2016年02月29日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(57)

家づくりのパートナー候補として、ローコスト系工務店4業者に絞り込まれた時点で(つまり、パートナー選びとしてはかなり終盤の段階で)、ちょっと気まぐれにハウスメーカー(全国の住宅展示場にモデルハウスを建てて営業をしているタイプの住宅建築業者)のことを調べてみたところ、意外な事実に気づきました。
それは、

ハウスメーカーのなかにも「ローコスト系ハウスメーカー」というのがある。

ということでした。

だいたい、全国の住宅展示場にモデルハウスを建てて営業しているハウスメーカーというと、テレビ広告をやっているような大手ばかりで、どのメーカーもローコスト系工務店の1.5倍とか2倍くらいの坪単価、というイメージが強かったのですが、実際に調べてみると、必ずしもそういう業者ばかりではなく、実はローコスト系工務店と変わらないくらいの価格帯で勝負しているハウスメーカーもいくつかあることに気づいたのです。

しかも、建物のスペック的にも、断熱仕様や外壁の材質などでそれなりに妥協が必要なローコスト系工務店と比較すると、それらローコスト系ハウスメーカーのほうが優っている部分が多く、ここへきて俄然ハウスメーカーが有力な家づくりパートナー候補として浮上してきました。

そこで、さっそくそれらローコスト系ハウスメーカーのなかから3社ほどを選び、資料請求をかけることにしました。
そして、届いたパンフレット、ネットでの評判、坪単価、最寄りの住宅展示場の近さなどを総合的に考慮して、そのなかから「A社」1社に絞り込み、直近の休日に住宅展示場を見に行くことにしたのです。
ちなみに、この時点でもやはり「本命」は工務店だと思っていたので(ネットで出ている坪単価が安くても、実際に見積もりをとってみるといろいろな追加コストが乗って全然安くならないパターンが多く、たぶんハウスメーカーの場合もそうなのではないかと思っていたため)、あくまでA社については「参考までにハウスメーカーも最低1社は見ておこう」といった気持ちが強く、もしもこのA社がいまいちだったら、もう他のハウスメーカーを検討することはせず、この時点で残っていた工務店4社のなかから最終パートナーを選ぶつもりでした。
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2016年02月22日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(56)

このような形でパートナー探しを続け、最終選考の少し手前くらいの段階で残っていた業者は、以下の4つでした。

業者H
 カウンターで紹介された業者。ユニークな基礎構造をもち、基礎を使った床暖房が標準装備。それ以外のスペックは建売同等。

業者Y
 カウンターで紹介された業者。外断熱で面構造を採用するなど、建売より高スペックになっているにもかかわらず、坪単価が割安なのが魅力の業者。

業者I
 飛び込みで話を聞いた近所の業者。建材に集成材ではなく国産杉を使うという変わった建材チョイスと、パワービルダーより安いくらいの超低コストが売りの業者。スペックは建売同等。

業者B
 飛び込みで話を聞いた近所の業者。代表が一級建築士の小さな工務店で、限りなく設計事務所に近いにも関わらず、ローコスト工務店のコストで建てられるのが魅力。プラン的にも自由度が高く、ここからは面白いものがいろいろ出てきました。

この段階で工務店のなかでの候補探しはだいたい終了、最後に「いちおう他のカテゴリの業者も1つずつくらいは見ておくことにしよう」と思い、

・建築設計事務所
・住宅展示場(ハウスメーカー)


についても、それぞれ1業者だけは見ることにしました。

最初に、自転車でいける距離にあった近所の設計事務所(ここはHPで安い家も建てますとアピールしていたので)で話を聞きました。
結果的に、やはりコスト的にはローコスト工務店の1.5倍くらいかかるのは避けられないことが分かったので、家づくりを依頼することは断念しました(間取りプランを作ってもらう時点で費用が発生するので、結果的に雑談のみ)が、他のビルダーでプランがまとまったときに「セカンドオピニオン」をもらうことで話がまとまりました。

そして最後に、ハウスメーカーです。
どうせハウスメーカーを見るなら、多少なりとも契約する可能性のあるところを見よう、ということで、ハウスメーカーのなかで坪単価の安いところはどこだろうという視点でネットで調べてみることにしました。

