2016年03月28日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(61)

さて、こんな風に、家づくりのパートナーが徐々に絞り込まれていき、とうとうローコストハウスメーカーAと、激安工務店Iの一騎打ちというところまできました。

ここまできたのが、だいたい2月の頭くらいです。
土地が概ね決まった12月頃からパートナーを探し始めていましたので、ここまでが大体2か月といったところになります。

そしてこの時点で、IとAの見積もりの価格差は、300〜400万円くらいありました。「当初考えていた建物予算」に対してでいえば、Iは予算内、Aはやや予算オーバーといったところでした。
また、Iは格安工務店でありながら企画提案力はなかなかで、こちらの要望すべてに応え、かつ新しいアイデアを盛り込んだ間取りプランを、すべての工務店のなかで唯一提案してくれていました。

ただ、スペック的にはIとAとでは圧倒的な格差がありました。
Iは、グラスウールを並べるだけの伝統的な内断熱で、「木材の呼吸を妨げたくない」という理由で、吹付け断熱材も嫌がっていました。いちど、実際に建った家をオープンハウスで見に行ったのですが、日陰は寒く日の当たっている部屋は暑いという、断熱性能的には典型的な「建売クオリティの家」でした。
また、外壁も最低グレードのサイディングの釘打ち施工、柱はかなり細い杉材で、強度的にもかなり不安がありました。土台も檜でなく、檜にするとかなりの追加コストが発生するという、あらゆる面でスペックダウンがはっきり伺える仕様です。
今回、広いグルニエを作ることで、事実上3階建てに近い重量バランスの家になることを考えると、柱が華奢というのはかなりのマイナスポイントでした。
また、長期優良住宅+耐震性能3には微妙に届かないかもしれない、ということも言われていました。

一方、Aのスペックはこれとは一線を画した魅力的なものでした。
定評があり、厚みも十分にある部材を使った外断熱に、内側からも断熱材を吹き付けるダブル断熱に、熱交換方式の24時間換気まで導入され、高気密・高断熱となっているほか、外壁も量産クラス上位グレードのサイディングの金具止め施工、土台は当然に檜を使い、柱は(メリデメありますが)強度的には非常に強いと言われる4寸集成材、さらに面構造で耐震性も強化され、プランそのものが最初から「長期優良住宅+耐震性能3」を前提としていました

そして、見た目の印象も明らかに違うんですね。
オープンハウスで見たIの家は、外観も内装も、やっぱりかなりコストダウンして建てたことを感じるチープさがありました。
そして、ちょっといいな、と思う部分はほとんどが「施主がこだわって標準仕様からグレードアップした部分」だったのです。
そしてそのグレードアップコストだけで、数百万以上かかっていることも教えてもらいました。
一方、Aのモデルハウスは、住宅展示場に並ぶ、値段が全然違う大手ハウスメーカーの家と比べるとやや単調で工業製品的には見えたものの、あくまで趣味的な違いで、品質的に劣る印象は受けない立派なものでした。そして営業マンに確認すると「あえて標準仕様で建てています。室内の装飾や一部設備にはオプションが使われていますが、外壁や基本設備はすべて標準仕様の範囲内です」とのこと。

これらを総合的に判断すると、結論は明らかでした。

「A社でいこう」
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2016年03月21日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(60)

さて、ここまでで、家づくりのパートナー候補、5業者が出揃いました。
出てきた見積もり金額が安かった順に並べてみると、

工務店I:とにかく安さが売りの工務店。それでいて事務所に設計士もいるので間取りの提案力はなかなか。建物のスペックは建売並み。
ハウスメーカーA:格安のハウスメーカー。外断熱・フルスペックのオール電化住宅がかなり安く建てられそう。
工務店H:基礎の仕様がユニークで、基礎床断熱が標準装備なのが魅力の業者。それ以外のスペックは建売並み。
工務店Y:工務店のなかでは唯一外断熱仕様で比較的スペックが高く、設備等の仕様もそれなり高めなのが魅力の業者。
工務店B:設計事務所に近い態勢で、提案された間取りプランは最も本格的でこだわりも感じる。その分、スペックに対するコスト見積もりはやや割高。

ここからの絞り込みの過程で、まず工務店Hが消えました。
当初、かなり安価な見積もりが出てきていたのですが、よくよく見るとスペックがかなり落としてあることに気づき、その点を指摘して希望するスペックに引き上げてもらったところ、数百万円レベルで見積もり金額が上がってしまいました
さらに、ここは建築確認をとったり本格的な設計をする際には設計士が外注のようで、こちらから「長期優良住宅にしたい」と告げたところ設計料を別途50万円ほど乗せてきたので、この調子ではどこまで最終コストが跳ね上がるか分からない、という不信感が出てきてお断りすることにしました。

続いて消えたのが工務店Bでした。
ここは、渡り廊下があったり、子ども部屋がリビングから見える(ちょっとモデルハウス的な)吹き抜けがあったりといった、非常にユニークな間取りプランが出てきて面白かったのですが、やはりこちらのこだわる条件を入れていくと、コストがどんどん上がっていって、予算の範囲をかなり超えてしまったので、お断りせざるを得なくなりました。また、コストダウンのために全体的なスペックが落としてあったため、長期優良住宅+耐震等級3は必ずしも取れないかもしれない、と言われたことも大きかったです。

