2015年11月30日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(45)

ネットで何百件という物件を検索し、その中から何十件という物件の現場に実際に足を運び、そこから4件の申込み(すべて土地)を行なうことになった今回の家探しですが、ようやく最初のステップで前に進めそうな状況になってきました。

今回も、申込みを決めてから、夜・朝の通勤時間帯・休日など、何度もシチュエーションを変えて現地に足を運び、時間帯によって環境が望ましくない方向に変わらないこと、通勤の負担が重くないことなどをチェックしました。

それと並行して、営業マンが価格と区画変更の交渉を続けてくれていましたが、結局、ある程度の値下げは実現したものの当初の希望には届かず、また区画変更は担当者はOKしてくれたものの売主の本社(今回売主は法人でした)がNGで実現しませんでした。
値下げが希望に届かなかった分については、営業マンからその分仲介手数料をカットするという提案が出てきたので実質的に希望値下げと同額となったため、その条件で契約に進むことを決めました。

これで、ようやく家造りの最初のステップとしての「土地」が決まったわけです…が、物件を買ったらほとんどプロセスが終わる建売と違って、土地からの家造りはむしろここからが本番といってもいいと思います。

実際、これまでエントリで書いてきた、家を探し始めてから土地の契約が成立するまでの期間は、長いように見えますが、実はわずか1か月半ほどにすぎません(その間、毎週土日を使って走り回っていたわけです)。
一方、それから実際に家が建って引き渡しを受けるまでには、1年以上の時間がかかりました

というわけで、今回のエントリの最初の大きなヤマである「土地探し」について、「療育」という視点をどんな風に盛り込んでいたのかを、改めてまとめておきます。

1)送迎も含めた、特別支援学校への通学の便がいいこと。
2)障害児向け学童保育が充実していること。
3)子どもの卒業後の生活拠点をしっかり確保できるよう、長く住み続けられること。
4)家の前がすぐに往来の激しい道路であるような危険のない立地であること。
5)安全な徒歩圏に、将来本人も利用できそうな商業施設や公共交通機関が充実していること。
6)トイレやお風呂について、介助を前提とした広いスペースが確保できる間取りが入れられる土地の広さがあること。
7)車の利用がどうしても多くなるので、家族用+支援サービスや実家用として、2台の駐車スペースが確保できる土地であること。

posted by そらパパ at 20:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年11月23日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(44)

さて、家探しで巡り巡っていろいろな物件を見て回って、結局最初に見て気に入った土地(と同じ分譲地)に戻ってきました。

この土地は、

・駅に近い。私の足だと徒歩5分。
・閑静な住宅地(低層住宅地域)。
・徒歩かつ大きな交差点を渡らずに大きなショッピング施設に行ける利便性。
・しっかりした分譲地でガス・水道等のインフラも整備済み。


といったメリットがあるのに対して、

・値段が割高。
・1区画あたりの面積がわずかに狭い。


というデメリットがあったのですが、この2つのデメリットについても、

・値段:当初よりはかなり値下げされたうえ、営業マンがさらなる値下げ交渉に積極的。
・面積:私の間取りスキルが上がったのでこの広さでも希望間取りが入りそう+営業マンが区画変更も交渉してくれると約束。


ということで、ほぼほぼ問題が解消できる見通しが立ちました。
一方のメリットのほうは申し分なく、たくさんの土地を回った経験からしても、これほど我が家の希望に見合った土地は簡単には見つからないことははっきりしていたので、今回の営業マンを通じて、この土地に改めて「申込み」を入れることに決めました。

申込みを入れるにあたって悩んだのは、どの区画を買おうか?ということでした。
候補は2区画あり、一方は南向き、もう一方は北向きです。ちょうど分譲地内の道路を挟んで向かい合わせの2区画で、面積もほぼ同じ、土地の形も長方形の一角が欠けたL字型で、道路を挟んで相似形のような形状でした。
もちろん、値段はかなり違います。南向きのほうが北向きよりも坪単価で5%以上高く、面積も南向きの方がわずかに広いこともあって、売値には数百万円の差がありました。

予算的に厳しいこともあって、当初は北向きの区画を検討していたのですが、営業マンを通じて売主と話をしていくなかで、北向きの区画は値下げ余地がほとんどない、南向きなら多少追加値下げに応じられる、という回答が返ってきました。
「北向き」のほうは目玉区画的な値付けなので、これ以上下げたくない、ということのようです。

「南向き」のほうが面積が多少であっても広く、間取りが入りやすいこと、将来的に売りに出したときに北向きより南向きのほうが圧倒的に売りやすいことなども考慮し、最終的に、「南向き」の区画に申し込むことを決めました
posted by そらパパ at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年11月16日

ASDの男子向け恋愛本を書きました。

以前もお知らせしたとおり、私はここ最近、「sora y.d.」というペンネームで、Kindleのセルフパブリッシング(自費出版)システムを利用して何冊かの本をリリースしていますが、このたび、新刊として、以下の本をリリースさせていただきました。


「女心」を読まずに想いをつなぐ 恋の戦略ガイド
Kindle版
sora y.d.

