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聲の形 第1巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
(上が楽天BOOKS、下がAmazon)
※連載中の内容まで含む、ネタバレの内容を含んでいますので、未読の方はご注意下さい。
さて、前回までのエントリで指摘したように、硝子は将也との「最後の大ゲンカ」の結果として転校せざるを得なくなったという経験から、「自分のありのままの感情を表したら、周囲は拒絶する(だからありのままの感情を表してはいけないんだ)」という、恐らく幼いころから繰り返し叩き込まれてきた「呪い」を改めて学習してしまったのではないか、と考えられます。
そう考えるならば、再転校したあとの硝子は、その「学習」をふまえてさらに強固に「殻」をまとい、その「殻」に守られながら(つまり、自分の本当の気持ちを表さずに「善良な障害者」を演じることによって)生きていくという選択を明確にとることになった(とらざるを得なかった)のだろう、と容易に想像できます。
それはまさに、「健常者に迷惑をかけず、反抗せず、健常者の傘の下で善良な障害者として庇護を受け、誠実に努力している姿を見せることでその庇護を失わないよう振舞う」という、「名誉健常者ロールモデル」を、硝子が明確に選択したのだ、ということを意味します。
現時点で、再転校後、将也と出会うまでの間、硝子がどのような人生を歩んでいたのかはまったく描かれておらず、謎に包まれていますが、現時点での私の読解としてはそうなります。
そうやって、「天使のような障害者」としてある意味器用に、要領よく生きることを選択し、その枠のなかで5年間を生きてきた硝子の前に、かつてその殻を揺さぶった将也がふたたび現れたわけです。
ここが、単行本第1巻のクライマックスです。
そして、ここで非常に興味深いのは、
続きがあります・・・