2014年12月29日

2014年を振り返る

今年最後のエントリということで、今年、2014年の当ブログと関連する話題についてまとめてみたいと思います。

全体的に見ると、今年は、聴覚障害とコミュニケーションについての問題を取り上げた話題作、「聲の形」というまんが作品にどっぷりとはまって、その話題ばかり発信してきたという印象が強いですね。

このブログでも、単行本第2巻のブックレビューから始まり、そして先週のエントリは完結巻となる単行本第7巻のブックレビューでした。

もちろん、途中の単行本のブックレビューもすべて書いていますし、それだけでなく、「聲の形」のなかでとりあげられている「障害者いじめ」を題材に、現代の福祉の構造的な問題と、それを解決するための試案といったものを考える、シリーズエントリをずっと書いていました。

さらに、「聲の形」についてはそれだけに留まらず、専用のブログを立ち上げて、そちらで膨大な数のエントリを書きまくっていました。

なぞ解き・聲の形

こちらのブログはおかげさまで多くの方に利用していただいて、あっという間に当ブログの数倍のPVを叩き出すブログに成長しました。


「聲の形」以外では、我が家に次女が産まれたのが大きなニュースでした。
そのため、有休をまとめて取ってしばらくの間「主夫」を経験することになり、それによるいくつもの気づきがありました。
それについてもエントリでまとめています。

1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(1)
1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(2)
1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(3)
1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(4)
1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(6)
1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(7)

いま整理していて「5」が飛び番になっていることに気づいてしまいました(笑)。

さて、そんなわけで、今年も1年、当ブログを応援してくださってありがとうございました。

来年は、(毎年書いていますが)いよいよネタ切れの雰囲気が漂っていますが、「聲の形ブログ」で鍛えた、ネタが少なく見えてもそこからたくさんの気づきを掘り起こしエントリを書く力を最大限活用し、エントリを書いていければと思います。
いちおう、年初早々から書こうと思っているネタはありますので、しばらくはそのネタを書いていくことになると思います。
上記でも触れた、「家族が増えたこと」とも関連する、我が家の療育と子育てに関係する、新しい取り組みについて書いていきたいと思います。

それでは皆さん、よいお年を。
寒さが厳しくなっていますが、ご自愛ください。
posted by そらパパ at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々の話 | 更新情報をチェックする

2014年12月22日

聲の形 第7巻(完)(まんがレビュー)

これまでずっと追いかけてきて、専門のブログまで立ち上げて応援してきた「聲の形」ですが、ついに単行本も最終巻の7巻が発売され、名実ともに完結しました。


聲の形 第7巻(完)
大今良時
講談社コミックス

時を同じくして、「このマンガがすごい!2015」でみごと1位(オトコ編)を獲得し、またアニメ化も決定するなど、最後まで高い人気を維持したまま、作者の意図通り、引き伸ばしなしで完結したことは、この作品にとって本当に幸運だったと思います。


このマンガがすごい! 2015
『このマンガがすごい!』編集部 編
宝島社

さて、そんなわけで完結巻となる第7巻ですが、この巻が扱っているテーマはなんだろう?と考えてみて、「大人になること」なのかな、という答えに行き当たりました。

以下、ネタバレになりますので注意。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 07:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

2014年12月15日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(27)

さて、ここまでいろいろと遠回りをしながら、思いつくままにこのテーマについて語ってきました。

もともと、「聲の形」というまんが作品でとりあげられていたいじめの1つの典型例をベースに、いわゆる「弱者様バッシング」的ないじめ、私的制裁について考察をしていたわけですが、参照していた「聲の形」が、後半はいじめそのものではなく、それに対する主人公の贖罪にテーマが移行したため、こちらのエントリでも、議論の対象を「仕組み」の問題に移行し、こういった弱者バッシングが起こる制度的な背景について考えていくことにしました。そして、その制度的な問題を解決するための福祉・支援のフレームワークとして、「ベーシックインカム」という福祉モデルについて考えてきました。

