それは、土地に設定される「用途地域」の制限に関わることだからです。
既に過去のエントリで触れたとおり、パニックを起こすことがあったり玄関を出るとそのまま飛び出してしまったりする娘と、安心・安全に暮らすためにも、また2台以上の車の駐車スペースを敷地内に合理的に確保するためにも、引っ越す先の家は(これまでの家と同じく)、周囲との空間が広く取られた2階建までの低層住宅しか考えられませんでした。
このような家を建てられる地域は、「低層住居専用地域」と呼ばれ、いわゆる「閑静な住宅地」のエリアがこの指定を受けています(というとりも、そういう指定がある地域だからこそ、建てられる家が制限されて「閑静な住宅地」になっていくわけです)。
これに対して、ショッピングモールのような巨大商業施設を建てることができるエリアは「商業地域」や工場跡地のような「工業地域」という指定を受けているエリアになり、これらは「低層住居地域」とは対極の位置づけとなるエリアとなります。
ここで「対極」というのは、両者の間に「中間」があるということを意味しています。
もっとも規制が厳しい「低層住居地域」の次に、3階建の住宅や4〜10階建くらいのマンションが建つ「中高層住居地域」「住居地域」などがあり、その次に「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」といった、店舗や事務所が立ち並ぶエリアが続き、最後に最も規制が緩い「工業地域」が位置づけられます。
ここでポイントは、これらの用途地域は、駅前や幹線道路沿いなどから離れていくに従ってグラデーションのように配置されていることが多い、ということです。
例えば、賑やかな駅前は「商業地域」、駅から離れていくにしたがって「近隣商業地域」になり、それらから道を1本入ると「中高層住居地域」が続き、さらに駅から離れていくと「低層住居地域」になる、といった具合です。
これはつまり、どういうことかというと、
「ショッピングモールに安全に歩いていける2階建の家」
というのは、
「商業地域に近接した低層住居地域」
ということを意味しており、そんなエリアは簡単には見つからない、ということになるのです。
商業施設に近いだけの土地はたくさんありますが、マンションや店の立ち並ぶ隙間にあるような、住環境面で問題のある土地が多くなります。
環境のいい、2階建の家が立ち並ぶような閑静な住宅街もたくさんありますが、そういうエリアはえてして商業施設からは遠く、そういう施設に行くためにはかなり長い距離を、信号で大通りを渡って行かなければならないような土地ばかりです。
もちろん、「商業地域に隣接した中高層住居地域にさらに最短距離で隣接しているような、条件を満たした低層住居地域」は存在しますが、都合よくそういうエリアに「条件のいい土地」が出ることは滅多にない、というわけです。