2015年04月27日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(17)

さて、娘のために新しい家を探して始めてみて、新築戸建に希望ぴったりの物件がないため、手を広げて中古戸建も検討対象に加えることにしたわけですが、そもそも中古戸建は流通量が少なく、同じ条件で検索すると新築戸建よりも条件に合致する物件がはるかに少ないことが分かってきました。

さらに、問題はこれだけではありませんでした。

実際に、絞り込みの条件をかなり緩めて、何とか(検索条件上)希望に近い中古戸建をピックアップしてみた結果、もう1つの興味深い結果が浮かび上がってきました。

それは、我が家の希望条件に合致する中古住宅のかなりの割合が「二世帯住宅」だった、ということです。
まず、駐車スペースを2台分確保する時点で、その家が二世帯住宅である確率が飛躍的に高まります。
これに、3階建てではなく2階建てを希望したり、土地面積を広めに想定したりといった条件が重なると、印象として、検索に引っかかってくる家のうち半分くらいが二世帯住宅になっていました。

でも、いろいろ考えてみたのですが、二世帯住宅では、かなり無理をしても我が家では「使えない」という結論になりました。
何より、通常の戸建てのせいぜい1.2倍とか1.3倍程度の床面積の家を二世帯にしているため、部屋の数は多いもののそれぞれが狭く、収納も少なく、何よりも6畳程度の「お茶の間」的LD+古いアパートのような狭さのキッチン、みたいなLDKが2つある、といった使えない間取りになっているのです。
長女と妻は自宅にいるほとんどの時間をLDKで過ごしますから、これだけはありえないでしょう。

そして最後に、なぜここまで「条件に合致する中古戸建が少ないのか」というもう1つの大きな理由として、「売り出されている価格が相場を無視して高すぎる」ということがあげられます。

戸建ての値段は、ごく簡単に計算するなら、その家の面した道路に設定された路線価を1.3倍ほどして土地の値段を求め、そこに建物の価値を加算すれば求められます
日本の木造家屋は築20年でほぼ価値がゼロになることと、有名ハウスメーカーの注文住宅で高い家を建てても、中古になってしまえばその建築価額は維持されず、建売りよりちょっといい程度の評価にしかならないことを考えると、築10年の家の建物の価値は、4LDK程度の家なら高くても1000万円が関の山でしょう。建売ならさらに下がって数百万といったところでしょうか。

だとすれば、築10年程度の4LDKの中古戸建の値付けは、土地の値段(路線価の1.3倍)+1000万円以下でなければおかしいはずですが…。

実際には、この計算から求められる適正価格で売られている物件はほぼ皆無で、それより1000万円近く高く売られている物件がザラにあります。
その結果、土地の値段+1500万円程度で売りに出されている新築建売よりも高い、築10年以上の中古戸建がぞろぞろと並ぶわけです。
下手をすると、もはや建物価値ゼロになっているはずの築20年以上の中古戸建が、土地の相場+1000万円よりも高く売られていたりして唖然とすることもしばしばです。

こうなってしまう理由は、値段をつけている売り主がプロの不動産業者ではなく、個人であることによるものが大きいのだと思います。
土地の現在の相場、建物の経年による急激な価値の下落、周囲の新築物件の価格などを考慮せずに、「買った値段がいくらだったから」という理由で、そこから少し下げただけの値段をつけて売りに出されてしまう物件がとても多い、ということを、不動産業者の方からも聞きました

ともあれ、そんなこんなで、中古戸建は流通量も少ないし、スペックも(二世帯住宅だったりして)合わないし、しかも値付けがムチャクチャで割高な物件だらけ、ということで、結局、少なくとも我が家にとっては検討対象にはほとんどならないことが分かりました。

我が家の家探しは、またもや振り出しに戻ってしまったわけです。
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2015年04月20日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(16)

さて、現在住んでいる家よりも少しだけ広い家を郊外に探そうとして、建売りではそういうスペックの家がほとんど存在せず、いま周囲に建つそういう家はすべて注文住宅だった、ということに気づいた私たちは、検討の範囲を「建売住宅のみ」から少し広げて、「中古住宅」も探してみることにしました

中古住宅のなかには注文住宅も多数存在するので、それなら私たちの希望スペックに近い物件もたくさんあるんじゃないか、という期待です。

でも、この期待は(この期待「も」?)、いくつかの角度から、裏切られることになります。

まず、戸建ての中古住宅というのは数が非常に少ない、ということ。

そして、建売りと違って注文住宅も多く含まれる中古住宅では、「売れ筋のスペック」から外れた物件も多いのですが、その「外れ方」が、我が家が希望するような方向とは合致しない場合がほとんどだということ。

