2015年07月27日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(29)

さて、フロアごとの部屋の面積が揃ったら、今度は部屋相互のつながりと配置を考えます。

まずは「つながり」を考えてみましょう。
「つながり」でまず注目すべきなのは、大きくいうと次のような4つです。

1)玄関から1階の部屋へのつながり。
2)1階と2階の階段の位置とつながり。
3)階段から2階の部屋へのつながり。
4)LDK内のLとDとKとそれ以外の場所へのつながり


まず1)ですが、1階にリビングがあるプランであれば、玄関から入ってホールを経由し、最初にドアを開けるとLDKがあるといった形になるでしょう。2階建てで4LDKなら、1階にはLDK以外にもう1部屋あると思いますから、その部屋にはLDKからだけ入れるのか、玄関(廊下)からも直接入れるのか、そもそもLDKとは分離した離れ的な部屋にするのか、といったことを「つながり」として表現します。
同じくトイレ、洗面、浴室といった水回りも、LDK内からアクセスするのか玄関(廊下)からアクセスするのかを考えます。
次に2)ですが、階段をLDK内に置くのか玄関(廊下)に置くのかを考えます。
そして3)については、階段を上がった2階の廊下から、各部屋にどのように接続するか、です、通常は廊下から各部屋に独立してアクセスできる放射状のつながりになると思いますが、子ども部屋を大きく作って子どもが大きくなったら間仕切る場合、子ども部屋にドアが2つあって三角形のようなつながりになる場合もあります。
そして、ここまで配置すると、LDKの形がどんな感じになりそうか(細長いか、正方形に近いか、L字のようになるか等)が見えてきます。
そこで最後に4)ということで、LDKにアクセスするドアを起点に、リビング・ダイニング・キッチンがどのように配置されるのか、さらには客室や階段や水回りなど、LDK内アクセスとする場合にはどの場所と(LなのかDなのかKなのか)つなげるのか、を考えてみます。

この時点ではまだラフなスケッチではあると思いますが、LDKの形状、配置、他の場所とのアクセスを美しくまとめることは、非常に難しいということが、おそらくこの段階で見えてくると思います。
まだ間取りソフトで詳細に詰めているわけではないので、ここでは1)〜4)については、「何とかなりそうだ」という感覚が得られたら次に進んでいいのですが、最後にもう1つだけ。

できあがった「配置図」の、フロア全体の「形」を見てみます。
実際に建てる家は、コスト面からも土地活用面からも、フロア形状は長方形(できれば正方形)に近くなければなりません。
もしも、この時点での配置図が長方形とはほどとおい形をしているのであれば、この先、大きな修正が必要になることを覚悟する必要があります

また、同時に、各フロアごとの「形状」に大きな違いがないこともチェックしておきましょう。
2階が正方形に近いのに、1階が細長かったりすると、それは現実にはプラン不可能なわけですから、やはり後で大きな修正が必要になります。

ただ、このあたりで「手書き」には限界がきますので、手書きベースである程度のプランができあがったら、そこからは間取りソフトを使うのがいいと思います。
間取りソフトを使って、実際に具体的なプランを追い込んでいくのが「ステップ3」となりますが、そこからの話題については、我が家が実際に取り組んだプランニングをふまえて書いていきたいと思いますので、いったん話題を元の家造りのことに戻したいと思います。


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2015年07月20日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(28)

さて、家造りを「土地」から始めることを決め、さらに「間取りプラン」についても自分で設計することに決め、どんどん「家ができるまで」が遠ざかっていっている気もしますが(笑)、基本的な「間取りプラン」を自分で作るときの進め方の1つのアイデアについて、療育的家作りの話題からはちょっと脱線して書いています。

さて、希望する間取りに必要な部屋の面積を合計して、フロアごとの面積が2〜3マス(1〜2畳)以上ずれている場合、間取りプランを前に進める前に、このアンバランスを解消していく必要があると思います。

