さて、弱者に福祉が提供される社会環境では、その福祉が過剰に多いと認知される、ないしはもともと「弱者」がそれほど困っていないと誤って認知されることによって、「弱者は福祉によって甘い汁を吸っている」「自分たちよりも楽して恵まれた生活をしている」という誤解を受け、さらにその結果として、その「社会によって与えられ過ぎている福祉」を無効化するような方向性での私的制裁(リンチ、いじめ)が生じる構造がありうる、ということを、いくつかのグラフを使って解説してきました。
この私的制裁は、「誤解された弱者の利得カーブ」に基づき、社会から提供される福祉利得がほぼゼロに帰すような量的レベルで課される、と考えることができます。(それは、私的制裁が「公正世界理念」に基づくペナルティだからです)
私的制裁のペナルティが、社会からの福祉を「全部」マイナスしない場合もあるかもしれません。それは、その私的制裁者が考える「本当に必要な最小限の福祉」だけが残されている、ということになるでしょう。
先のグラフでいうと、下の方にある社会福祉の茶色い太い実線と、赤くて細い実線がずれている部分、このずれの分が「私的制裁者が考える本当に必要な最低限の福祉」です。
さて、ここで問題は、この元々の「弱者の利得カーブ」が、誤った認知にもとづいている、という点です。
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