そして、中古住宅というのは売り主が個人であることが多いためか、「相場観がメチャクチャ」なことが非常に多いということ。


こういった理由から、中古住宅を探してみた結論は、「これならまだ新築戸建のほうがマシ」というものでした。

いかに「中古の戸建て」が不作かということは、実際に大手不動産サイトである「SUUMO」さんで東京の不動産を検索してみるとすぐ分かります。

いまこの原稿を書いている時点で、「東京の中古の戸建て(所有権)」は、5042件でした。ただし、戸建てには大きく分けて「2階建」と「3階建」があり、この2つはまったく別カテゴリと言えますから(建っているエリアの用途地域からして違います)、「東京、所有権、2階建」という中古戸建をみることにすると、3824件となります。
ここから、「現在の家より古い家や、駅遠の立地は避けたい」ということで「築10年以内、駅徒歩10分以内」という条件を加えると、もう325件まで減ってしまいます
(ちなみに、ここまでの条件を中古マンションにあてはめると2663件となり、中古戸建の8倍以上あります)

さて、この325件をさらに絞り込んで、「5500万円以内、土地110m2以上、建物90m2以上、4LDK以上」という条件を加えると、件数はなんと31件まで減ります。「東京都全域」で、これだけしかないわけです(もちろん、首都圏の他県を加えれば増えるでしょうが、ここはあくまで検索例ということで)。

ここにさらに「私の勤務先まで通勤60分以内」という条件を加えると…たった5件!
そして、「駐車スペース2台分」を加えると、見事に0件になりました

これでは、希望する沿線とかを選ぶ以前の問題です。

ちなみに、この条件が厳しすぎるわけではないことを示すために、上記とほぼ同じ条件で「新築戸建」を検索してみましょう。
「東京の新築戸建(所有権)」で10465件、2階建に限定して7869件、駅徒歩10分以内で2898件、「5500万以内、土地110m2以上、建物90m2以上、4LDK以上」で601件、「通勤60分以内」で189件、「駐車スペース2台」で78件となりました。

中古戸建で「0件」になった条件で、まだ80件近く物件が残っています
ここから、まだ沿線を絞り込むこともできますし、通勤時間などの条件をさらに厳しくすることもできるわけです。

簡単にいうと、「中古戸建は、新築と同じ条件でさがしても、新築よりショボイ物件しか見つからない」という驚愕の結果になるわけです。

さらに、問題はこれだけではありません。
posted by そらパパ at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年04月13日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(15)

さて、そんなわけで、建売住宅というのは本質的に「企画物件」であって、「売れ筋」かつ「利回りがいい」企画だけが選ばれて量産される構造があるため、以下のような似たりよったりの物件が、エリアだけを変えてずらりと立ち並ぶという、バリエーションの少ない状態になっていることが分かりました。
(まあ、これは考えてみると割とマンションでも同じですね。)

1)3階建ての狭小住宅。



 60〜70m2程度の狭い土地に建てられる3階建てのプラン。
 1階がくり抜かれて車庫と玄関(広さによっては+納戸)になっていて、2階がリビングや水回りの生活空間、3階が子ども部屋や寝室になっている間取り。
 建物の床面積は90m2程度あるものも多く、土地の狭さとは裏腹に、実は2)よりも広い家が建つ。間取りは4LDKや3LDK+Sなど。2階のLDKには吹き抜けが設定されることが多い。
 いわゆる「えんぴつハウス」であり、縦に細長い家が数件並んで分譲されるイメージ。隣家との間隔は非常に狭く人が通れないほど。

2)土地100m2、建物80m2の低層2階建て住宅。



 2階建てまでの家しか建てられない「低層地域」に建てられる2階建て住宅。
 建ぺい率に余裕があるので、建物とは独立した1台分の駐車スペース+小さな庭などがあり、隣の家との間隔にも余裕がある。
 建物の広さが80m2までしかとれないので(容積率80%の場合)、間取りは3LDKが中心で4LDKだと各部屋が残念な広さになる。
 住宅街で相続のために売りに出された広い土地が2〜4分割されて建売り分譲されるようなイメージ。