その結果、予想外のことが分かったのです。
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2016年02月15日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(55)

家づくりのパートナー探しで、不動産業者の紹介、ネットでの資料請求の次に利用したのは、某大手住宅情報誌が運営している、住まいの相談カウンターでした。

これは、無料で利用できるサービスで、カウンターに行って希望する条件を伝えると、その条件に合致した工務店を紹介してくれて、かつその業者との顔合わせ・初期の打ち合わせをそのカウンターで行なうことができる、という、なかなか便利なサービスです。

自宅から電車を使って30分くらいのところに最寄りのカウンターがあったので、そこに行って相談して、ローコスト系の工務店を5業者ほど紹介してもらいました。
そして各業者とのアポもカウンターのほうで調整してもらって、その翌週くらいに顔合わせをすることになりました。
土地の図面や希望条件などは最初にカウンターに行ったときに渡してあり、それをカウンターのほうで各業者に転送してもらっていたので、最初の顔合わせの時点ではすでにそれぞれの業者が具体的な提案を持ってきてくれていました。
しかも、同じカウンターで時間をずらして順に話を聞くことができるようにアポが調整されていたので(1業者あたりの時間は30分に制限されていますが)、移動することなく1日でまとめて全業者の話を聞けたので、助かりました。

実際、ここで紹介された工務店のうち、2業者が「最終選考」まで残りました。(カウンターで打ち合わせをするのは最初の2回くらいまでで、それ以降は個別の打ち合わせに移行します)

それ以外に、自宅の近所にいくつか希望に近そうが業者があったので、それらについては一部は事前にアポをとり、一部はいきなり飛び込みに近い形で事務所に伺って、話を聞いてもらいました。
この形で会ったのは、工務店が3業者、あと建築事務所が一か所でした。
そして、工務店については実際に見積もりを取ったら最初の話と違って異常に高かった1業者を除き2業者が「最終選考」に残り、建築事務所については家づくりそのものはコスト高のため依頼できませんでしたが、「セカンドオピニオン」をもらうことになりました(この部分については、後で改めて書きたいと思います)。

さらに、土地を買った不動産業者のほうで、土地の契約後に改めて紹介してくれた工務店が3つほどあり、そこからも具体的な提案ももらったりしていたのですが、結局そちらについてはコストが合わなかったり、なぜかアポをすっぽかされたりして縁がなく、最終選考に残った業者はありませんでした。
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2016年02月08日

セカンドハウスを手放しました。

以前、当ブログにてシリーズ記事として連載させていただき、比較的反響の大きかった話題として、娘の療育を目的としてセカンドハウスを購入した、というものがありました。

自閉症児をもつ家族のためのセカンドハウス 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21



具体的には、初めての場所ではパニックを起こしやすい娘とでも安心して遠出ができ、外泊などの練習ができるよう(そして、家族の側も少しでも気分転換ができるよう)、観光地エリアにある、いわゆる「リゾートマンション」の一室をセカンドハウスとして購入し、週末に遠出して外泊するなどして活用してきました。

そのマンションの部屋を、今回、売却しました。
2006年の年末に購入し、2016年の2月で手放したので、ざっと9年強の期間、保有してきたことになります。

今回、セカンドハウスを手放すことにした最大の理由は、「当初の目的を果たすことができたから」ということになります。
セカンドハウス購入の目的は、娘の「慣れない新しい場所でうまく過ごせない」という問題、そしてそこから派生する「家族が新しい場所に安心して外出するのが難しくなる」という問題に対処するためでした。
その後年月がたち、娘は外泊にもすっかり慣れ、新しい場所でも落ち着いて過ごすことができるようになり、学校その他で企画される外泊や旅行の企画でもパニックすることなく楽しんでこれるようになりました。
また、「(娘が)外出しないときの余暇の過ごし方」というもう1つのテーマについては、タブレットを活用した音楽鑑賞ができるようになったことに加え、「特になにもせず、のんびり過ごす」こともできるようになったので、こちらも大きく改善しました。
一方で、セカンドハウスは維持しているだけで相応のコストが発生するため、徐々に「コストをかけてセカンドハウスを維持すること」よりも「そのコストをカットし、別の旅行などに回すこと」のほうがメリットがある状態に移行していったわけです。