そして、工務店Yも消えました。
もともと、Yについては工務店だけを候補に考えていたときに、唯一、予算内のリーズナブルなコストで外断熱を提案できた業者だったので残っていたのですが、同じく外断熱のハウスメーカーAの見積もりをもらい、AのほうがYよりもスペックが上で見積もりが安いことが分かったので、Yを選ぶ理由がなくなってしまったのです。
また、Yは外断熱ではあるものの、断熱材が異様に薄く、計算上は建売レベルの内断熱よりも断熱性能が劣る恐れがあっただけでなく、外断熱といいながら、屋根については屋根裏に断熱材を吹き込む「内断熱」になっていたりと、中途半端な仕様になっていることもネガティブポイントでした。
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2016年03月15日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(59)

いくらローコスト系ハウスメーカーとはいえ、工務店のなかでも特にコストの安いところを厳選して絞り込んだ4業者と比べても、むしろ安い水準の見積もりを出してきたA社に、私も最初は半信半疑でした。

そこで、見積もりに漏れていると思われる項目をいろいろあげてみて、それでコストがどのくらい増えるかを聞いてみたのですが、いろいろ突っ込んでいってもそれほどコストは上がっていかず、結局最後まで、「安い方から2番目」というポジションは変わりませんでした

それでいて、建物のスペック的に、妥協しなければならないポイントがほとんど見つからなかったのです。

まず、外断熱であること
さらに、建物の内側からも断熱材を吹き付ける内外両断熱になっていること。
そして、高気密住宅でQ値の計算・C値(気密度)の測定までしてくれること。24時間換気もアクティブ方式の熱交換型の本格的なものが導入されていること。
柱も土台もすべて4寸角を使用し、土台は檜であること。
面構造を取り入れて剛性を高めていること。
長期優良住宅、耐震等級3の取得ができること。
外壁のサイディングが釘打ちではなく金物止めであること。

実は、これらをすべて満たしている工務店は、4業者のなかで一つもなかったのです。

しかも、ハウスメーカーにありがちな、決まった間取りの中から選ばなければならないという不自由な設計ではなく、ゼロから自由に間取りがプランできる(そういう意味ではハウスメーカーというより工務店に近い)、「完全自由設計」であったことも大きな魅力でした。

唯一気になったのは、オール電化住宅であることでした。
もともと新しい家をオール電化にするつもりはなく、A社での見積もりも、電気・ガス併用仕様に変更するように依頼したのですが、その変更をすると費用が一気に50万円以上跳ね上がることが分かったため、割り切って、「A社を選ぶならオール電化にしよう」と考えることにしました。

これで、家づくりのパートナー候補はすべて出揃いました。
ここから、追い込みをかけて候補の絞り込みを行なっていくことになります。
posted by そらパパ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年03月07日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(58)

さて、そんなわけで、既に残っているローコスト系工務店4社に加えて、「5社め」の候補にできるかどうかという視点で、家づくりパートナー選びの終盤の休日、ローコスト系ハウスメーカーの「A社」のモデルハウスのある最寄りの住宅展示場に足を運びました。
その住宅展示場は、自宅から5kmあまり、自転車でも車でも20分くらい(自動車だと渋滞する幹線道路を通るため)のところにありました。

あくまでも情報収集のつもりでの訪問だったので、特に予約などは取らずにいきました。
モデルハウスに入ると、事務の担当らしき女性が出てきて話しかけてきました。私が、いま家を建てようと思っているんだけど、今日は参考のために来ただけなので特に予約などはとっていない、という話をしたところ、入れ替わりにやや年配の営業の男性が出てきて、モデルハウスの中を案内してくれることになりました。

モデルハウスは、外装も内装も決して豪華ではないけれど、スペック重視の質実剛健なつくりで、私の好みに合っているものでした。
ひととおりすべての部屋をみたところで、リビングルームのテーブルに案内され、営業マンから「プランの提案をしたいので話を聞かせてください」という流れになりました。
「まだこちらでお願いすると決めているわけでもないですし、前金とかをお支払いして、といったこともまだ考えていませんけど、それでもいいですか?」と聞いたところ、それでもいいという話だったので、用意してきていた土地の図面、間取りの希望条件、そして私自身が作成した最新の間取り案を見せ、簡単に見積もりを作ってもらうことになりました。

ここで営業マンに加えてモデルハウス駐在の設計士の人も出てきて、私が作成した間取りがどの程度実現可能か、建築規制面と構造面からアドバイスをもらいました。(概ね、作成した間取りどおりで家は建ちそう、という話になりました。)

そして、営業マンが作成した粗見積もり(土地面積、建物面積、主要な追加スペック要素等を加味した大雑把なもの)を見て、驚きました。

本格的な外断熱で梁にもかなり太い檜材を採用するなど、ローコスト系工務店の家よりも明らかにスペック的に上になっているにもかかわらず、出てきた見積もりは、ローコスト系工務店と比較しても、安い方から2番目だったからです。
posted by そらパパ at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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