建売りで売られているのは、ほぼほぼ上記の2つのどちらかか、さらにここからスペックを落として(=狭くして)格安物件として売られているかだという印象です。

逆に、このスペックよりも「上」で売られている建売住宅は、ほとんど見当たりません。
特に「駐車スペース2台分」というのは、およそ東京エリアの建売ではほとんどないと言っても過言ではないと思います。

建売住宅が、これほどまでに「ワンパターンの狭い企画」の範囲内だけで売られているとは、これまでまったく気づきませんでした。
前回、2004年にいまの建売りを買ったときはそういうことにまったく気付かなかったのですが、それは、当時私たちが探していた物件の条件がちょうど建売の「売れ筋」に合致していたので、気付かなかっただけだったのです。

では、先にも書きましたが、なぜ周囲の家をざっと見回したときには、我が家が希望するような条件に合致した家がいくらでも見つかるのでしょうか?

この謎については、「建売りの現状」を知ってから改めてそういう家を見てみて、ものすごくシンプルな「答え」があることに気づきました。
つまり、そういう家はすべて、

建売住宅ではなく注文住宅だった。

ということ
です。

これは、家を買ったり建てたりした経験のある人には常識なのかもしれませんが、建売住宅というのはあくまでも「ミニマムの水準を満たしたベーシックな家」というラインナップ「だけ」しか存在しておらず、それよりもスペック的に(それは建物の面積も含みます)少しでも上の家は、注文住宅でのみ供給されている、ということだったわけです。

でも、この事実に最初に気づいた時点では、それでも注文住宅を建てるなんて予算は用意できないから、何とか別の選択肢がないだろうか、と悩んでいました。

そこで「建売り住宅」に続く第2の選択肢として、「中古住宅」を探し始めたわけです。
posted by そらパパ at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2015年04月06日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(14)

前回書いたとおり、家探しを始めてすぐに、我が家が希望する条件に合致する建売住宅は、市場にほとんど存在しないことが分かってきました。

その理由の第一は、そういう条件に見合った家を建てるには一回り広い土地面積が必要で、そうすると建売り住宅の売り出し価格が一般的な売れ筋の価格帯よりもかなり高くなって「売れない物件」になってしまう、ということでした。

でも実際には、それだけが理由ではありません。

もしそれだけが理由なのであれば、あえてニッチな市場を狙って一定量の建売り住宅が供給されてもおかしくありません。
でも実際には、こういう「土地の広い建売り住宅」を建てるのは、業者側にとって「おいしくない、儲からない」という事情があり、だからこそ「供給されない」ようなのです

たとえばここに、400m2くらいの土地があったとします。
もしこの土地を3つに分割して、大きめのゆったりした4LDK+駐車場2台という家を建売りで建てて売りに出しても、割高感が出てまず売れません。結局、値下げして売らざるを得ないことになります。
それなら、最初から4分割して、3LDK+駐車場1台というコンパクトな4軒の家を建てた方が、値ごろ感が出て売れやすく、しかも3軒ではなく4軒も売ることができる、ということで、売り上げの合計もずっと大きくなることがほとんどです。

一般的に、家が小さければ小さいほど、売り出し価格の坪単価は割高となります。
これは、もちろん建築単価自体が割高になるということもありますが、それ以上に、家を小さくしてたくさんの人に売ったほうが土地としての「活用密度」、付加価値が上がり、投資不動産として利回りが良くなっていく、という傾向があることも見逃せません。
いわゆる投資マンションがことごとくワンルームマンションばかりで、ファミリー向けの物件を投資対象にする業者も投資家もほとんど存在しないのも、これと同じ構造です。

このような「不動産に投資する側・売る側」のメカニズムが働くために、建売りの企画というのもほとんど常に、「その土地で可能な最も細かい区画に分けて、コンパクトな家を建て、割安感を出してできるだけ多くの人に売る」といったものになってしまうわけです。

都心ではなく郊外にいけば土地が安くなるから広い建売りが選べるのでは?と思ったりもしますが、実際にはそうではなくて、郊外で家を探す人はそのぶん予算を下げて探しているので、結局同じような割安の企画の建売りばかりが流通する結果になってしまうわけです。

もちろん、「4LDKで駐車場2台」という建売りも、探せばあるにはあります。
でもそういった物件はたいてい、「駅から遠い」のです。
それは結局、建売りというのは「売れる値段帯」が決まっていて、その範囲内で「広い家」を建てようとすると、どうしても地価の安い「駅から遠い家」になってしまう、というからくりがあるわけですね。
posted by そらパパ at 23:36| Comment(3) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
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