私の中で、最低限これだけは譲れないと考えていた条件は(再掲しますが)だいたい次の4つでした。
1)駅近徒歩圏の物件であること。
2)駐車スペースを2台分確保していること。
3)狭小部屋のない4LDKの間取りであること。
4)一種低層地域の2階建て住宅であること。
不動産についてご存知の方ならすぐに気づくとおり、これらの条件をすべて満たすために絶対的に必要なものは、一定以上の「土地の広さ」になります。
4)の条件があるため、都心によくあるような3階建ての狭小住宅は対象から外れます。
また、3)にあるとおり、一種低層の土地に3LDKではなく4LDKの家を建てようと思うと、土地面積は100m2(30坪)では足りず、最低でも110m2(33坪)、できれば120m2(36坪)程度欲しくなります(建ぺい率40%、容積率80%の場合。50-100%の場合、もう少し狭くても4LDKは建ちますが、その場合2)の駐車スペース2台分が確保できない可能性が高くなるため、やはり最低ラインは110m2程度になるようです)。
また、2)の駐車スペースの条件を満たすためには、土地の形は整形地に近くなければならず、かつ、かなり余裕をもった建物配置が求められます。
そして、そんな土地を、1)の条件にあわせて比較的地価の高い駅近エリアに確保しなければならないわけです。
一方、首都圏の住宅用不動産の価格を決める最大の要素は、言うまでもなく「土地の面積」です。
首都圏の建売住宅の場合、いわゆるパワービルダーと呼ばれる建築業者が超ローコストで規格化された家を建てるため、土地と建物のコスト比率は、通常でも3:1とか、ひどいのになると4:1とか、そのくらいになります。
しかも、土地だけじゃなく家の方も、建築費は「坪単価」が基準になるので、土地の広さに比例して値段が上がっていきます。
つまり、土地の面積が家の値段をほぼ決めるといっていいわけです。
首都圏で、「売れ筋の(閑静な住宅地の2階建ての)建売り住宅」の相場スペックというのは、概ね、
・100m2(30坪)程度の土地に、
・間取り3LDKの建物、
・駐車スペース1台分。
というもので、これだと同じエリアで売っているファミリー向けマンションと同じか、わずかに高い程度の値頃感が出せることが多いようです。
ここで、同じエリアで100m2ではなく120m2の土地を確保し、より広い家を建てようとすると、ほぼ単純にコストが20%アップします。
首都圏で家を建てるコストが20%上がるということは、シンプルに、売り出される価格が1000万円程度高くなるということです。
マンションや建売りを買いたいと思う人の多くにとって、ある物件の価格が他の物件と1000万円違っていたら、もうそれは「自分たちとは関係のない、検討対象外の物件」と映るでしょう。
そんなわけで、我が家が希望する条件に合致した建売住宅というのは、売れ筋から大きく外れてしまうため、企画されず、市場にも出てこない、ということになるわけです。