とはいえ、これで話が頓挫した、というわけではありません。
分割融資やつなぎ融資(場合によっては系列ノンバンク経由になる場合もあるようですが)のできる銀行もあることはわかっていますし、ローンの審査についても、万一通らなかった場合には建物の契約を白紙撤回できる「ローン条項」というのが、建築請負契約にもついているのが一般的なので。
A社のモデルハウスに着き、契約手続き前の雑談のときに、相手方にこの話をしました。
「実は住宅ローンが最終一括融資オンリーだということが分かり、分割融資前提のAさんとは組み合わせられないということになったので、キャンセルの連絡を入れたところです。これから融資先を探し直すことになるので、ちょっと大変なんですが」
すると、A社から新たな提案がありました。
「そういう事情なら、こちらで社内と銀行とで調整して、支払いを最終一括とすることはできる。つなぎ融資も不要とできるかもしれないが、この部分については当社提携のつなぎ融資の利用もありうることは承諾してほしい」
これは、いいお話です。
改めていまからローン申込をするリスクを考えれば、間違いなくその提案に乗ったほうがいいだろう、ということで、その場で銀行に電話を入れ、ローンのキャンセルを撤回し、同じ銀行で建物のローンを組む(方向で今後、銀行、A社、私の3者間で調整する)ということになりました。
時間的にももう8時前でしたが、幸いローンの担当者と電話がつながったので、話を整理することができました。新しいローンの調整を始めてくれていた不動産業者にも連絡を入れました。
これで、ローンの心配がほぼなくなったので、安心して建築請負契約に進むことができます。
契約書については、本当は事前にもらっておいて読むつもりでしたが、前回訪問したときにその話をするのをうっかり忘れてしまっていたので、その場で慌てて読み込むことになりました。
といっても、業界統一の標準契約書が使われているということも確認し、個人的に一番気になっていた建築中の建物損害についての賠償責任の条項が特段不利に書かれていないことが確認できたので、契約の読み込みには10分も時間をかけず、契約締結に進みました。