家族で話し合って売却を決め、リゾートマンション専門の不動産仲介業者に依頼して、セカンドハウスを売りに出しました。
これが、昨年12月の中旬ごろのことになります。
その後、業者に対して数件の問い合わせがあり、その中の一人の方から正式に購入の申込みがあり、先日、正式に売買契約ならびに物件の引き渡しを完了させました。

以前も書きましたが、リゾート物件というのは非常に流動性の悪い不動産で、売りに出しても何年も売れ残ってしまうのが当たり前の世界なのですが、今回は年末年始をはさみ、かつ売れにくいオフシーズンである真冬に売り出したにも関わらず1か月ちょっとで売れたということで、やはり「売れる物件を最初から選ぶ」ということがいかに大切かを改めて実感しました。

ちなみに、そんな「売りやすい物件」だった、我が家がもっていたセカンドハウスとは、具体的には、富士五湖河口湖エリアにある「プロティオン河口湖でした。
もう築24年になりますが、市街地に隣接した利便性の高い場所にあり、物件のすぐ隣にホームセンター、徒歩圏にスーパー、コンビニ、ドラッグストアがあり、富士急ハイランドまで徒歩6分、居住者のうち定住者が3割以上、大浴場や室内プールもいまだにキレイな状態で稼働中で、管理組合も機能していて大規模修繕もちゃんと実施されているという、ベストに近いコンディションで管理されている素晴らしいマンションでした。
山中湖エリアも含む富士五湖エリアではナンバーワンの物件だと確信していますし、他に私が見た熱海・伊東エリア、箱根エリア、石和エリアなどを含めてもこの物件以上のものは私は見つけられなかったので、これからセカンドハウスを検討される方にはかなり自信をもっておすすめできると思っています。

もう一点参考情報として、この9年間、セカンドハウスを利用することでかかったコストを概算してみました。

1.購入と売却:285万円
 購入額と売却額の差(売却差損):130万円
 購入時のコスト:80万円(仲介手数料、ローン諸費用、登記費用、不動産取得税、火災保険など)
 寝具・家電・家具など:15万円
 ローン金利・繰上返済手数料:30万円
 売却時のコスト:30万円(仲介手数料、登記費用、ゴミ処分費等)

2.維持費:470.5万円(年52万円)
 管理費・修繕積立金:年32万円×9年=288万円
 電気・下水道代:年5万円×9年=45万円
 (オール電化なのでガス代なし、井戸水だったので水道代なし)
 固定資産税:年7万円×9年=63万円
 住民税:年5000円×9年=4.5万円
 (住んでいなくても物件を持っているだけで課税されるのです)
 リフォーム費用:70万円(トイレ便座交換、エアコン交換、照明交換、壁紙交換、24時間換気導入を行なっています)

3.総合計:755.5万円(1年あたり:約84万円)

うーん、やっぱりお金はかかってますね(^^;)。

ホテルとかに泊まるのと比べて「元をとる」のは無理だと最初からわかっていました。実際月あたりに換算して7万円ですから、毎月1泊旅行に行くのをかなり上回るコストがかかった計算になります。もちろんこれ以外にガソリン代・高速代・観光費用などもかかっています。

でも、それを分かったうえで考えるなら、我が家にとっては意味のある「投資」だったと思っています。
この9年間、当初1〜2年は毎週のように、そしてその後も安定して月に2回程度はこのセカンドハウスを利用し、富士五湖エリアのさまざまな観光資源を思う存分楽しむことができました。
夏のブルーベリー狩りや富士急ハイランドでの「グレートザブーン」、冬のそり遊びや冬花火、樹海ハイキングや洞窟巡りなど、娘のお気に入りのアクティビティもたくさんできました。
そして泊まるたびにマンションの大浴場を利用していたことで、他の旅館での大浴場も平気になりましたし、昼や夜にサービスエリアやレストランで外食するのも大好きになり、落ち着いていられるようになりました。
こういった経験をたくさん重ねることができ、娘は新しい場所への抵抗がなくなり、セカンドハウス以外の旅行も楽しめるようになり、また家族と離れた学校等での外泊イベントでも落ち着いて過ごせるようになりました。
もちろん、そうやって娘が安定し、旅行を楽しめるようになったことで、娘以外の家族も大いに助けられたことも言うまでもありません。
また、富士山が大好きだった、関西に住む私の実家の両親もこのセカンドハウスを非常に気に入って、毎年のように2度、3度と遠路はるばるやってきては、1週間単位で利用して富士山観光を楽しんでいました。盆正月に実家に帰ると、セカンドハウスを使った富士五湖・箱根観光での楽しい経験を話してくれたりして、実家の両親に「リゾート滞在型」というちょっと贅沢な観光環境をプレゼントできたのは、ある意味想定外のメリットだったかなとも思っています。

