2014年11月24日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(24)

さて、何回かに分けてベーシックインカム制度の内容について書いてきましたが、このシリーズエントリの元々の趣旨である「福祉制度があるがゆえの障害者いじめ、私的制裁」と、このベーシックインカム制度の関係について触れておきたいと思います。

このシリーズエントリで述べてきたような「障害者いじめ」というのは、福祉制度があるがゆえに「あいつらだけが得をしている」「苦労して働いている自分たちより、あいつらのほうがラクをしていい思いをしている」といった妬みや誤解から、その「自分たちより得をしている」を想定される支援を無効にするような形で下される「私的制裁」のことを指しています。


「聲の形」第1巻より。

これは、端的にいえば最近よく言われるような「生活保護バッシング」と似たような性質のものだと言えるでしょう。

そして、このような「いじめの構造」は、いまある福祉制度が、「弱者だと認定された人にだけ支援を提供し、そうでない人には提供しない」というシステムになっているからこそ生じている側面がある、ということについても分析してきました。

それでは、もしも現行の福祉制度が廃止され、代わりにベーシックインカム制度が導入された場合は、このような「障害者いじめ」はどうなるでしょうか?

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2014年11月17日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(23)

さて、ここまで、福祉制度の新しい枠組みとしての「ベーシック・インカム制度」について、メリットと思われる部分についてみてきたわけですが、もし本当にいいことばかりならとっくに世界のどこかで実現しているでしょう。

そうなっていないのは、やはり問題がある(と思われている)からですね。

当然ですが、そのなかでも最大の問題は、

財源が足りるのか。

ということに尽きるでしょう。

最低限の生活に必要なコストを、すべて国が面倒見るということですから、全国民数×最低生活費、に相当する金額を国庫にて確保しなければなりません。
そうなると、所得税・法人税等の税率はたとえば50%といったレベルになるでしょう。

その結果として、企業や「稼げる個人」、富裕層の資産等が海外に流出し、ますます国家の収入が細り、財政が破綻することが想定されます。
端的にいうと、ベーシックインカム制度は、資本主義が当たり前の国際社会の中で、ぽつんと1国だけが実施できる性格のものではない可能性が非常に高い、ということになります。

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2014年11月10日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(22)

さて、新しい社会の福祉制度の基本フレームワークとして「ベーシックインカム制度」について書いているのですが、この制度の(理論的)メリットとして、1つは「マイナスのインセンティブが発生しない」ということがありますが、もう1つは「認定という制度が不要になる」というものがあります

既存の社会福祉制度は、特定の弱者にだけ支援リソースを提供する制度ですので、その支援を提供すべき弱者を「見つける」必要があります。
この「見つける」というプロセスこそが、「認定制度」ということになります

認定制度は、大きく2つのフェーズから成り立ちます。

1つは、「支援する対象の設定」というフェーズ。
もう1つは「支援を申請する」フェーズです。


前者は行政側の行為となり、後者は弱者である当事者側の行為となります。

「困窮している人にあまねく支援を提供する」という観点からみるとき、この2つのフェーズ、どちらにも問題があるというのはすでに見てきたとおりです。

「支援する対象の設定」のフェーズにおいては、「支援の枠組みから漏れてしまう」ことによって、実際には困窮している人が、その支援制度を利用できないという問題が生じます。

「支援を申請する」フェーズにおいては、支援制度を知らない当事者が支援されない、あるいは、極限まで困窮している人は「支援を申請する」ということすらできないくらいに弱っていることがある、という問題があります。

少し考えてみると、これらはすべて、「弱者認定」という制度を前提とした支援システムであるがゆえに発生している問題だということに気づきます。

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2014年11月03日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(22)

さて、前回のエントリで、マイナスのインセンティブ(努力しないほうがトクをする、という利害構造)が発生せず、また「(弱者であり困窮していることの)認定」という制度も必要でない、すぐれた支援の理論的枠組みとして「ベーシックインカム制度」というのが考えられるということに触れました。

ベーシックインカム制度とは、非常に乱暴に言うなら、現状でいうところの生活保護制度による支給に相当する金額(=健康で文化的な生活に必要な最低限の費用)が全員に支払われ、その原資をまかなうため、所得税や法人税など、経済活動によって生まれる収入に対して、いまよりも高率の税を課する制度です。

まずはこの制度のメリットの1つめである、「マイナスのインセンティブが発生しない」という点について考えてみたいと思います。

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posted by そらパパ at 21:49| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
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