以前、当ブログにてシリーズ記事として連載させていただき、比較的反響の大きかった話題として、娘の療育を目的としてセカンドハウスを購入した、というものがありました。
自閉症児をもつ家族のためのセカンドハウス 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21具体的には、初めての場所ではパニックを起こしやすい娘とでも安心して遠出ができ、外泊などの練習ができるよう(そして、家族の側も少しでも気分転換ができるよう)、観光地エリアにある、いわゆる「リゾートマンション」の一室をセカンドハウスとして購入し、週末に遠出して外泊するなどして活用してきました。
そのマンションの部屋を、今回、売却しました。2006年の年末に購入し、2016年の2月で手放したので、ざっと9年強の期間、保有してきたことになります。
今回、セカンドハウスを手放すことにした最大の理由は、「
当初の目的を果たすことができたから」ということになります。
セカンドハウス購入の目的は、娘の「慣れない新しい場所でうまく過ごせない」という問題、そしてそこから派生する「家族が新しい場所に安心して外出するのが難しくなる」という問題に対処するためでした。
その後年月がたち、娘は外泊にもすっかり慣れ、新しい場所でも落ち着いて過ごすことができるようになり、学校その他で企画される外泊や旅行の企画でもパニックすることなく楽しんでこれるようになりました。
また、「(娘が)外出しないときの余暇の過ごし方」というもう1つのテーマについては、タブレットを活用した音楽鑑賞ができるようになったことに加え、「特になにもせず、のんびり過ごす」こともできるようになったので、こちらも大きく改善しました。
一方で、セカンドハウスは維持しているだけで相応のコストが発生するため、徐々に「コストをかけてセカンドハウスを維持すること」よりも「そのコストをカットし、別の旅行などに回すこと」のほうがメリットがある状態に移行していったわけです。
家族で話し合って売却を決め、リゾートマンション専門の不動産仲介業者に依頼して、セカンドハウスを売りに出しました。
これが、昨年12月の中旬ごろのことになります。
その後、業者に対して数件の問い合わせがあり、その中の一人の方から正式に購入の申込みがあり、先日、正式に売買契約ならびに物件の引き渡しを完了させました。
以前も書きましたが、リゾート物件というのは非常に流動性の悪い不動産で、売りに出しても何年も売れ残ってしまうのが当たり前の世界なのですが、今回は年末年始をはさみ、かつ売れにくいオフシーズンである真冬に売り出したにも関わらず1か月ちょっとで売れたということで、やはり「売れる物件を最初から選ぶ」ということがいかに大切かを改めて実感しました。
ちなみに、そんな「売りやすい物件」だった、我が家がもっていたセカンドハウスとは、具体的には、
富士五湖河口湖エリアにある「プロティオン河口湖」でした。
もう築24年になりますが、市街地に隣接した利便性の高い場所にあり、物件のすぐ隣にホームセンター、徒歩圏にスーパー、コンビニ、ドラッグストアがあり、富士急ハイランドまで徒歩6分、居住者のうち定住者が3割以上、大浴場や室内プールもいまだにキレイな状態で稼働中で、管理組合も機能していて大規模修繕もちゃんと実施されているという、ベストに近いコンディションで管理されている素晴らしいマンションでした。
山中湖エリアも含む富士五湖エリアではナンバーワンの物件だと確信していますし、他に私が見た熱海・伊東エリア、箱根エリア、石和エリアなどを含めてもこの物件以上のものは私は見つけられなかったので、これからセカンドハウスを検討される方にはかなり自信をもっておすすめできると思っています。
もう一点参考情報として、この9年間、セカンドハウスを利用することでかかったコストを概算してみました。
1.購入と売却:285万円 購入額と売却額の差(売却差損):130万円
購入時のコスト:80万円(仲介手数料、ローン諸費用、登記費用、不動産取得税、火災保険など)
寝具・家電・家具など:15万円
ローン金利・繰上返済手数料:30万円
売却時のコスト:30万円(仲介手数料、登記費用、ゴミ処分費等)
2.維持費:470.5万円(年52万円) 管理費・修繕積立金:年32万円×9年=288万円
電気・下水道代:年5万円×9年=45万円
(オール電化なのでガス代なし、井戸水だったので水道代なし)
固定資産税:年7万円×9年=63万円
住民税:年5000円×9年=4.5万円
(住んでいなくても物件を持っているだけで課税されるのです)
リフォーム費用:70万円(トイレ便座交換、エアコン交換、照明交換、壁紙交換、24時間換気導入を行なっています)
3.総合計:755.5万円(1年あたり:約84万円)うーん、やっぱりお金はかかってますね(^^;)。
ホテルとかに泊まるのと比べて「元をとる」のは無理だと最初からわかっていました。実際月あたりに換算して7万円ですから、毎月1泊旅行に行くのをかなり上回るコストがかかった計算になります。もちろんこれ以外にガソリン代・高速代・観光費用などもかかっています。
でも、それを分かったうえで考えるなら、我が家にとっては意味のある「投資」だったと思っています。
この9年間、当初1〜2年は毎週のように、そしてその後も安定して月に2回程度はこのセカンドハウスを利用し、富士五湖エリアのさまざまな観光資源を思う存分楽しむことができました。
夏のブルーベリー狩りや富士急ハイランドでの「グレートザブーン」、冬のそり遊びや冬花火、樹海ハイキングや洞窟巡りなど、娘のお気に入りのアクティビティもたくさんできました。
そして泊まるたびにマンションの大浴場を利用していたことで、他の旅館での大浴場も平気になりましたし、昼や夜にサービスエリアやレストランで外食するのも大好きになり、落ち着いていられるようになりました。
こういった経験をたくさん重ねることができ、娘は新しい場所への抵抗がなくなり、セカンドハウス以外の旅行も楽しめるようになり、また家族と離れた学校等での外泊イベントでも落ち着いて過ごせるようになりました。
もちろん、そうやって娘が安定し、旅行を楽しめるようになったことで、娘以外の家族も大いに助けられたことも言うまでもありません。
また、富士山が大好きだった、関西に住む私の実家の両親もこのセカンドハウスを非常に気に入って、毎年のように2度、3度と遠路はるばるやってきては、1週間単位で利用して富士山観光を楽しんでいました。盆正月に実家に帰ると、セカンドハウスを使った富士五湖・箱根観光での楽しい経験を話してくれたりして、実家の両親に「リゾート滞在型」というちょっと贅沢な観光環境をプレゼントできたのは、ある意味想定外のメリットだったかなとも思っています。
そんな、楽しい思い出がいっぱい詰まったセカンドハウスを手放すと決めたとき、そして実際に買い手が見つかり売却の契約を結ぶとき、さすがに一抹の寂しさを禁じえませんでした。
でも逆に、手放すときにこんな気持ちになれるような物件と出会えたことを喜ぶべきだ、と思い直しました。
ともあれ、これで我が家の「セカンドハウスの物語」はようやく完結です。
以前のシリーズ記事でも書いたように、セカンドハウスというのは永遠に所有し続けられるものでもないので、いちど手に入れて、存分に利用して、そのうえでスムーズに手放すことができて初めて完結する、と当初から考えていたので、無事に迅速に手放すことができて本当に良かったと思います。
これからは、これまでセカンドハウス維持に使っていた費用を活用して、これまで以上にいろいろな場所に家族ででかけ、新しい体験を重ねていければ、と思っています。
さっそく、暖かくなったころにどこか行きたいですね。(^^)