恋愛のガイドブックです。

ところで、なぜこの本を当ブログでご紹介するのかというと、本の中でも紹介文でもあえてまったく触れていないのですが、実はこの本は、隠れた、でも明確に定められたターゲット層を想定して書かれているからです。

そのターゲットというのは、知的な遅れを伴わないASD、アスペルガー症候群の男性の方です。

私は2か月ほど前に、私自身のかつての婚活経験をもとに、社会人男性向けの婚活本を書きました。


婚活パーティではじめる 出会いのビギナーコース
Kindle版
sora y.d.

そして、こちらの本への反響の1つとして、相手の心を読んだりするような要素がほとんどなく、具体的な行動主体で分かりやすく書かれているので、ASDの方の恋愛ガイドとしても使える、といった声をいただきました。




ただその一方で、内容が婚活(しかも婚活パーティという特殊な出会いの場)に限定されているので、子どもがまだ学生だったりすると内容がそぐわなくて読ませにくい、といった意見もいただきました。

そこから話が広がって、ASDの学生の肩にも読んでいただけるような、より一般的な恋愛のガイドブックを書いてみよう、という話になり、1か月ほどの執筆期間をとって、ゼロから書き下ろしたのが本書になります。

ですから、本書の第一の特徴としては、タイトルにもあるように「相手の心を読む」ということをしないで、すべて具体的な行動や会話をベースに相手との関係を深めていく、という戦略をとっていることがあげられます。




相手の心を読まないで恋愛をする、というのは、人によってはあまりに無謀な行いだと感じるかもしれませんが、実際には意外とそうでもなく、そういう付き合い方の相性がいい相手との出会いがあれば、むしろ心を読んだりする関係よりもずっとスムーズに関係を深めていくことができると思います。
実際、これは基本的には私自身がかつてとっていた「戦略」でもありますので、単に想像で書いているというわけではありません。

そして、本書の第二の特徴としては、男性向け恋愛本にありがちな相手の意向を無視した強引なアプローチを完全に排除し、相手との合意があったときに限って関係を前に進めていく、そういうある意味とても保守的で安全なアプローチをとっていることです。
「イヤよイヤよも好きのうち」みたいな価値観(no means yesという考え方)をベースに強引なアプローチを勧める恋愛本もたくさんありますが、そういったものとは一線を画しています。




そして第三の特徴としては、上記のような制約を課しつつも、単なる能書きばかりの恋愛本に留まらず、実際に「役に立つ」内容になるよう、工夫を施した、ということがあげられます。

本書の後半を読んでいただくと分かりますが、本書のアドバイスに従って行動すると、かなり恋愛のアプローチとしては「肉食系」に近くなります(笑)。
つまり、女性の側からみると、「こちらの気持ちを100%汲んでくれて、しかもアプローチはとても積極的」、そういった男子に見えるはずです。






さて、そんなわけで、単行本に換算すると200ページ強、ちょうど普通の厚さの単行本くらいのボリュームにまとまった本書は、ASDの男性(特に、高校生から大学生くらいの方)の恋愛のガイドブックとして、活用できる内容になっているのではないかと考えています。
なお、恋愛本としてはちょっと(かなり?)堅めの内容になっていますので、気軽に読むというよりはじっくりと読むのに向いた本になっていると思います。

興味をお持ち下さった方、ぜひいちどお試しください。
無料サンプルでも、冒頭の10%までは読めるようになっています。

なお、Kindle本を読むには、Kindleの端末か、スマホやタブレット向けのKindleアプリか、PCやMac用のKindleソフトが必要です。アプリやソフトは無料ですので、追加の投資は特に必要ありません。



posted by そらパパ at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 実践プログラム | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

ブログ10周年!とお知らせ

さて、この「そらまめ式」自閉症療育ブログですが、開設したのは2005年の10月31日でした。

最初の記事は、こちらになります。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/8808580.html
はじめまして。

いま2015年の11月になり、ブログ開設10周年を迎えることができたことになります。エントリ数も1250件を超えています。

率直にいって、こんなに長く続くとは思ってもいませんでした。
もう5年くらい前から、「もうそろそろ終わりそうだ」という感覚をずっと持ち続けながら、それでも何とか続けて、ここまできました。

これも、当ブログにお越しくださった皆さんの暖かいサポートのおかげだと思っています。
本当に、ありがとうございます。

さて、そのうえで、ですが、現在連載中の療育のための家づくりのシリーズ記事が完結した時点で、いよいよ当ブログの定期更新を終了したいと思っています。
さすがに、いよいよ書くネタがなくなってきて、これ以上記事をひねり出しても、記事の品質が維持できないと感じていますので、10周年をひとつの区切りとして、ここで一つの節目をつけることにしました。

とはいえ、現在のシリーズ記事はまだしばらくは続く予定ですので、いましばらくは当ブログにおつきあいいただければと思います。

また、その後も興味深い話題などが出てきたときには、不定期にブログを更新していく所存です。

改めて、10年間もの長いあいだ、本当にありがとうございました!
posted by そらパパ at 21:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

