずに、「何もない、ただの広い空間」を確保することがポイントになります。
そういう風に駐車スペースを作っておけば、例えば軽自動車のような小さい車なら1台分のスペースに無理すれば2台止められたり、逆にマイクロバスみたいな大きな車がきたとしても何とか押し込めたりと、駐車スペースの自由度が広がるのです。
門塀を作らない代わりに、我が家では引っ越す前の家でも使っていた「移動式ポール」に、鉄製っぽく見える濃い銀色のプラスチックチェーンをかけて、道路と駐車スペース(敷地)を仕切っています


↑こういうやつですね。

今回、最終的には、余裕をもった普通車2台分の駐車スペースが確保できましたし、さらに駐車スペースと連続した「駐輪スペース」から自転車を移動させれば、駐輪スペースに軽自動車や小型車が止められるようになったので、駐車スペースを「通常2台、最大3台」分、確保することができました
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2016年06月13日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(72)

さて、家づくりのなかでの療育的視点からのこだわり、次のポイントはこれです。

5)道路から距離をおいた玄関アプローチ

室内から玄関を通って外に出たときに、そこから車が往来するような道路までのアプローチをどうするのか、という、安全の観点からのポイントになります。

いわゆる都心の3階建ての狭小住宅などの場合、1階はピロティ構造にした駐車場と玄関のみみたいな感じになって、その玄関のすぐ前が道路になってしまうことがしばしばです。
これに対し、低層地域の住宅の場合、玄関の前は平置きの駐車スペースになることが多く、道路まではそのぶん距離が取れることが多いです。
引っ越す前の家は、ちょうどそんな感じでした。

でもこれでも、玄関を出てそのまま同じ方向に数m走っただけで道路に出てしまうんですね。
門をつけるという対応法もありますが、そうなると今度は自転車で出入りしたりするのが面倒になってしまったりします。

ですので、今回の家では、道路に対してかなり奥まったところに玄関を横向きに設置し、

・道路(敷地境界)から玄関までの距離を長めにとる。

ことに加えて、

・玄関を出て、90度折れた向きにアプローチを設定する。

という工夫を加えることで、ただ玄関を出て前に走り出しただけでは道路に出られない(玄関を出て、身体の向きを変えて、さらにしばらく走ってようやく道路に出る)ように玄関アプローチを設定したわけです。

さらに加えて言えば、今回買った土地の場合、そうやって「飛び出した」先の道路は「行き止まり」になっていて、周辺の数件の家の車以外は通らない、非常に安全な道路になっています。(実際、住んだあとは、周辺の家の子どもが道路に落書きをしたり三輪車を放置したりして遊んでいるくらいです)
posted by そらパパ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年06月06日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(71)

さて、注文住宅を選んだ(というか、諸事情により選ばざるを得なくなった)ことで間取りを自由に設計できるようになり、さらにその間取りをメーカー任せにせず自分たちで細かいところまで決めて、療育的視点もいろいろ取り入れていくことになったわけですが、そんななかでの「こだわり」の4つめがこちらです。

4)標準よりもぐっと広いバスルーム

まあこれはそんなに難しい話ではないです。
住宅のバスルームというのはいまはほとんど全てが既製品(ユニットとして完成しているものをはめこむだけ)になっていますが、そんななかで「標準的な広さ」というのは、大体1坪タイプです。
タテヨコがそれぞれ1.8mで、半分が浴槽、半分が洗い場という形ですね。コンパクトマンションや狭小住宅ではこれより狭いタイプが採用されることもありますが、一般的な注文住宅のプランではだいたいこの1坪タイプが主流です。

これに対し、我が家は浴室を広げて「1.25坪タイプ」にすることにこだわりました。
1.25坪の場合、浴槽は1坪タイプと同じ大きさで、洗い場が1.5倍の広さになります。

この広さにしたかった理由は、言うまでもなく、娘との入浴をやりやすくするためです。
1坪タイプの浴室の洗い場では、大人1人と子ども1人が同時に洗うというのが無理なく使える限界で、大人2人とか、大人1人と子ども2人が同時に体を洗おうとすると、かなり狭くなります。
我が家の場合、上の娘が入浴するときには必ず妻と一緒になります(もう娘もいい歳なので、ここは女性である妻の仕事です)。さらに下の娘も生まれたので、特に平日などは、3人が同時に入浴するシチュエーションが想定されます。
それを考えたとき、やはり浴室は1.25坪をぜひ確保したいと考えました。

1.25坪の浴室というのは標準プランを外れるので追加費用が発生します。
ここで、1.25坪の浴室というプランをまったく想定していないハウスメーカーや工務店の場合、1.25坪のプランのコストをショールームなどでゼロから全額見積もったうえで、オリジナルのプランに含まれている浴室費用(まとめて発注することでかなり安くなっていることが多い)を差し引いた額を全部上乗せされてしまうので、ものすごく高額(50〜100万円)になることがあるのですが、今回選んだハウスメーカーの場合は「オプションプラン」として最初から1.25坪浴室の設定があり、それを選んでも25万円程度の上乗せで済みました。これはありがたかったですね。

また、浴室については、最終的な設計においてものすごく強引なことを2つ行なって、なんとか設計をまとめた経緯があるのですが、それについてはあとで書きたいと思います。
posted by そらパパ at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
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