そんな、楽しい思い出がいっぱい詰まったセカンドハウスを手放すと決めたとき、そして実際に買い手が見つかり売却の契約を結ぶとき、さすがに一抹の寂しさを禁じえませんでした。
でも逆に、手放すときにこんな気持ちになれるような物件と出会えたことを喜ぶべきだ、と思い直しました。

ともあれ、これで我が家の「セカンドハウスの物語」はようやく完結です。
以前のシリーズ記事でも書いたように、セカンドハウスというのは永遠に所有し続けられるものでもないので、いちど手に入れて、存分に利用して、そのうえでスムーズに手放すことができて初めて完結する、と当初から考えていたので、無事に迅速に手放すことができて本当に良かったと思います。

これからは、これまでセカンドハウス維持に使っていた費用を活用して、これまで以上にいろいろな場所に家族ででかけ、新しい体験を重ねていければ、と思っています。
さっそく、暖かくなったころにどこか行きたいですね。(^^)
posted by そらパパ at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年02月02日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(54)

前エントリでは、業者選びの大きな流れを書きましたが、今回はその流れのなかで、実際にどんな業者とのやりとりがあったかを書きたいと思います。

最初に提案をもらったのは、まだ土地購入の契約をする前に、不動産業者が参考プランとして手配してくれた建売系のパワービルダーの提案でした。
この提案はあくまでもパワービルダーのおまけサービスみたいなもので(こちらから正式に依頼したものですらないので)、間取りとかも「4LDKで広いグルニエあり」程度の非常に大雑把な希望しか伝えていなかったので、出てきた提案もあまりこちらの希望にマッチしたものではありませんでしたが、やはりコストはかなり安く、このとき出てきた提案を「家づくりにかかる費用の最低ライン」として参考にすることになりました。

ただ、このときも思ったことは、決まった建材を使うことなどでベースとなるプランを安くしている業者は、そこから外れたカスタマイズを行なうと、あっという間にどんどん割高になっていく、ということでした。
ですから、安く家を建てようと思った場合、ベースとなるプランが自分の希望に近いスペックを持っていることが、非常に重要になってきます。そうすれば、仮にベースプランの坪単価が多少高めであっても、カスタマイズする部分が少なくなり、結果的に最終コストを安く抑えることができるのです。

そして、次に利用したのが、ネットのポータルサイトからの資料請求です。
ローコスト系の業者を選んで、15社くらいに資料請求をしたのですが、実際に資料を送ってきたのはそのうち10社くらいだったと思います。
送られてきたパンフレットを吟味したのですが、ローコストをうたっている工務店で割と共通していたのが、3階建などの狭小住宅での実績をアピールしていたことです。
そういう住宅は延床面積が狭いので見かけ上の建築費が安くなっているのですが、今回建てようと思っている家はそれよりは面積が広くなるので、それをベースにコストを引き直してみると思った以上に割高になる業者が多く、かなりの業者がそれで「落選」しました。
一方、そういう見直しをしたとしてもコストの安い業者は、使っている建材や断熱材が建売と同等の貧弱なものであることが多く、だとしたらパワービルダーで建てたほうが安くなる、ということでこれまた「落選」ということになりました。
そんなわけで、ネットから資料請求した業者で、実際にプランニングをお願いするところまで進んだ業者は、実は1社もありませんでした
posted by そらパパ at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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