なお、ここでは基本的に「総二階(全フロアの面積が同じ、直方体のような家)」を考えます。
総二階でない家なら2階の面積が1階より狭いことは問題になりませんが、そのような家は見た目は重厚になりますが都市部の家としては土地活用効率が低くコスト高にもつながりますので、ここではそういった家のプランについては考えません。(総二階をやめるくらいなら、下記にもありますが総二階のまま吹き抜けを作るほうがいいのではと思います。)

フロアごとのアンバランスの解消手段としては、以下のようなアイデアが考えられるでしょう。

1)ステップ1からやり直して、フロアごとの部屋の配分をそもそも変えてしまう。
2)1階よりも2階のほうが面積が小さい場合、差分で吹き抜けを作る。
3)1階よりも2階のほうが面積が大きい場合、差分で玄関を引っ込めてポーチを作る(引っ込めた玄関の上に2階の部屋が張り出して、雨風よけになる構造です)。
4)マス目が少ないほうのフロアの各部屋を広くしたり、新しい部屋を作ったりして、「広い方に合わせる」。

 玄関を広げる、LDKを広げる、洗面室を広げる、各部屋を広げる、部屋の収納を広げる、納戸や独立したウォークインクローゼットを作るなどが考えられます。
5)マス目が多いの方のフロアの部屋を狭くしたり、部屋を削ったりして「狭い方に合わせる」。
 こちらの場合、あまり選択肢がないことが多いですが、子ども部屋を6畳から4畳半にしたり、LDKを一回り小さくしたり、収納を小さくしたりといった感じでしょうか。

こういった手法を使って、フロアごとのマス目数のさが2〜3マス(1〜2畳)程度になるところまで追い込みます。

面積の問題が解決したら、次は「配置」の問題です。
面積だけなら別に「絵」を描く必要はなく、部屋ごとの面積を数字で書き出して集計すればいいのですが、それだとこの「配置」が考慮できません。

ここで考えるべきは、大きくいうと次のような部屋や建物パーツ間のつながりと、それを踏まえたフロア全体の形になります。

1)玄関から1階の部屋へのつながり。
2)1階と2階の階段の位置とつながり。
3)階段から2階の部屋へのつながり。
4)LDK内のLとDとKとそれ以外の場所へのつながり。


配置については、次のエントリで詳しく書いていきたいと思います。
posted by そらパパ at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年07月13日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(27)

紙と鉛筆を使って間取りを考えていくやり方で、「ステップ1」としては部屋をただのマルで描いて線でつないでいき、「ステップ2」では、部屋を実際の広さに近づけてステップ1の配置図を描き直していきます。

広さまで実際に合わせるなら、もう紙なんか使わないで間取りソフトでいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、実はまだこの「ステップ2」の段階は、「間取りを設計する」段階の1つ手前です

ステップ2の「本当の」目的とは、

・フロアごとの必要広さを知ること
・フロアのレイアウト感のアンバランスさを確認すること


この2つを同時に行うことにあります。

間取りを設計していて陥りやすいミスの1つに、「そもそもフロアごとの部屋配置のバランスが悪いのに、それに気づかずに悪戦苦闘してしまう」というパターンがあります

私の例でいくと、1階にLDKとそれに隣接する来客用の小さな和室、水回りとして浴室・洗面室・トイレを配置し、2階に主寝室・副寝室・子ども部屋・トイレを配置した間取りを一生懸命考えていました。
ごく一般的な4LDKの間取りと言えますが、実はこの間取りプランはちょっと破綻しているところがあって一筋縄では作れません。

理由は、

・1階に必要な広さが2階よりもずっと大きい

というアンバランスがあるからです。

後のエントリで具体的に説明する予定ですが、この間取りを普通に引くと2階の面積がかなり余ります。余るだけなら、2階の部屋を広めにとったりすればいいのですが、別の視点からすると、それはつまり「1階に広めの面積が必要になる」=「必要な土地の広さが大きくなる」ということになり、「予算オーバー」につながっていってしまうわけです。

こんなシンプルな問題(そもそも1階と2階の部屋の割り振りのバランスが悪くて間取りが入りにくいこと)に、当初はかなり長い間気づきませんでした。気づかずに、「どうしてもうまく間取りが入らないなあ、なぜだろう?」と悩んでいたわけです。