議論が散漫になってしまったきらいもあるので、改めてポイントを整理すると、

・弱者の人の生きる困難を少しでも軽減し、「生存権」を守るために、「福祉制度」というものが存在するのが近代社会の特徴である。

・ただ、そういった福祉制度は、現行制度においては「弱者と認定された人にだけ提供される」ものであるため、それが提供されない「強者」からみると、「甘い汁を吸っている」という風に誤解されやすい。

・そのような誤解が生まれると、「社会が制裁しないなら我々が制裁する」ということで、弱者への私的制裁=いじめが発生してしまうことがある。

・このような問題が起こる理由の1つは、「弱者が困窮しているということ」が十分に伝わらず、「甘い汁を吸っている」という「誤解」が生じていることにある。したがって、「困っているということの理解を広める」という、当たり前の「啓蒙活動」が、実はとても大切だということになる。

・それとは別に、そもそも「認定を受けた弱者にだけ支援が与えられる」という現行の福祉制度自体に、このような問題が生じる構造がある。

・この構造を改革する1つのアイデアとして、すべての人が同じ支援を受けるという「ベーシックインカム」という制度があげられる。

・ベーシックインカム制度を1国だけで導入することは簡単なことではないが、もし導入が実現すれば、単に「弱者いじめ」が起こりにくくなるだけでなく、「生き方・働き方・自立」の多様性が許される柔軟性の高い社会が実現するかもしれない。


といったところでしょうか。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

2014年12月08日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(26)

さて、前エントリでは、生活保護制度のような「弱者であると認定された人にだけ支援を提供する」というスキームの場合、インセンティブ構造的にも労働者保護的な視点からも、もし働くとすれば、その労働に対してはいわゆる最低賃金以上の賃金が払われなければならず、労働者はフルタイムで働くことが求められ、さらに最低でも「一般的な新人アルバイト」程度以上の労働成果を上げることが求められてしまう、ということを指摘しました。

「働けない(働かない)」という段階の次の「最低限働く」ことの内容が、いきなり新人アルバイト程度の成果を出してフルタイム働くというレベルになってしまう(その中間はインセンティブ構造的に無意味になる)というのは、働くことに困難のある方が少しでも働いて自立していこうとするという観点からは非常にハードルの高い「労働市場」であると言わざるを得ません。

これに対して、このような「働き方のスタイルの硬直性」が、ベーシックインカム制度のもとでは大幅に変化し、柔軟な労働スタイルが許容されることになる可能性があります

まず、最低賃金という考え方が必要なのは、労働というのは労働者の時間拘束という要素を含むので、フルタイムで働いて生活保護水準が稼げないのような労働では生活ができない、破壊される、という理由によると考えられます。

でも、ベーシックインカム制度のもとでは、そもそも出発点において「生活のための最低限の補償」は与えられているので、労働の単価が低くても、それ自体では労働者の生活が破壊されることはないということになります。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

2014年12月01日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(25)

さて、福祉の仕組みを、弱者を認定して該当者にのみ支援を提供するという現行のものから、あらゆる人に最低限の経済補償を提供するベーシックインカム制度に移行させた場合、1つめのメリットとして、このシリーズエントリの前半で議論したような「特権的に支援を受けているがゆえに発生するいじめ、私的制裁」が起こりにくくなる、ということについて前エントリで触れました。

それに加えて、これはもう何度も書いていますが、ベーシックインカムは「頑張れば頑張っただけ手取りが多くなる」という仕組みであるためにいわゆる[マイナスのインセンティブ」が発生せず、本当はもっと頑張れるのにあえて(多くの支援を得るために)頑張らなかったりといったことが起こりにくくなる、というメリットもあります。

そして、このメリットとも関係するのですが、「障害当事者の自立」という観点からは、非常に重要な3つめのメリットというのが存在すると思っています。

それが、

働き方のスタイルが非常に柔軟になる。

ということです。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
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