自閉症の子どもと暮らす家づくり(43)

土日の空き時間にたまたまアポの取れた不動産屋の営業マンがすすめてきてくれたのは、過去に一度区画の1つに申し込んで、建売が建つことが決まって買えなかった分譲地(の、他の区画)でした。

もちろん、かつてその土地に申し込んだときのパートナーだった仲介業者と、このときに話を聞いた仲介業者は(どちらも大手ですが)別会社です。
聞くと、その分譲地の仲介業者が最近変わり(つまり、売主が契約する業者を変えたということ)、今回話を聞いた業者がその土地を担当することになったのだそうです。

そして、そのタイミングで同時に価格の見直しを行なったのでしょう。各区画の売り出し価格は、私が以前に見た時よりかなり値下がりしていて、当時のような「明らかに予算オーバー」という状態ではなくなっていました
条件のいい分譲地ということで、やはりやや割高であることには変わりなかったのですが、駅からの距離や買い物の利便性、周辺環境などを考慮すると、リーズナブルといえる価格帯に収まってきていたわけです。

あと、この土地についてもう1つあった問題、「土地面積がわずかに狭い」という件ですが、こちらについては業者を通じて区画割りを変更してもらう交渉をお願いはしたものの、実はそれが通らなくてもある程度は「解決」していました。

以前も書きましたが、私は土地探しの途中から、売り出し中の土地に入れてみる家の間取り案(参考プラン)は、ビルダーに作ってもらうのではなく自分で描くようになりました。
毎日のように何プランも間取りを引き直してトレーニング(笑)を続けた結果、間取りのデザイン力がどんどん向上し、この頃にはより狭い敷地面積で希望する間取りを押し込めるようになっていました
その結果、当初は(希望の間取りをいれるなら)最低120m2はほしいと考えていた土地面積が、115m2ほどあれば何とかなると考えられるようになり、今回の分譲地の他の区画も選べるようになっていたというわけです。

家に帰って、家族とも相談しました。
家族からは、「最初にいいと思った土地に、巡り巡ってまた戻ってくるというのは、何か縁があるのかもしれないから、いいと思ったら決めてもいいんじゃないか」という意見ももらいました。
私自身も、いろいろな土地を巡ったうえで、改めてこの分譲地に戻ってきて、この土地の魅力を改めて感じるようになっていました。

ここへきて、気持ちは固まりました。
posted by そらパパ at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(42)

我が家の家探しは、建売から始めて条件に合う物件が売り出されていないことを知り、土地探しに切り替えて最初に出会った魅力的な土地は既に建売を建てることが決まっていて買えず、そこから「いまの自宅のすぐ近くの土地」、「より郊外の土地」、「二世帯住宅」、ほかには中古の戸建ても見ていましたが、どれも何かしら希望とは合致しない物件ばかりで、だんだんあきらめムードが漂ってきていました。

それでも、ネットで少しは良さそうな土地を見つけては、仲介業者に連絡をとって現場を見る(そしてたいていはがっかりして帰ってくる)、というのを繰り返しているうち、ある「出会い」がありました。

とある土日の休日、たまたま予定があいて午後の時間ができたので、外出のために駅に向かう道すがら、ちょうどそのときに物件情報の照会でメールでやりとりをしていた業者に電話をしてみることにしました。
もともとアポをとっていなかったので、とりあえずダメ元で電話してみて、もし物件案内が可能だったら物件周りをして、もしだめなら買い物でもしてこようと思ったわけです。

結果は、運良く業者の時間が空いていて、すぐあとの時間にアポを取ることができました。
ですのでその店にいって、もともと相談していた土地を見に行くことにした(結局この土地自体はいまいちでした)のですが、そのときに(いつものパターンで)希望する物件の条件を話しているときに業者から言われたのが、

「その条件なら、いまうちが扱っているのでぴったりなのがありますよ」

ということばでした。
そこでさっそくその物件を見せてもらうと…

なんのことはない、最初に申込みをして、実は建売が建つので土地としては買えないと分かって諦めた、あの物件のあった分譲地でした。

ですので私はすぐに、

「ああ、ここは最初に見てまして、この建売として売っている区画を土地で買おうとしたんですが買えなくて諦めたんです。他の区画はちょっと予算オーバーなうえ、希望よりほんの少し狭いので」

と答えたのですが、今回の営業マンは思った以上にアグレッシブでした。

「でしたら、私の方から売主にかけあって値下げ交渉してみます。ご希望に沿うような条件変更もある程度可能だと思いますから、もう一度検討されてはいかがでしょう」

そして、売主と交渉可能だと思われる条件変更の範囲(どの程度なら値下げできるかもしれないか、土地面積の変更はどうか)についても、具体的に話をしてくれたのです。

その話を聞いていくなかで、私の中で「この分譲地に再チャレンジするのもいいのかもしれない」という思いが強くなりました。
posted by そらパパ at 20:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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