このアンバランスの問題に早い段階で気づくことが、「ステップ2」の目的の1つになります。
ですから、部屋をマス目に合わせて描いたら、その部屋に使っているマス目の数を1階と2階(3階建てや地下室ありの場合はそれらのフロアも)でそれぞれカウントして比較してみるわけです。

もしこの段階で、その差が2〜3マス以下しかない場合は、非常に優秀な部屋配置ですから、そのまま進めていっても大丈夫でしょう。

もしそれよりも差が大きい場合、そのまま間取り作成に突入すると行き詰まってしまう可能性が高いですので、プランに修正を加えて、各フロアのマス目数の「差」を2〜3マス以下にしてから次の段階に進むのがいいと思います。

具体的な修正方法については、次のエントリで触れたいと思います。
posted by そらパパ at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年07月06日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(26)

土地探しのなかで、ビルダーが無料で作る参考プランでは「参考」にならない、と悟った私は、間取りソフト「マイホームデザイナー」と間取りに関する書籍を買い込み、自分自身での間取り作成にとりかかりました。


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毎日、会社から帰ってからソフトを起動して深夜まで間取りプランをいくつも描くことを続けました。
最終プランにたどりつくまでに描いたプランは、まったく異なるものだけをカウントしても数十は下らないと思いますし、さらにそれぞれのプランについても、「このプランは使えるかも」と思ってじっくりと掘り下げたプランについては数十回の修正を毎日のように行いました。結果的に、修正プランもすべて含めて数えれば、数百とおりのプランを作成したのは間違いありません。

そして、やはりこういうのも「慣れ」という要素が大きいのだと実感したことは、最終的に採用したプランは、最初のころの自作プランとは比較にならないくらい出来が良くなっていて、当初は両立しないと思われていた希望要素の多くを盛り込むことができていたということです。

ところで、間取りを作っていく基本的な進め方についてですが、私自身は当初はいい方法が見つからなくて試行錯誤を繰り返すことになったのですが、最終的に、「こうやって進めるのがいちばんうまくいきそうだ」というやり方が見えてきたので、そのやり方について書いておこうと思います。
(ここからしばらく(3回程度)、家造りの話題から脱線することをご了承ください。)

用意するのは、B4以上の大きめの方眼紙(薄く方眼模様が入っているもの)を何枚かと、鉛筆もしくはシャープペンシル、そして消しゴムです。

まず、「ステップ1」として、「部屋のつながり」をラフに考えます

具体的には、「LDK」や「浴室」「洗面室」「玄関」「階段」などを、それぞれマルで表現し、どの部屋とどの部屋がつながっているべきなのかを、マルとマルとをつなぐ線で表現するのです。

これを、各フロアごとに絵にしていきます。

これによって、たとえば「階段はリビングとはつながっているけれども玄関とは直接つながっていない(リビング階段)」とか、「LDKと水回りをぜんぶ2階にまとめて、1階に居室とトイレをおく(2階リビングプラン)」といった、「間取りの基本形」が定まってきます。

これができたら、こんどは「ステップ2」です。
紙を替えて、こんどは同じ間取りを「部屋の面積を意識して」描いてみるのです。
方眼紙のマス目の1つ(1cm四方)を半畳(メーターモジュールの場合は100cm四方)として扱うと描きやすいと思います。
マス目をこの大きさに設定した場合、基本的に浴室は2×2の4マス(1坪)、洗面室も最低サイズとして同じく2×2、トイレは1×2マスで1畳、部屋については6畳なら3×4の12マス、8畳なら4×4の16マス、4畳半なら3×3の9マス、玄関は上がり框とあわせて最低2×2の4マスくらいの大きさになります。LDKについては、希望する畳数×2マスになります。

広さまで揃えてマス目に描くなら、もうこの段階から間取りソフトを使ったほうがいいんじゃないか?と思われるかもしれませんが、実はこの「ステップ2」の目的は、間取りを追い込んでいくことではありません。まだ、それより前の段階になります。
posted by そらパパ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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